受験シーズンの2月。だからこそ、親は「うちの子も…」と子どもの受験について意識する時期でもあるだろう。

そこで今回、『それは子どもの学力が伸びるサイン!』(廣済堂出版)の著者でもあり、進学塾VAMOS代表の富永雄輔さんに受験に向けて親ができること、受験校の決め方などについて聞いた。

入学前から学力の差

進学塾VAMOS代表・富永雄輔さん

まず、富永さんから見た今の「学校」について聞くと、「公立小学校はすごく大変。塾通いをしている子は非常に多いですが、問題になっているのは塾通いの前の“幼児教育”」と話し、小学校入学前にすでに学力の差が出ていると指摘した。

問題となる学力の差とは、知識の量。例えば、小学1年生の場合、すでに文字や数字が書ける子がいる一方で、知らない子もいる。入学前に教えているかどうかの差がすでに出ているという。

「A君にとっては楽しい授業でも、すでに知っているB君にとってはつまらない授業になるかもしれない。どのレベルに合わせるかという課題が生まれます。公立小学校は、そんな差のある子たちを一つの教室で一斉に教えなければなりません。『授業にならない』という声もあり、学力差の問題は深刻だと思います」

親は子どもに成功体験を積ませよう

こうした現状がある中、中学受験を考える場合、親はどうサポートしていけばいいのか。

親は中学受験させたくても、子どもの意識が向かないとうまくはいかない。富永さんは受験というものを「すべての受験は通過点だと思っています」と言う。「目標が受験というよりは受験を利用すると良いと思います。人間は意志が弱いので、目の前に何か迫らないと行動を起こしません。親が受験というハードルを設けて、それを飛び越えさせることは必要なことだと思います」

そして、子ども自身の受験のモチベーションを上げるためには「できないという意識を持たせないこと」が大切だと富永さんは言う。

「“知らないこと”と“できないこと”を一緒にする子どもが多い。幼児教育による学力差についてお話ししましたが、友達より何かを知っているという“優越感”で勉強したくなります。劣等感からは頑張れません。

今の日本のお子さんを見ていると、学力関係なく、根性論より“できる”という自負と自覚をいかに持つかが大事だと考えています」

勉強でもスポーツでも…子どもたちに“成功体験”を

そうした“できる”という自覚を子どもに持たせるためには、親自身が子どもに成功体験を積ませることが重要だという。

それは勉強でなくても、子どもに自信がつくのであればスポーツでも何でも良い。一方で、富永さんは「塾で成功体験を付けさせようとするのも難しい」という。それは入塾した時期により、同じ学年でもすでに差ができてしまっているから。同学年でのレベルの違いを感じ、落ち込んでしまう子どももいる。そのため塾で「勉強ができる」という成功体験を身に付けるのは慎重にならなければならず、その分家庭でしっかり身に付けることも大切だという。

だが、それで子どもが勉強嫌いになってしまっては元も子もない。富永さんは「僕たちは勉強が出来ない子の成績をあげることはプロなのでできます。しかし、勉強が嫌いな子を好きにするのは難しい。足し算を知らない子に教えることは簡単ですが、勉強を嫌いな子を好きにさせるのは感情の問題なので大変」とし、親は勉強を教えることに勤しむよりは、“勉強嫌い”にさせないことが大事だと話した。

親の情報力が重要!受験校の選び方

子どもが受験に向き合うようになると、次に問題となるのは受験校選び。中高一貫校や難関校など、学校の数も多く、どの学校を選べばいいのか分からない親も多いだろう。一度しかない受験、失敗したくない親は多いと思うが、受験校の選び方は親の“情報力”が大事になってくるようだ。

「以前は偏差値の高い学校に、東京大学の合格者が多くいました。東大の合格者数と偏差値が比例していましたが、最近では海外の大学への進学など尺度が変わってきています。就職先ランキングも“働きやすい会社”などが上位に入ってくるような時代だからこそ、難関校や有名校だから良いという常識は覆されるでしょう。最近では、東大の合格者が少なくても広尾学園などは国際教育に力を入れ、海外の大学へ進学する卒業生の多さなどから人気です。親は自分たちの時代の感性は捨てて、フラットな目で受験校を選ぶことが大事」

最近の受験校を選ぶ基準は「付属」と「グローバル」の2つ。大学入試の改革など、これからどう変わっていくか見えない中で、高校、大学などが付属している学校に入れることを考える親が増えているようだ。富永さんは「偏差値の低い大学の付属も、ものすごく人気」と明かす。

2つ目の「グローバル」は「高校生の段階で海外の大学に行く権利を得られたり、留学できたり、そういったことが人生のキャリアで必要になっていくと考え、グローバル化している学校に入れたいという親が多いです。特に女の子の親は、留学制度がしっかり整った学校を希望する親が多いですね」と話す。

そして、富永さんは「数年前に就職先ランキングでGoogleやFacebookが入るとは誰も予想していませんでした。大学や高校、中学の序列もいつ変わるかわかりません」と話し、ネットや口コミだけの情報に頼らず、親は自分の目で見て、耳で聞いて確かめることも大切だとした。

『それは子どもの学力が伸びるサイン! 』(廣済堂出版)

富永雄輔
進学塾「VAMOS(バモス)」代表。京都大学卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生まで通塾する進学塾「VAMOS」を設立。現在、吉祥寺・四谷・浜田山校の3校を開校。著書に『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『男の子の学力の伸ばし方』『女の子の学力の伸ばし方』(共にダイヤモンド社)、『それは子どもの学力が伸びるサイン! 』(廣済堂出版) がある。

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