広がる感染…新たに小学生の感染も確認

国内で増え続ける、新型コロナウイルスの感染者。

20日には福岡県で日本人男性(60代)とその妻、沖縄県で男性(80代)、千葉県で女性(70代)の感染を確認。千葉県の女性は発熱後、電車と飛行機を乗り継ぎ、県外へ旅行に出かけたことも明らかになった。

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そんな中、北海道では21日、新たに3人の感染を確認。うち1人は千歳空港検疫所に勤務する日本人女性(40代)であり、海外への渡航歴はなく、現在その行動歴や濃厚接触者について調査しているという。

残る2人は小学生の兄弟であり、海外への渡航歴がなく、うち1人は10歳未満。北海道知事は21日の会見で、新たな感染者である兄弟について、年齢だけではなく具体的な学校名まで発表した。

北海道・鈴木直道知事:
2人とも「中富良野小学校」に通う小学生でございます。行動歴や濃厚接触者については調査をしています。陽性が出た2人については全身状態が良好でありまして、今しっかりとした医療体制の中で健康状態の経過を見ていく状況です。

情報公開の基準にばらつき

国内感染者は合計731人となった、新型コロナウイルス。感染経路が分からないケースが増え、不安が広がっているが、そんな中で大切になってくるのが、情報公開だ。

北海道知事は今回の情報公開について「公衆衛生上の必要性や個人情報の観点からケースごとに判断しているが、今回は必要と判断した」と話しているが、現在、感染者の情報については都道府県によって公開が大きく異なっているのだ。

加藤綾子キャスター:
特徴的な例を見ていきますが、大阪府では「正確な情報を出すことが冷静な行動につながる」として、1月に感染が判明した女性について行動歴を公表しました。東京でも2月15日に感染が確認された40代の感染者に関して「東海道新幹線で愛知県に出張した」と公表しています。一方で、奈良県では感染者の職業や年齢などは公表しているんですが、発症後、どの交通機関を使ったかなどの詳細については個人情報の観点から公表を控えているんです。北海道では2月14日に感染者が分かった際、感染者の国籍や職業などは明らかにしていなかったんですが、住民の方から「情報が少なすぎる」と非難が寄せられ、これを受けて3日後に方針転換をして、職業などの情報を原則発表することにしたんです。

公開基準に今後「統一見解」は?

都道府県によりばらつきのある情報公開だが、現在、自治体に情報公開についての統一の基準はないという。

これについて、危機管理に詳しい防災システム研究所所長の山村武彦氏は「各都道府県などが独自にバラバラの基準で情報を流している状況では、変な憶測を招いてしまう危険性がある。国が情報開示の統一のルールを責任を持って示すべき」と指摘している。

一方で、感染症対策に詳しい岩崎恵美子氏が指摘するのは、情報を公開すること自体への疑問

「春節の時期に多くの中国人が来日しており、その時にはすでにウイルスが入り込んでいて、今では日本全国どこでもウイルス感染の可能性はあると思ったほうがいい」とした上で「感染者が出た際に情報を出すが、現在ではほとんど意味が無い」と指摘する。

フジテレビ・風間晋解説委員:
誰もが「私は感染者との接点はないな、だから私はセーフだ」と確認したい気持ちはありますよね。同時に、政府はまだパニックを起こさずに感染者の行動歴を静かに確認する、それを関係する自治体や会社を通じて確認していきたい、というそういうフェーズなんだと思います。逆に言えば、情報がバンバン出てくる時というのはもう政府や自治体の手に負えませんと。「情報を全部出しますから、あとはご自分で気をつけてください、以上!」っていうフェーズになるんじゃないかと思うんですね。もう、それぞれで自分の身を守ってもらうしかないですというサインでもあるという見方もできるかなと思います。

加藤綾子キャスター:
情報が公開されたというのは、手に負えなくなってきたぞという意思の表れだと?

フジテレビ・風間晋解説委員:
もう、それぞれで自分の身を守ってもらうしかないです、というサインでもあるという見方もできるかなと思います。


感染者の情報について、厚生労働省は「対応に関しては各都道府県にお願いしている」として、今後、政府として統一見解を作るかどうかは明らかにしていない。

(「Live News it!」2月21日放送分より)