「次の総理」調査で石破氏がリード広げトップ維持

FNNは2月22・23日の両日、全国の有権者を対象に電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し1040人から回答を得た。
この中で、「次の総理大臣にもっともふさわしいと思う政治家は誰か」について10人の政治家の名前をあげて聞いたが、その結果は顕著な傾向を示していた。

石破茂 21.2%
安倍晋三 15.0%
小泉進次郎 8.6%
枝野幸男 6.0%
河野太郎 4.4%
菅義偉 2.4%
岸田文雄 2.4%
野田聖子 1.2%
茂木敏充 0.4%
加藤勝信 0.4%
この中にはいない 26.0%

2019年の自民党総裁選挙で安倍首相に敗れた後、党内で孤立気味の状況が続いている石破茂元幹事長が2位に6ポイント以上の差を付けてのトップとなったのだ。
そして、安倍首相、小泉進次郎環境相、枝野幸男立憲民主党代表と続き、以下は5%以下となっている。

過去3回の調査と比較してわかる3つの傾向

そしてこの結果を、FNNが2019年に3回にわたって行った同じ質問の結果と比較すると、3つの特徴が浮き上がる。

(以下、左から順に 2019年4月・9月・12月・2020年2月の数字)
石破茂 20.7% 16.0% 18.5% 21.2%
安倍晋三 ― 17.3% 18.2% 15.0%
小泉進次郎 25.9% 14.3% 14.5% 8.6%
枝野幸男 4.0% 4.1% 4.7% 6.0%
河野太郎 3.4% 5.9% 5.3% 4.4%
菅義偉 5.8% 6.3% 3.0% 2.4%
岸田文雄 8.4% 5.0% 2.7% 2.4%
野田聖子 2.0% 0.9% 0.9% 1.2%
茂木敏充 0.2% 1.1% 0.6% 0.4%
加藤勝信 0.7% 0.5% 0.2% 0.4%

傾向1 石破氏は2019年秋以降右肩上がりに
トップの石破氏の数字は前回の2019年12月比で2.7ポイント上昇し、2019年9月と比べると5.2ポイントも上がっている。
この間に石破氏に世間の大きな耳目を引く実績があったかというと特にはなく、節目節目で安倍政権への苦言を呈しているのがニュースになる程度だ。
それでも上昇しているのは、この約半年の間に安倍内閣の政策に不満を感じた人の一定の受け皿となっているためだと見られる。

傾向2 小泉進次郎環境相の人気が急落
小泉進次郎環境相については、前回調査より5.9ポイントも急落した。
自身を支持していた人の約4割を失った形で、2019年4月と比べると約3分の1にまで落ち込んだ。
下落の理由は、新型コロナウイルスに関する政府対策本部の会議を欠席し地元後援会の新年会に出席していたことと、それをめぐる説明への批判と見て間違いないだろう。
国民目線での真摯な姿勢が売りの1つだった進次郎氏だけに、今回の一件はより大きく響いた面もありそうだ。

傾向3 安倍内閣の閣僚や党幹部は前回比で軒並み下落
今回の調査を前回と比較すると、安倍首相と、安倍内閣の閣僚や自民党幹部の数字が軒並み下落している。
安倍首相が3.2ポイント、河野防衛相が0.9ポイント、菅官房長官が0.6ポイント、岸田政調会長が0.3ポイント、茂木外相が0.2ポイントの下落で、小泉環境相は先述の通りだ。
加藤厚労相は0.2%から0.4%に上昇したが、元の数字が低い中で、新型コロナウイルス対応で知名度が上がり微増したと見られるが、露出の多さと比べると上がり幅は小さい感もある。
今回の調査では内閣支持率が前月比8.4ポイント急落したが、その影響が閣僚や党幹部にも出た形だ。

自民党支持層では安倍首相が断トツ首位

以上のように見ると、次期首相レースを考える上では石破氏がリードを広げ、その他の人物がじわりと後退したようにも見えるが、次期首相を事実上決める自民党総裁選では、あくまで自民党員と自民党所属国会議員の意思が反映される。
そこで、改めて自民党支持層に限っての今回の調査結果を、最近の推移も含め見てみる。(野党の枝野氏は除く)

