事故当時保育士はプールの近くで監視していなかった

事故があった保育園のプール(2017年)

2017年8月、さいたま市緑区の「めだか保育園」のプールで当時4歳の女の子が溺れて死亡する事故が発生した。事故当時、このプールには5歳児、4歳児、3歳児クラスの園児20人が合同で遊んでいた。しかし、子供達が遊ぶプールの近くには監視役であるはずの保育士はいなかった。

保育士は本来の業務である監視業務をせずにプールの滑り台の撤去作業を行っていた。その最中に4歳の女の子はうつ伏せ姿で浮いているのが発見され、翌日死亡した。

死亡事故から2年半が過ぎ行われた裁判で、さいたま地裁は元園長と元保育士の2人に「万が一にも園児が危険にさらされないよう常に緊張感をもって職務に臨むべきだった。被害児童が4歳という幼さで命を奪われた結果は重大」などと指摘し、2人に禁錮1年、そして元園長に執行猶予4年、元保育士に執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。

園長の慢心によって徹底されなかった国のガイドライン

内閣府の子ども・子育て本部によると、2019年1月1日から同年12月31日の期間内に起きた保育施設などの重篤事故は1632件あり、そのうち死亡事故は9件あった。
これらの事故を防ぐために、2016年に国は幼稚園や保育園、認定こども園などにプール活動等を行う場合の「適切な監視・指導体制の確保」について通知を出している。プールを用いた保育業務は溺水などによる死亡事故が起こる危険性もあることから、十分な監視体制の確保ができない場合はプールの中止も選択肢とする内容を盛り込んだものだった。
しかし、元園長はこれまで自分の保育園では長年プール活動での事故を起こしていないと慢心していた。

さいたま地裁 廷内映像(2月14日)

さいたま地裁は裁判の中で、「元園長は通知を受け取った後、目は通したものの、その重要性に思い至らず、また他の保育士にその内容や趣旨を周知したりもせず、自分の園では長年プール活動での事故を起こしていないと慢心して、ガイドラインで示された人員面での常時の安全確保体制を講じることもなかった」と指摘した。

遺族は今も2人を許さず

適切な体制が取られていれば死なずにすんだかもしれない我が子を預けていた遺族の心情は察するに余り有るものだろう。
裁判官は4歳の女の子の遺族が事故から約2年半が経過した現在も2人の被告人を許しておらず、示談にも至っていないことを明らかにした。
子どもを預かる大人たちの油断によって起きる未就学児の死亡事故。このような事故は二度と起こしてはならない。

【執筆:フジテレビ報道局社会部 埼玉県警担当 河村忠徳】