5Gで「自動運転」「遠隔手術」「映画は2秒」可能に!

次世代通信規格の「5G」商用サービスが、いよいよ3月にもスタートする見通しだ。
「AI」や「IoT」などの活用にあたって「技術的な柱」とも言われている「5G」で、私たちの暮らしはどう変わるのか?

「5G」とは「第5世代移動通信システム(5th Generation)」で、大きくは以下の特長で説明することができる。

⾼速・大容量
② 低遅延
③ 多数同時接続


① 「高速・大容量」通信が実現することで、例えば、普段楽しんでいるオンラインコ
ンテンツのダウンロード速度が速くなる。
総務省やNTTドコモの公表資料などによると、現在の「4G」通信の100倍とも言われ、2時間の動画を3秒でダウンロードすることができるという。
また、さまざまな視点からの映像を選択できるマルチアングル視聴や、VRなどの可能性が広がり、スポーツやエンターテインメント分野での活用が見込まれている。

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また、②「低遅延」通信によって、高精細な映像などを、遠隔地とタイムラグなくやりとりすることができるようになる。
特に手術などの高度医療や、離れた場所からの建設機械を使った作業など、目の前で確認できる現場の映像と、手元の操作がズレないことを要求される場面での利用が注目されている。
また、自動運転のように高い安全性が求められるものでは、「5G」を使ったリアルタイム通信が必要となる。

そして③「多数同時接続」では、基地局1台から同時に接続できる端末を、従来に比べて飛躍的に増やせる。
これまでは自宅でPCやスマートフォンなど数個程度の接続だったものが、「5G」によて100個程度の機器やセンサーを同時にネットに接続できるようになるといわれている。
各家庭にある家電がつながり、「IoT」がさらに進むことも期待できそうだ。

端末は買い換え必要…端末代金や料金は?

「5G」を利用するためには、対応する端末が必要だ。
今後、各メーカーがどのような端末を発表するのかなどに関心が集まっている。

シャープは2月17日、国内メーカーで始めて「5G」仕様のスマートフォンを発表した。
サービス開始に合わせて発売予定で、「高速・大容量」通信を活かし、映画などの大容量動画データを数秒でダウンロードできるほか、カメラで撮影した動画を、動画投稿サイトなどに高速でアップロードすることができるという。

大手携帯キャリアの準備も着々と進んでいる。
開始にあたって、各社がどんな料金プランを打ち出すのかなどが注目される中、KDDIは17日、今後発表される「5Gスマホ」への買い替えのサポートを目的とした、端末の購入プランを発表した。
「5G」対応したスマートフォンは、最新機能が搭載され、高価格帯になることが想定されるため、スマートフォンを買い求めやすいプログラムが必要と説明する。

起床から通勤・通学、そして…暮らしに大きな変革が!

本格的に「5G」が導入されると私たちの生活はどう変化し、どんなことができるようになるのか?
富士通は「5G」を活用した豊かな社会づくりの推進を目的に、ホームページ上に「5G」で実現する社会」というイメージ動画を公開している。
動画では、とある家族のありふれた朝の風景が、「5G」でどのように一変しているかが描かれている。

朝起きて、リビングに現れた父親。
食卓に座ると、目の前の空間に映し出されたディスプレーが、話題のニュースや交通情報など、カスタマイズされた情報を伝えてくれる。

富士通提供:動画「FUJITSUが5Gで実現する社会」より
富士通提供:動画「FUJITSUが5Gで実現する社会」より

母親と子供を乗せた車は自動運転で走り出し、カーナビが自動で示した迂回ルートを走って、幼稚園に到着する。
幼稚園の入り口や駅など、町の至る所では、顔などの生体認証による入場者確認などがスムーズに行われている。

富士通提供:動画「FUJITSUが5Gで実現する社会」より
富士通提供:動画「FUJITSUが5Gで実現する社会」より

富士通によると、これらはすべて大量の情報をリアルタイム処理できる「5G」のメリットを示すものだという。
一人一人が求めている情報やデータはそれぞれ異なるが、大量の情報をいろいろなところから収集して、個別にカスタマイズすることができる。
そして駅のような、多くの人が行き来する場所でも、一人一人の顔や手のひら静脈などの生体情報を認識し、その人の決済情報などを瞬時にサーバーとやりとりできるネットワークが実現するという。

富士通提供:動画「FUJITSUが5Gで実現する社会」より
富士通提供:動画「FUJITSUが5Gで実現する社会」より

また「5G」をめぐっては、富士通だけではなく、NECなどが「5G」を地域限定で利用する「ローカル5G」事業への参入を決めていて、携帯各社だけではなく、電機各社などでも動きが本格化している。

夢のような「5G」サービスだが、一方で、開始時の提供エリアが限定されることや、従来の通信に比べて、電波が壁や窓ガラスなどで遮られやすいことなど、まだまだクリアすべき課題も多い。
携帯各社でも基地局の設置を進めているほか、窓に取り付ける“透明な基地局”を開発するなど、環境の構築を急いでいる。

大手携帯各社の「5G」スタートが迫っている。
各社の表明で、「5G」をとりまくサービス開発などが、より一層加速すると見込まれる。

(フジテレビ報道局経済部 西村昌樹記者)

西村昌樹
西村昌樹

フジテレビ報道局 FNNプロデュース部デスク 元経済部デスク