東名高速のあおり運転死亡事故の裁判。
3日目の5日、被告の男は法廷で初めて謝罪する一方、その口から語られたのはあおり運転に至った身勝手な理由だった。

イラスト:石井克昌
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石橋和歩被告:
たばこ吸いよる途中に、萩山さんから「邪魔やボケ」みたいなことを言われて、たぶんカチンときた。
ムカついて追いかけたと思います。

証言台に立ち、淡々と事故当日の状況を説明した石橋和歩被告(26)。
2017年6月、神奈川県の東名高速道路であおり運転を受けた末、萩山嘉久さんと妻の友香さんが死亡。
娘2人がけがをした事故をめぐる裁判で、5日、石橋被告本人への被告人質問が行われた。

弁護側:
(萩山さんの車に)追いついて何を?

石橋被告:
パッシングしたと思います。「止まれ」っちゅうこと。

弁護側:
(車を止めた後)あなたは何と言いましたか?

石橋被告:
「ケンカ売りよんか」とかそんな感じで。

弁護側:
追突されると思いませんでしたか?

石橋被告:
そん時は考えてなかったです。

当時、その場にも居た同乗者にも促され、嘉久さんから手を離したという石橋被告。
その時の心境を問われると、石橋被告は目元をタオルで覆い、声を詰まらせながら涙声で「子供を巻き込んだりしたら悪いと思って、それでやめました」と説明した。

弁護側:
お話、続けられますか?

石橋被告:
はい。子供がいることは分からず、子供がいることを知っていれば何もしなかった。
こういう事件を起こして申し訳ないことをしたと思っています。本当にすみませんでした。


ぼそぼそとした口調で、初めて謝罪と反省の言葉を口にした。

あおり運転の理由は「勢い」

今回の裁判で検察側は、事故の原因は一連のあおり行為にあるとして、「危険運転致死傷罪」が成立すると主張。
法廷では、事故に至るまでの経緯を直接ただした。

(左)萩山嘉久さん (右)妻・友香さん

検察側:
止められないぐらい頭に血が上っていた?

石橋被告:
はい。

検察側:
萩山さんにどんな口調で話しましたか?

石橋被告:
怒鳴りよったと思います。

検察側:
萩山さんは何と?

石橋被告:
謝りよんのが聞こえました。

検察側:
どんな気持ちでした?

石橋被告:
覚えてないです。

検察側:
どうすれば満足したんですか?

石橋被告:
それは分からないです。

検察側:
追いかけて何を言うつもりだったの?

石橋被告:
そこは覚えていないです。

検察側:
事件のキッカケでしょ?分からない?

石橋被告:
覚えていない。

検察側:
じゃあ、どうして(あおり運転を)繰り返した?

石橋被告:
勢いじゃないですかね


あおり運転をした理由を「勢い」と話した一方、当時の心境などについては「覚えていない」などとし、明確には答えなかった。

イラスト:石井克昌

検察側:
そもそもの話、あなたの車の駐車の仕方に問題があるとは考えないの?

石橋被告:
思います。

検察側:
2人が亡くなってどう思った?

石橋被告:
悪いことをしたと思う。
今思うと高速道路でしなければよかった。


裁判は6日と7日の2日間、証人尋問などが行われ、来週金曜日の14日に判決が言い渡される予定だ。

暴行罪のみ成立なら最長で懲役2年

問われている3つの罪に対して無罪を主張している石橋被告。
それぞれの罪の懲役期間の差と、政府の見解を反町理キャスターが解説する。

石橋被告は「危険運転致死傷罪」「監禁致死傷罪」「暴行罪」の罪に問われています。
しかし、「危険運転致死傷罪」に関しては、事件発生時にハンドルを握っていなかったこと、さらに「監禁致死傷罪」に関しては、車を降りて実際に向き合っていたのが2分程度であったことなどから、成立しないとの見方もあります。

仮に「暴行罪」のみが有罪となった場合、最長で懲役2年となります。
2人が亡くなった重大性、事故に至るまでの悪質性と法律のバランスがとれているのか。現行の法制度に問題はないのか。
菅義偉官房長官は会見で、あおり運転について次のように述べました。

菅義偉官房長官:
現在警察を中心として、あらゆる法令を駆使した厳正な取り締まり、運連免許の停止や取り消しなどの迅速な行政処分の実施、交通安全教育の充実など、主対策に取り組んでいる。
引き続いて、このような各種対策を効果的に推進し、悪質な危険運転の抑止に努めてもらいたいと思う。

政府は当面、法改正に動く気配はなさそうですが、与党議員に聞いたところ、「法的な不備があると感じている議員はいるが、法改正に向けて動くのは判決が出て、あまりに軽いのではないかとの世論が起きてからの話し。まずは判決を待ちたい」という意見が大半でした。

(「プライムニュース イブニング」12月5日放送分より)