新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。

この影響で多くの人が集まるイベントなどを自粛する動きが相次ぎ、27日に横浜で開催予定だったカメラ見本市「CP+(シーピープラス)2020」や23日の天皇誕生日に皇居で予定されていた一般参賀が中止となった。
(参考記事:新型肺炎の影響で約7万人来場イベント「CP+2020」が中止に…マスクと消毒液の確保が見通せず

さらには、私たちの食生活にも影響を及ぼし始めた。日本へ輸入される中国産の野菜が激減しているというのだ。その1つが、昨年は約93%を中国から輸入している「玉ねぎ」。中国産の玉ねぎは、日本では主に外食産業などの業務用に使われることが多く輸入量を見てみると、農林水産省の植物検疫統計によると2019年の2月2週目の輸入量は、約5164トン。それに対し、今年の同期(2月2〜8日)の輸入量は約579トン。

昨年に比べ、約10分の1まで落ち込んでいる。品薄になることで、価格も高騰しているという。

中国産野菜は主に日本の飲食店が業務用に使うことが多いようだが、品薄になる状況が続くと、日本の外食産業に大打撃となるのだろうか?
中国産野菜の卸・販売をしているアグリ貿易の代表に、中国産の野菜の輸入の現状と見通しを聞いてみた。


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この時期の中国産野菜は、山東省・福建省などから船で運ばれる

――中国から輸入される野菜にはどんなものがある?

玉ねぎ、長ねぎ、青葱、人参、キャベツなどのフレッシュ野菜です。

――これらの野菜は中国のどこから輸入されている?

現在出荷中の玉ねぎ産地は甘粛省でございます。玉ねぎに関しては、中国東部の山東省で出荷し、輸出しております。皮を剥いた状態の「むき玉ねぎ」、上下の芯を取った「上下芯取り玉ねぎ」、真空パックのむき玉ねぎ、皮が付いた状態の「皮付き玉ねぎ」などを輸入しております。

現在出荷中の長ねぎ、青ねぎ、人参及びキャベツの産地は中国南東部の福建省でございます。

剥き玉ねぎ
剥き玉ねぎ
上下芯取り玉ねぎ
上下芯取り玉ねぎ

先週、船積みされた野菜はほんのわずか

――中国産野菜の輸入への影響は実際にある?

新型肺炎の感染が拡大する中、中国春節(旧正月)休暇期間が延長になりましたが、先週2月10日からは生産活動が再開し、今は徐々に回復しています。

当社が輸入しているものに関しては、2月15日に船積みされたものはわずかでしたが、在庫確保をしながら既存のお客様の使用分は守っております。

――感染者が多い武漢市は、輸入に影響を与えている?

基本的に各省各地域の港から、船便で日本に届きます。武漢市を通過することはないので、輸送に関しての影響はありません。

国産野菜が豊作のため、心配しなくて良い

――ここ数週間、中国産の野菜が日本に入って来なくても大丈夫?

全く入ってこなくなることは御座いません。今年は国産(日本産)の野菜が豊作で、安定供給ができています。また、消費が鈍っているため、心配するほどではありません。

――値段は高騰していると聞くが?

品目により、高騰しています。価格は、例えば業務用向けのむき玉ねぎの場合、1月は1キロ80円台でしたが、2月中旬は1キロ110円台となっています。一時的な相場と思われます。

――今後はどうなりそう?

中国側は、新型コロナウイルスの予防対策を徹底し、感染拡大を抑え込むことに力を入れて取り組んでおります。来週の船積みから、前向きに全面的な生産活動再開を行っているため、回復傾向にあります。3月下旬に入れば供給に関しては元に戻ると思います。

皆さん、心配しないでください。


中国産の野菜は一時的に輸入が少なくなっていたものの、今後は回復傾向にあるという。ただ日本には、野菜以外にもメイドインチャイナのものは多くある。現状が長引くと様々な影響が出てくることが予想されるので一刻も早い新型コロナの感染終息を願うばかりだ。

「感染拡大…新型コロナウイルス」特集すべて見る!
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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。