落とし物をポケットに…相次ぐ駅員の“着服”

駅員が乗客の落とし物を“着服”するケースが、近年多発しているという。

その巧妙な手口とは…東武鉄道の子会社に勤務する男(27)のケースを見てみると…

東武鉄道の駅に勤務していた際、落とし物に関するデータベースを勝手に閲覧。「いつ」「どこの駅で」「いくらの」現金が落とし物として届けられたかを確認し、落とし物が管理されている警視庁遺失物センターに行き、落とし主になりすまして 「○○駅で現金を落としました」と申し出て、 落とし物の現金をだまし取っていたという。

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フジテレビ・平松秀敏解説委員:
しかも、この男は「現金が裸で落ちている」ケースばかりを狙って、犯行を繰り返していました。なぜかというと、警視庁遺失物センターでは、本物の落とし主かどうかの確認を徹底しています。例えば、財布の落とし物だと「サイフの色や形」「現金以外に何が入っていたか」などを聞かれ、正確に答えないとニセの「落とし主」だとバレてしまいます。 だから、この男は確認事項が少ない「裸の現金」を狙っていたとのことです。

同じような手口で数回落とし主になりすまし、 合わせて約30万円をだまし取っていたとみられているこの男。あまりにも頻繁に遺失物センターに訪れていたため、センターの職員が不審に思ったことから事件が発覚し、詐欺容疑で逮捕されたという。

さらにこんな手口も…

東急東横線・中目黒駅の駅員のケースでは、落とし物として届けられた現金や交通系ICカードなどを、そのまま着服。交通系ICカード場合、チャージされた現金を払い戻していたという。犯行は去年2月以降70件、着服額は43万5000円に及ぶ。

フジテレビ・平松秀敏解説委員:
どんな手口かというと、落とし物のデータベースを改ざん。落とし主に返還したように装って、その分をポケットに入れていたということなんです。と言うのも落とし物をしてもあきらめて問い合わせない人が結構いるのでバレなかったんです。ところが本物のSuicaの落とし主が現れ、本人の知らない所ですでに「返還手続き」がなされていたために、この駅員の着服が発覚したとのことです

交通系ICカードが狙われる“2つの理由”

フジテレビ・平松秀敏解説委員:
駅員らの“落とし物着服”が目立つのは一体なぜなのか? その理由のひとつはズバリ交通系ICカードなどは「ポケットに入れやすいから」です

2019年、東京都内で、駅や電車に限らず、落とし物として届けられたのは、約415万件。そのうち交通系ICカードなどの有価証券類は約49万件にのぼるという。

フジテレビ・平松秀敏解説委員:
交通系ICカードは、小さくて落としやすいのに金銭的価値があり、無記名のものが多い。当然、駅で使うものだから駅で落とすケースが多いですよね

加藤綾子キャスター:
ICカードは、お金を盗っている、という感覚ではないのかも知れませんね。

2020年に埼玉高速鉄道で発覚した例では、 男性駅員が、交通系ICカードを178枚も着服し、コンビニでの買い物などで、電子マネーとして使っていたという。

フジテレビ・平松秀敏解説委員:
もう1つの理由が 「落とし物の行方」。駅で届け出があった落とし物は、鉄道会社が数日間保管。その後、警察に届け出る形となります。遺失物法の規定では、落とし物の保管期限は3カ月間となっていて、3カ月を過ぎると、法律上は拾った人に所有権が移ります。しかし、駅で拾った人が 「拾得者」としての手続きをしていない場合、落とし物は鉄道会社など施設占有者のものになるため、現金や交通系ICカードの落とし物については、そのまま鉄道会社の雑収入として計上されることが多いんですね

フジテレビ・平松秀敏解説委員:
駅で落とし物を届けても、正式な手続きまでせずに 「駅員さんに渡して、はい終わり」という感じではないですか?そうすると落とし物の多くは、鉄道会社に戻ってくるんです。着服する駅員にとっては、落とし物はいずれ鉄道会社(自分たち)に戻ってくる、という意識がある、「落とし物は、落とし主のもの」という意識が低いんじゃないでしょうか。これが“落とし物着服”が多発する背景にあると思います

こういう不祥事が相次いだことから、ある鉄道会社では落とし物の返還は、監視カメラのある場所で、手続きをしなければいけないといった対策を徹底しているという。


フジテレビ・平松秀敏解説委員:
なんだか残念な出来事ですね

明治大学・齋藤孝教授:
駅員さんって公共性の高い仕事と思っていますし、駅員さんには信頼感がありますからね。ほとんどの方はちゃんとやっていらっしゃるから。日本には「落としたお金が戻ってくる国」という印象があるので。処罰の面でも考えてほしい感じがしますね

(「イット!」10月8日放送分より)