仙台市が導入を急ぐ「宿泊税」

宿泊税の導入を急ぐのは、「県に注文をつけるため」。
こう語るのは、宮城・仙台市議会自民党会派の会長・斎藤範夫議員。

仙台市議会 自民党会派会長・斎藤範夫議員:
宮城県が先行して議論している。いろいろな意味で、(県に)注文をつけるためには、仙台市も急ぐ必要がある

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仙台市議会 自民党会派会長・斎藤範夫議員(2019年12月17日):
本市における宿泊税の導入について、時機を逸することのないよう、早急に検討を進めることを強く求める

斎藤議員は2019年12月、宿泊税が“県の税金”として導入されれば、「仙台の観光振興のためにあまり活用されない」と懸念を表明。

この背景にあるのは...

仙台市議会 自民党会派会長・斎藤範夫議員:
「みやぎ環境税」や「みやぎ発展税」の二の舞になるのではと懸念があった。大半が仙台市域から税収を確保しているが、仙台市にはほとんど使われていない

市内の税収分は市内に使われるのか?

2011年に導入された「みやぎ環境税」。
年間で個人から1,200円、法人から最大8万円を徴収し、県内の自治体が行う地球温暖化対策や、自然保護などに活用されている。

2018年度の税収は、およそ17億2,000万円。
実は、その半分以上にあたる9億円余りを、仙台市内の法人や仙台市民が納めている。

ところが、仙台市への配分額は9,500万円ほど。
全体のわずか5%に過ぎない。

県の宿泊税の場合も、県内全体の宿泊者のうち6割を占める仙台市が、課税の主な対象となる。
しかし、仙台市内からの税収分が全て仙台市内に使われるかは、いまのところ不透明。

仙台市議会 自民党会派会長・斎藤範夫議員:
仙台市内にお金が使われないということでは困る。宿泊事業者の間でも、どうせ導入するなら仙台市でやってもらいたいという声も多かった

検討会議はわずか「1カ月」

県に遅れること1年3カ月。
仙台市も1月、検討に取りかかった。
しかし...

「ホテル旅館組合」組合長:
宿泊業だけが、二重三重の税負担(消費税・入湯税・宿泊税)。宿泊者離れが起こってしまうのでは

「ホテル総支配人協議会」副会長:
宿泊者を増やそうというときに宿泊税として税をとるのか、矛盾があるのではないか

議論が紛糾する中、検討会議は1カ月にも満たない期間、3回の話し合いで素案をとりまとめることに。
第3回の会合後、志賀秀一会長は...。

ーーコンセンサス(意見の一致)取れた?

検討会議 志賀秀一会長:

まだはっきり、こうだと言えるように感じていませんね。悩んでいるというか。いろいろな財源を検討している

2月に公表された検討会議の素案。新たな観光財源として、「宿泊税が適当」と明記する一方、「宿泊税には反対」という委員の意見も。しかし、仙台市は「宿泊税そのものへの反対意見はあっても、県が導入する以上、仙台市も準備を進める必要があると、委員の間で一致した」と話している。

仙台を訪れた宿泊客は...。

福島県からの宿泊客:
だめだと言っても、そういうわけにいかない。できれば、宿泊税はない方がいいが...

徳島県からの宿泊客:
(宿泊税が)何に使われるかわからないから、皆さん反対するのでは

郡市長はすでに、課税額の割合について県と調整する意向を示している。

仙台市・郡和子市長:
仮に、県と仙台市がそれぞれ(宿泊税を)課税する場合、宿泊者や事業者への負担が過重とならないよう配慮する必要がある。市議会での議論をふまえ、県と十分に協議を行う

専門家は、「増税の議論としては、あまりに拙速だ」と指摘する。

東北大学大学院・河村和徳准教授:
なぜ(宿泊税を)取るのか。なぜ県と違う税源を探さないのか。長期的戦略のないまま、(税金を)取れるなら取りたいという印象を与えている。1年くらいかけて、普通は準備するのが筋。
納得しないままの見切り発車。民主主義は「納得の最大化」がプロセスで大事なので、県議会や市議会が問われている。議会がどれだけ議論を深められるか

仙台市は、3月16日まで市民から意見を募集し、検討結果を2019年度中にまとめることにしている。

(仙台放送)

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