2月3日、横浜港に到着した大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」における海上検疫で、39人の新たな感染者に加え、検疫官の感染が初めて明らかとなった。

ウイルス初感染の検疫官、防護服は着用しておらず

この厚生労働省の男性検疫官は、2月3日から4日まで船内で乗客の体温測定や質問票の回収業務にあたり、5日から7日までは検疫所で通常勤務していた。しかし9日、発熱などの症状があったため、10日に医療機関を受診。ウイルス検査で感染が確認されたという。

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感染した検疫官はWHOのガイドラインに従い、医療用マスクや手袋を着用。作業のたびに消毒も心がけていたものの、防護服は着用していなかった。

船内の乗客たちもTwitter上で、「問診で来られた時に、作業着に簡易マスクといった軽装だったので心配していましたが、やはり・・・」「我々の部屋に来た際、検疫官は最低限の防護しかしていなかった」などと、この検疫官の装備に懸念を示すコメントを残していた。

獨協医科大学の増田道明教授は、かつてSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際、髪の毛に付着した飛沫が手に付くことで感染したであろうというカナダの院内感染の事例を挙げた上で、「(検疫官が)頭髪を覆うようなものを着用なさっていたかどうかということ、そこがちょっと気になりますね」と、検疫作業にも全身を覆う防護服の着用が必要だったのではないかと指摘している。

「ダイヤモンド・プリンセス号」では、男性検疫官のほかにも10代の女性を含む39人の感染が確認されている。10代の感染はこれが初めてだという。

その一方で、チャーター機の第1便で1月に帰国し、千葉県勝浦市のホテルに滞在する176人は、再検査の結果が12日午後にも出る見通しで、感染が確認されなければ帰宅できることとなっている。

北京では感染予防に驚きの対策も

12日17時時点で、中国全土の死者数は1113人にのぼる。

市民の不安がさらに拡大する中、首都北京の中心部にある店舗ではヒト・ヒト感染を防ぐべく、驚きのアイテムが投入されていた。

岩佐雅人フィールドキャスター:
ここは人気のまんじゅう屋さんなんですが、商品をスロープを使って受け渡しています!

この店では、客と店員が接触せずに済むよう、スロープを急きょ設置したほか、現金の受け渡しを避けるため、できうる限りのQRコード決済を呼びかけている。

それでも現金を希望する客に対し、長い棒を付けた透明のバケツでやり取りしている。

また、順番を待つ客同士も、1メートルほどの距離をとって並んでおり、ここでも市民の警戒感が高まっている様子がうかがえる。

日本の専門家、感染終息は「現段階で判断するのは難しい」

加藤綾子キャスター:
(新型コロナウイルスの)感染拡大が止まりませんが、一体いいつ収まるのか、そこが気になるポイントだと思います。

佐々木恭子アナウンサー:
一体いつ収まるのか、そして今後どうなるのか。注目の2つの見解が出ています。中国政府の専門家チームのトップは、一部の地域では新規の感染者数が減っているとしまして、おそらく今月半ばか下旬にピークを迎えるとの見通しを示しました。その上で、「4月ごろに終息することを望んでいる」としています。これに対して日本の専門家は、「現段階では根拠となるデータが少なく判断するのは難しい」としています。

佐々木恭子アナウンサー:
WHOは、最初のワクチンについて「準備には18カ月かかるだろう」としています。1年半でまだまだ先だなとも思うんですが、これについても(日本の)専門家は、「ワクチンの開発で18カ月というのは非常に短い。逆に安全性などが課題となる」と指摘しています。

フジテレビ・風間晋解説委員:
「4月終息」という発言については著名な専門家が言っているわけですけども、先ほど佐々木さんがおっしゃったとおり、「望んでいる」が続いていますから、あくまでも個人的な願望。今、「新型肺炎についての公の情報」というのは、WHOや中国政府とかいろいろ出てきているわけなんですけれども、それぞれの立場や事情に応じてその発信内容や言い方が変わってくるんです。そういうことにも注意していきたいと思いますね。

(Live News it! 2月12日放送分より)

特集「感染拡大… 新型コロナウイルス