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新型コロナウイルスの感染が広がる中、中国では春節の連休中だけで16兆円を超える経済的な打撃を受けるという試算も出されている。今や中国経済は世界の18%のシェアを持ち、中国は世界第2位の経済大国。今後、大手製造業の供給網(サプライチェーン)への影響など、日本経済への余波が懸念される。

2月6日の放送では、経済産業副大臣と2人のエコノミストをスタジオに迎え、経済の現状と今後を徹底分析。中国をハブとしたヒト・モノ・カネの動きが止まりつつあるのではないかという危機管理的な視点を含めて、あるべき対策を議論した。

3月の全人代が開けず?中国経済が16兆円の損失を受けるという試算も

東京財団政策研究所 主席研究員 柯隆氏:
初動が遅れたために、中国国内は大混乱している。そこで一つの山が2月10日の週となる。背景が2つあります。
まず春節の後ということ。中国の春節では各家庭で日本のお正月よりもはるかに大規模なレベルでものを買いだめするが、春節後に冷蔵庫が空っぽになり需要が高まる。この対応。次に、発熱している方が本当にウイルスに関連しているかという点の診断がしっかりと行われる。これにより感染者の数字が一気に増えるかもしれません。
今の中国社会は、実際の感染者の多さ以上に「空気の怖さ」に覆われている。現地に電話で聞くと、封鎖されている・いないにかかわらず誰も散歩に行かず、街に誰も歩いていない。これは精神衛生上よくない。

長野美郷キャスター:
今回の新型コロナウイルスの感染拡大が中国経済全体にどれほどの影響を与えるのかの試算が出ています。中国社会科学院の張明氏は「このままサービスと消費の打撃が続けば、2020年1〜3月期のGDPは5%台に突入し、それを下回る可能性も否定できない」。中国の民間シンクタンク・恒大研究院は「春節関連の損失は1兆元(約16兆円)以上、年間GDPの伸び率は試算で5〜5.4%」としている。

東京財団政策研究所 主席研究員 柯隆氏:
意味のない数字とは言わないが、経済理論で説明がつかないものもある。たとえば、2019年の香港の経済成長率はマイナス1.2%です。いろんな数字が大混乱している。その中で、今は限りなくゼロ成長に近い状況であると見てよい。これをどうリカバリーするかが問題となります。
たとえば日本では、このような有事の場合には補正予算を早く組んで手当する形になる。しかし中国では現在市場介入も行っているが、金融政策が十分機能しない。3月に予定されている全人代(全国人民代表会議)もおそらく開かれず、審議すらできない

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏:
SARSが流行した2003年のデータが参考になります。日本と中国のGDPの前年比のグラフを見ると、2003年の4〜6月期から減速している。ざっくり計算すると、中国のGDPは1%ほど下がったのではと思います
ただ当時と今回で最も異なるのが、当時世界のGDPに占める中国のGDPの割合が4%程度であったのに対し、今は18%を占めていること。世界経済に大きな影響が警戒されます。
中国は財政面での対策をするとは思うが、リスクもある。過剰債務がある民間企業などに対して景気対策を行い、一旦リカバリーするのはいい。しかしそれが過剰になり、その後に引き締めた際にリーマンショック後のように停滞してしまう可能性がある

反町理キャスター:
中国経済全体の、現在のブレーキのかかり具合はどうでしょう。

牧原秀樹 経済産業副大臣:
相当程度にヒト・モノ・カネの流れが止まっているのだとすれば、中国をマーケットとしてみた場合、影響は相当深刻ではないかと見ている。ただ長期化の見通しも不明で、影響がすぐに出るといった話はまだ言えません。

訪日観光客激減で「数ヶ月で中小の事業者が破綻」することも

長野美郷キャスター:
直接的な影響が出始めているインバウンドについて。感染拡大が春節と重なったが、中国人観光客の激減による日本経済への打撃はいかがでしょう?

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏:
報道ベースでは、40万人が訪日をキャンセルした。観光庁のデータでは、中国人訪日観光客は一度の訪日で1人あたり約20万円を使うので、約800億円の損失という計算になる。非常に大きな影響です。

東京財団政策研究所 主席研究員 柯隆氏:
ウイルスの影響が終わるまでは、人が来ないのは仕方ない部分がある。ただ問題となるのは、インバウンドというひとつのサプライチェーンのなかで、中小の旅館やバス会社などがもたないこと。数ヶ月も半年も観光客が来なければ、大型のホテルチェーンなどは耐えられるとしても、中小の事業者は減価償却や従業員の給料が負担となり破綻してしまう。インバウンド観光客はまた来る。そのときに破綻してしまっていて対応できないということがないよう、政府がサポートしなければ。

反町理キャスター:
インバウンドの中小企業については、経済産業省としても懸念があるのでは。どのような対応を行いますか?

牧原秀樹 経済産業副大臣:
2月6日、自民党・公明党でコロナウイルスに対する緊急対策提言を取りまとめました。インバウンド関係の企業、中小企業に対する支援は万全にという内容。経産省としては、既存の補正予算で何ができるか、また融資などをする場合の資金繰りをどうするかについて提言を受けた。これを重く受け止めて検討していく段階。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏:
ダメージを食い止めるためには、いかに夏前に収束させるか、ということが重要。グラフを見ると、中国人観光客は春節で増えているが、それ以上に増えているのが夏場であるとわかる。もし五輪がなかったとしても、相当の観光客が来日するはずだった。夏まで収束しなければより影響が大きくなる。

習近平主席の来日とその後の日中関係は?

東京財団政策研究所 主席研究員 柯隆氏:
4月、習近平国家主席が日本に来る予定となっている。これは重要だが、それより重要なのが、中国が落ち着いた後の対応。WHOが緊急事態宣言を解除しても、しばらく多くの人が中国を訪れないという時期が来る。ここで、SARSのときにアメリカのポールソン財務長官が訪中したように、安倍総理が訪中することを考えるべきだと思う。
世界がなかなか訪中しないときにこれが実現すれば、中国も日本企業も助かる。世界に対する安全宣言の役割を果たすことになり、日中関係にもプラスとなるのでは。

(BSフジLIVE「プライムニュース」2月6日放送分より)