(以下、左から順に 2019年9月・12月・2020年2月の数字)
安倍晋三 28.4% 34.4% 33.9%
石破茂 11.8% 20.6% 16.9%
小泉進次郎 14.2% 10.9% 11.0%
河野太郎 7.8% 6.5% 6.2%
岸田文雄 6.9% 4.6% 5.0%
菅義偉 8.4% 5.7% 3.8%
加藤勝信 0.3% 0.0% 1.2%
茂木敏充 1.7% 1.1% 0.7%
野田聖子 0.7% 0.5% 0.5%

このように、自民党支持層で見ると、安倍首相が石破氏をダブルスコアで引き離しトップに立っている。
自民層支持層の中には安倍首相の4選を望む声が根強いことがわかる。
一方の石破氏は全体では上昇していたのに、自民党支持層では逆に数字を下げている。どうしてこうした現象が起きたのか。

それは、今回自民党支持と答えた人が前月比7.8ポイント減ったことが原因と見られる。
今回、新型コロナウイルスの対応や国会での様々な追及などをきっかけに自民支持から離れた人は、安倍政権の中核的な支持層ではなく、ライトな支持層なのだと見られる。そのライトな支持層が前回は石破氏と答えていたが、その人たちが自民党支持ではなくなり、この集計の対象から外れたとみるのが妥当だろう。

また、この自民支持層に限った調査で見ると、岸田氏がやや伸び、菅氏を逆転した。
安倍首相の後継を目指す岸田氏にとっては、一時は最大のライバルになるのではと見られた菅氏を、自民支持層に限れば抑えた形になったのは、勇気づけられるデータかもしれない。
また、自民支持層に限れば小泉進次郎氏の割合が減っていないのも興味深い。

無党派層からの人気は 石破氏“一強”

一方で、衆議院の解散総選挙があった場合に勝敗のカギを握るのは、無党派層の動向だ。
そこで「支持政党なし」と答えた人に限っての数字を、今回と前回の比較で見てみたい。

(以下、左から順に 2019年12月・2020年2月の数字)
石破茂 18.2% 22.3%
小泉進次郎 19.3% 8.4%
安倍晋三 7.5% 4.3%
河野太郎 4.8% 4.1%
菅義偉 0.8% 2.3%
野田聖子 1.1% 1.6%
岸田文雄 1.1% 1.4%
茂木敏充 0.2% 0.2%
加藤勝信 0.2% 0.0%

このように、前回は小泉環境相と石破氏が2トップを形成していたのだが、小泉氏は急落し、無党派層については、さらに数字を伸ばした石破氏の1強とも言える状態になった。そして安倍首相は4.3%という数字に落ち込んでいる。

こうしてみると、自民党の岩盤支持層が4選を望む安倍首相、総選挙のカギを握る無党派層が望んでいる石破氏、現時点ではまだポスト安倍の認知度が薄いが虎視眈々とその座を狙いアピールを図る岸田氏をはじめとした政権幹部たちという構図が顕著になった感がある。
そうした状況下で、国民世論からの支持と、自民党内での多数派形成に向けた“ポスト安倍レース”が続いていくことになる。

野党の枝野代表の未来

最後に立憲民主党の枝野代表について触れておくと、全体では前回の4.7%から6.0%に微増した。
そして、前回は立憲民主党支持層の中で見ても枝野氏は石破氏の後塵を拝していたが、今回は枝野氏35.1%・石破氏32.2%で、枝野氏がトップとなり党首としての面目を保った。

一方で「支持政党なし」と答えた人の中で、枝野氏の名を挙げた人は4.2%に留まっていて、政権を託す対象としてはまだ見られていないことが窺える。
枝野氏は通常国会冒頭の代表質問で、自らの政権ビジョンを示したが、「政権政策」に関する発信をさらに強め、同時に野党連携の中での政権の形をいかに示していくかが、「次の総理」候補としてより認知されるための課題となりそうだ。
(フジテレビ政治部デスク 高田圭太)