「あおり運転」をされた末、夫婦が死亡

神奈川県の東名高速道路で、あおり運転をされた末、夫婦が死亡した事故。
車を停止させた後に起きた事故が、危険運転にあたるのかが争われることになる。

事件が起きたのは、2017年6月。
パーキングエリアの通路に車を止めていた石橋和歩被告(26)は、静岡市の萩山嘉久さん(当時45)に注意されたことに逆上。萩山さん一家4人が乗る車を追いかけ、4度にわたって進路妨害をくり返し、追い越し車線上に停車させた。
その後、後ろから来たトラックが萩山さんの車に追突し、嘉久さんと妻・友香さん(当時39)が死亡した。

初公判で石橋被告は…

裁判長「本籍は?」
石橋被告「覚えていない」

上下黒のジャージ姿、ボサボサの髪で初公判の法廷に現れた石橋被告は、裁判長の質問に、つぶやくように答えた。

検察側は、一連のあおり行為に事故の原因があるとして、「危険運転致死傷罪」が成立すると主張。
また、予備的訴因として、車を止めた後も萩山さん夫婦を現場にとどまらせたことから、「監禁致死傷罪」でも起訴している。

初公判の冒頭、石橋被告は、事故直前のあおり運転はおおむね認めた。
しかし、弁護側は「危険運転致死傷罪」については、「自動車が走行していないので成立しない」として無罪を主張。また、「監禁致死傷罪」についても、「監禁には当たらない」として、真っ向から争う姿勢を示した。

被告から謝罪や反省の言葉なし

降りろや ケンカ売ってんのか 海に捨てるぞコラ 殺されたいのか」
「高速道路に投げ入れてやんぞ」

これは検察側が冒頭陳述であきらかにした石橋被告の言葉だ。
石橋被告は、妻の友香さんや同乗していた長女から謝罪されても、萩山さんを車外に引きずり出そうとしたという。その上で、石橋被告が萩山さんの車に進路妨害を4回くり返し、強引に停車させたことが死亡事故につながったなどと検察側は主張した。

3日の初公判で、石橋被告から謝罪や反省の言葉は出なかった。

遺族は「無罪にさせない」

亡くなった嘉久さんの母・文子さん(76)は3日午前、横浜地裁の前で、「絶対に勝たなきゃと思って。無罪にさせないから。この人(石橋被告)は刑務所に長く入っていてもらいたい」と語った。

「あおり運転」どう裁く? 急がれる法整備

今後争点となるのは、萩山さんの車の進路をふさいで停車させた行為が「危険運転致死傷罪」にあたるのか、「監禁致死傷罪」にあたるのかという点。
フジテレビ社会部・平松秀敏デスクが解説する。

平松秀敏デスク:
「危険運転致死傷罪」なんですが、そもそも「運転中の行為を処罰する」ものなんです。ですから弁護側は、事故自体が「車を停止させられ、車外に出たあとに起きているので、危険運転罪は成立しない」という主張をしている。

これに対して、検察側は「あおり運転行為、車を停止させた行為、死傷事故は因果関係がある一連のもので、危険運転致死傷罪は成立する」と主張しているんです。

平松:
「監禁致死傷罪」については、今日の裁判で明らかになったんですが、車が停止していた時間がわずか2分間、つまり“監禁時間”はわずか2分間なんです。しかも監禁場所は高速道路の上です。

これは、監禁事件としては、あまり前例がないケースになると思うので、この点を検察がどのように証明していくのか、とても注目されるところです。

平松:
単純に「あおり運転」というところだけを見ると、道路交通法の「車間距離保持違反」。「適正な車間距離をとっていなかった行為」なんです。これは、反則金を払えばおしまい、という単なる交通違反となるんですね。

これによって人が亡くなったりということになると、危険運転罪などが適用される可能性があるんですが、最近報道されている“悪質なあおり運転”だけだと、要は交通違反になってしまう。

だからこそ、ご遺族も望んでいらっしゃるんですけれど、あおり運転罪、法整備の整えを進めるべきだと。ただ、あおり運転の定義づけが難しいという声もあるんですね。

4日は、萩山さんの17歳の長女が証人として出廷する予定だ。

(「プライムニュース イブニング」12月3日放送分より)