トランプ大統領との違いを強調するブルームバーグ氏

ブルームバーグ氏の集会 2月15日バージニア州リッチモンドにて

バージニア州リッチモンドで行われた集会でブルームバーグ前ニューヨーク市長は集まった支持者を前に高らかに宣言した。
「私こそがトランプを倒すことが出来るのです」
日頃の取材でトランプ大統領の演説に慣れてしまったせいか、演説は論理的で“お行儀のいい”印象を受けた。

「私とトランプは共にニューヨーク出身ですが、この2人ほど中身の違う人間はいません」
ブルームバーグ氏はトランプ大統領との違いを強調した。
「トランプは約束を破ります、私は有言実行です」
「トランプは分断を作ります、私は調和を求めます」
「トランプは環境問題を否定します、私は科学データーに基づき問題に取り組んでいます」
そして極めつけはこの一言だった。
「トランプは財産分与を受けたが、私は自分で財を成した!」

ブルームバーグ氏の資産は約6兆円と言われる。これはトランプ大統領の資産の約20倍に相当する。この桁違いの財力を自らの選挙戦に投じ、今やブルームバーグ氏の選挙広告をテレビやネットで見ない日は無いほどだ。

しかし、地元メディアには気になる報道も・・・
それはブルームバーグ氏がこれだけ力を込めてトランプ大統領との違いを強調しているにも関わらず、実はトランプ大統領と共通点が多いという指摘だ。

実は・・・似た者同士?!

トランプ大統領との類似点 その①「ファストフード好き」

ブルームバーグ氏はコロラド州のスキーリゾートに隣接する別荘や、温暖なフロリダ州に別荘があるほか、ニューヨークには2軒の豪邸を所有する大金持ち。しかし大好物は、チーズハンバーガーやホットドックなどのファストフードで、どの料理にも塩をたっぷりかけて食べるという。トランプ大統領もファストフード好きを公言している。
そして、2人の類似点は、食の好みに留まらない。

トランプ大統領との類似点 その②「女性蔑視発言」

複数のメディアの報道によると90年代にブルームバーグ氏は自身が経営する会社で、女性社員に対して「いい尻をしているな」など女性蔑視発言を繰り返したとされ、少なくとも2度裁判沙汰となっている。トランプ大統領も2016年の大統領選のさなか女性を性的に蔑視する自身の音声が明るみに出て大きな騒ぎとなった。

トランプ大統領との類似点 その③「人種差別的な言動」

ニューヨークタイムズ紙は人種差別的考え方がトランプ大統領と似ていると指摘する。ブルームバーグ氏にはニューヨーク市長時代、治安改善を名目に黒人やヒスパニックを集中的に所持品検査したとの批判がある。一方のトランプ大統領も非白人の女性議員に対し「国に送還すべきだ」と発言し大きな問題となった。

ブルームバーグ氏はニューヨーク市長時代の取り締まりに関して「誤った施策だった。申し訳ないと思っている」と謝罪しているが、黒人やヒスパニックの支持者をどれだけ取り込めるか、今後候補者として勝ち残るために重要なカギとなりそうだ。

「出遅れ」を「戦略」に

演説を終え会場を後にするブルームバーグ氏 2月15日バージニア州リッチモンドにて

11月の大統領選に向けた民主党候補者選びの山場がいよいよやってくる。
各州に振り分けられた代議員の獲得数で候補者が絞り込まれていく予備選挙だが、その代議員の約34%が決まる3月3日の「スーパーチューズデー」まで2週間を切った。ブルームバーグ氏は他の候補から1か月遅れて本格参戦することになる。

ただ、他の民主党候補が2月の予備選で決まる約4%の代議員の獲得に血眼になっているのを横目に、ブルームバーグ氏は一足先に、「スーパーチューズデー」で予備選が行われるバージニアなどの各州を猛烈なペースで回り、積極的なキャンペーンを繰り広げている。「出遅れ」が結果的には選挙戦を優位に戦う「戦略」となるかもしれない。

民主党支持者が求めているのは「トランプ大統領を倒すことのできる候補者」だ。
トランプ大統領との類似性が指摘されるブルームバーグ氏は既に他の民主党候補の格好の攻撃対象となっているが、長年取り組んでいる「銃規制」や「環境問題」で独自性をアピールして勝ち残り、トランプ大統領の対抗馬となれるのか、スーパーチューズデーがその試金石となる 。

【執筆:FNNワシントン支局長 ダッチャー・藤田水美】
【イラスト:石橋由妃 】

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