3戦目ネバダ州の最新情勢 主要候補“自虐ネタ”も…

米大統領選に向けた民主党候補者指名争いの3戦目、ネバダ州党員集会が2月22日、行われる。最新の世論調査で全国支持率トップに立つサンダース上院議員が勢いを維持できるのか、また、バイデン前副大統領、ブティジェッジ前サウスベンド市長をはじめとする中道派内のレース展開がどうなるのか、ここでの結果は今後を大きく占うことになる。特に、序盤戦で大きく出遅れたバイデン氏は、結果次第で「撤退」に追い込まれる可能性もある。

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2月19日現在の情勢では、サンダース氏がこれまでネバダ州で優勢だったバイデン氏を抜き、大きくリードする展開だ。

■ネバダ州での最新世論調査(リアルクリアポリティクス)
サンダース 30.0
バイデン 16.0
ウォーレン 14.5
ブティジェッジ 12.5
ステイヤー 10.5
クロブシャー 9.5

序盤戦のアイオワ州、ニューハンプシャー州を終え、レース展開は大きく変わった。全国の世論調査でもサンダース氏が躍進しトップになり、それまで“最有力候補”とされていたバイデン氏は2位に順位を落とした。バイデン氏の失速はもはや明確で、選挙陣営が支持者向けにアピールするはずの配信メールには「悪いニュース」「とても残念だ…」などと“自虐ネタ”ともとれる悲観的な文言が並び、支持者のつなぎ止めに腐心する様子がうかがえる。また、2戦目でサンダース氏に敗北したブティジェッジ氏も5位と伸び悩みをみせる。

■全国での最新世論調査(リアルクリアポリティクス)
サンダース 28.6
バイデン 17.6
ブルームバーグ 15.9
ウォーレン 12.3
ブティジェッジ 10.3
クロブシャー 6.6

「バイデン氏で勝てるのか…」中道票がブルームバーグ氏に流入

ここにきて順位を上げるのは、中道派の大富豪・ブルームバーグ前ニューヨーク市長だ。同氏の選挙戦略は、序盤戦を捨て、各州の予備選が集中する3月3日の「スーパーチューズデー」から本格参戦するといういわば「奇策」。現状、選挙戦でほとんど姿を見せていないにも関わらず、約450億円もの巨額の広告費を投じて、着実に順位を上げるさまは「不気味だ」との声も上がる。また、序盤戦を捨てる奇策は民主主義的ではないとの批判もある。一方、「序盤戦の一番の勝者はブルームバーグ氏だ」とも評され、毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい大混戦から距離を置く戦略は成功したとの見方が強いのが実情だ。

中道派の候補者 左からブティジェッジ氏、ブルームバーグ氏、バイデン氏、クロブシャー氏

中道派の支持者の多くは今、「バイデン氏でトランプ大統領に勝てるのか」との疑問に揺れ動いているとされる。ブルームバーグ氏が2月15日、バージニア州リッチモンドで行った演説集会には約900人の支持者が集まり、会場を埋め尽くした。支持者らに話を聞くと、ブルームバーグ氏支持の最大の理由は「トランプに勝てる候補だから」という回答が目立った。

集会参加者の話①「バイデン氏は大好きだ。偉大だし、とても良い人間だ。でも大統領として必要な資質を持っているのかわからない。一方、ブルームバーグ氏はトランプ大統領に勝てる最有力候補だと思う」

集会参加者の話②「トランプ大統領に勝てる候補を探している。ブルームバーグ氏ならそれを成し遂げられると思う。残念ながら、バイデン氏の時代はもう終わってしまった」

バージニア州のビール工場で演説集会を開くブルームバーグ氏
手作りのサインで応援する支持者たち
「勝てる候補を選ぶ」と語る支持者

トランプ大統領もロック・オン 「億万長者対決」に危機感!?

実は、「トランプ大統領に勝てる候補」というカードは、かつてバイデン氏の“最大の武器”だった。しかし、今、それがブルームバーグ氏にとって代わろうとしている。ブルームバーグ氏には、バイデン氏に代わる中道派の“最有力候補”として白羽の矢が立っている。その反証として、最近では、トランプ大統領自身がブルームバーグ氏を「ミニ・マイク」と呼んで自分より身長が低いことをからかい、攻撃に躍起になっている。自身のライバルとして“ロック・オン”した形だ。

ちなみに、ブルームバーグ氏はトランプ大統領をはるかにしのぐ規模の大富豪だ。2019年の米誌フォーブスの長者番付では、ブルームバーグ氏が世界9位、トランプ大統領は715位で、トランプ大統領にとっては「許しがたい存在」「絶対に受け入れられない対戦相手」とも揶揄される。

■トランプ大統領との一騎打ちを想定した調査(リアルクリアポリティクス)
トランプ 45.6 VS バイデン 50.4 (バイデン+4.8)
トランプ 45.0 VS ブルームバーグ 49.6 (ブルームバーグ+4.6)
トランプ 45.6 VS サンダース 50.2 (サンダース+4.6)
トランプ 45.8 VS ブティジェッジ 48.0 (ブティジェッジ+2.2)

攻撃を強めるのはトランプ大統領だけではない。

ブルームバーグ氏が市長時代に推進したニューヨーク市警の取締り政策「ストップ・アンド・フリスク」への批判が再び高まっている。同政策では有色人種が標的となることが多く、人種差別的とされる。ブルームバーグ氏も批判に対応する形で謝罪を表明したものの、2月15日の集会にはブルームバーグ氏を「人種差別的だ」と主張する抗議者が乱入する一幕もあった。バイデン氏をはじめとするライバルの候補者たちもすでにやり玉にあげていて、選挙戦への本格参戦後には、風当たりがさらに強まることが予想される。これらをくぐり抜け、本選でトランプ大統領と対峙する「億万長者対決」が実現するのか、大きな注目が集まる。

【執筆:FNNワシントン支局 瀬島隆太郎】

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