福岡県中間市で、送迎バスに取り残された男の子が熱中症で死亡した事故から約1カ月。

惨事はなぜ起きたのか?事故後も同じ保育園に子どもを通わせる保護者が今の胸の内を明かした。

車内の温度は50℃以上に…園長は確認不足を認める

カメラの前で元気にポーズを取る男の子。保育園の送迎バスの中で命を落とした、5歳の倉掛冬生ちゃん。

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冬生ちゃんは7月29日、中間市の双葉保育園で炎天下の駐車場に止められたバスの中に約9時間取り残され、熱中症で亡くなった。

警察の再現実験では当時、車内の温度は50℃以上に達していた。

事故当日、1人でバスを運転していた園長は、保護者説明会でこう説明した。

園長:
私の確認不足と職員間の連携がうまくいっておらず、重大な事故を起こしてしまい、誠に申し訳ございませんでした

園長は「冬生ちゃんは降りたと思っていた」と話し、バスを降りる際の確認が不十分だったことを認めた。

また、担任は冬生ちゃんがいないことで「欠席扱い」とし、園長や保護者に確認もしていなかった。

「ストレスになったら」子どもへの不安と園長に対する不信感

事故から1カ月。双葉保育園に子どもを預ける女性が、カメラの前で複雑な心境を語った。

双葉保育園に子どもを預けている保護者:
そのこと(事故)があってから保育園を替えようかなと、めっちゃ思ってたんですよ。だけど自分の仕事もあるし、子どものことを考えたら…いま園を替えて、また違う環境になってストレスをためるのもと思って通わせています

一方で、保護者説明会での次のやり取りに怒りを覚えているという。

保護者:
先生、普通に仕事に戻るって言ってましたけど、まさか子どもたちとあいさつとか触れ合ったりするつもりですか?

園長:
それは、できないと思います

保護者:
そうですよね。子どもたちの前には現れないでほしいです

園長
はい

「子どもたちと接しない」ことを約束したはずの園長だったが…

――園長は保育園に来ている?

双葉保育園に子どもを預けている保護者:
いますね、普通に。平気な顔していますよ。朝、保育園に行った時に園長先生から声をかけてきて。「保護者に声かけられるんや、すごい」と思って。普通にほかのクラスにも顔出すじゃないけど、おったりしたんですよ…。保護者の方に言われとったのに、全然守ってないやんと思って。今すぐにかわれるなら、かわってほしいですね

施設への聞き取りでは驚きの実態が明らかに

事故のあと、県と市は合同で職員への聞き取りなどを実施し、園の事故防止マニュアルに十分な記載がなかったことを確認している。

さらに、県内の保育園や幼稚園など約2500施設を対象に行った実態調査では、「運転手1人で送迎バスを運行している」施設が20、「無断欠席の際に保護者に確認連絡をしていない」と答えた施設が108に上ることが明らかになった。

驚きの事実に県の担当者は…

福岡県子育て支援課・森山一平さん:
職員間でのコミュニケーションであるとか、情報の共有であるとか、もう少ししっかりしていれば防げたのではないかというところ。二度とこういった痛ましい事案が発生しないように取り組んでいきたい

警察は、今回の事故が園の不十分な安全管理体制が原因で起こったとみて、業務上過失致死の疑いで調べを進めている。

(テレビ西日本)