政府の水際対策への評価は拮抗も情報提供に“不満”強く…

FNNは2月22・23日の両日、全国の有権者を対象に電話世論調査(固定電話+携帯電話・ROD方式)を実施し1040人から回答を得た。その中で感染が拡大している新型コロナウイルスに関する認識や政府の対応への評価などを聞いたところ、様々な傾向が浮かび上がった。

まず政府の対応についてだが、「政府は一部の外国人の入国拒否や、クルーズ船を留め置いての検疫などを行っている。日本政府のこれまでの対応を評価するか」と聞いたところ、「評価する」が46.3%、「評価しない」が45.3%と拮抗する中で、わずかに評価が上回った。

2月のFNN世論調査より

一方で「新型コロナウイルスに関する政府の情報提供は十分かつ的確だと思うか」を聞いたところ、「思う」が23.9%、「思わない」が68.6%と、政府の情報提供に不満を感じている人が7割近くにのぼった。また、今回の調査で安倍内閣の支持率が8.4ポイント急落したことからも、安倍内閣の新型コロナウイルスに関する対応への不満があることがうかがえる。

2月のFNN世論調査より
2月のFNN世論調査より

以上から読み解けることは、一部外国人の入国拒否や、クルーズ船の停留・検疫などの水際対策については、国民の約半数から一定の理解が得られているものの、結果的に感染が止められていないことや、クルーズ船の乗客の扱いなどへの不信感が根強く、こうした「不信」「不安」が政府の情報提供への不満につながっているのではという点だ。

国民の不安の根深さと関心の高さが顕著に

こうした国民の政府への不満の根底にあるのが、新型コロナウイルスに対する警戒感の強さと関心の高さだ。それは、以下の4つの設問の答えに如実に表れている。

<新型コロナウイルスにどの程度不安を感じているか>
大いに感じる…41.3%、ある程度感じる…43.7% あまり感じない…12.2% 、まったく感じない…2.0%

2月のFNN世論調査より

<日本の観光地で宿泊施設のキャンセルなどが相次いでいる。感染拡大による日本経済への影響をどのくらい懸念しているか>
大変懸念…48.1%、ある程度懸念…42.7%、あまり懸念していない…6.8%、全く懸念していない…1.4%

<入念な手洗いやマスクの着用、外出を控えたり人混みをさけたりすることなど、新型コロナウイルスに感染しないようにするための行動を取っているか>
取っている…81.9%、 取っていない17.4%

<あなたは政府が公表した「医療機関受診の目安」を知っているか>
知っている…59.4%、知らない…38.8%

2月のFNN世論調査より

このように、新型コロナウイルスに不安を感じている人は8割超、日本経済への影響を懸念している人は9割超にのぼった。そして、8割以上が感染防止に向けた行動を取り、政府が公表した「受診の目安」も6割近くの人が知っていた。国民全体が強い不安を感じ、普段は政治や行政に関心のない人も、政府の情報発信に敏感になっていることがわかる。

不安感は女性の方が男性より強く政府対応にも厳しい目線

そして、男女別に見ると、興味深い傾向も見て取れた。まず新型コロナウイルスへの不安感について「大いに感じる」と「ある程度感じる」と答えた人の割合を男女別で見ると、男性79.5%、女性90.3%と、女性の方が不安に感じていることがわかった。自身で対策を取っている人の割合も女性の方が多い。

さらに、先述の政府による入国拒否やクルーズ船検疫などのこれまでの対応についての回答では、評価する人の割合が男性では51.7%だったのに対し、女性では41.3%に留まり、評価しない人の方が上回った。総じて今回のウイルスに関しては女性の方が敏感であり、政府の対応についても厳しい目を向けているということになる。

中国からの入国制限強化に賛成の人が多数に

中国・湖北省武漢市の医療機関

では、日本政府は今後、どのように対応すればいいのだろうか。政府は現在、武漢市のある湖北省と浙江省に滞在歴のある外国人の入国を禁止しているが、さらに厳しい入国制限措置が必要だと思うか聞いたところ、「思う」が75.8%にのぼり、「思わない」は20.0%にとどまった。

一方で自民党の保守派などからは、さらに厳しく、中国全土からの外国人の入国を当面禁止すべきだという意見も出ている。ただ政府としては、中国全土からの入国禁止は、物資の供給停滞など日本の経済に与える影響が大きく、現時点で慎重姿勢だ。

しかし、今回の調査で「中国全土からの日本入国を一時的に禁止すべきだとの意見がある。この意見に賛成か」と聞いたところ、賛成が67.7%に達し、反対は25.1%にとどまった。ちなみに内閣支持別で見てみると、安倍内閣支持層では64.8%、不支持層で71.6%と不支持層の方がより厳しい措置をより強く望んでいる。こうした意見にどう対処していくかも、安倍首相にとっては難しい問題だ。

そして、今春に予定されている中国の習近平国家主席の国賓としての来日については、賛成が43.8%、反対が41.7%と賛否が拮抗した。安倍内閣支持層では50.3%が賛成、40.5%が反対という結果で、男女別だと男性では賛成が51.8%だったが、女性では賛成が36.3%にとどまった。

中国の習近平国家主席(北京・10日)

政府の対応と国民の意識をめぐって2つの矛盾も

今回の調査をよく分析すると見えてくるのが、世論も2つの矛盾を抱えているということだ。1つは国民の多くが、新型コロナウイルスに関する極めて強い不安を抱いているが、かといって政府が過度に不安の払拭に努めれば、国民から情報発信の正確性を疑われてしまう危険性があるという点だ。

もう1つは、国民の多くが中国からの入国をより厳しくする措置を望んでいるが、それを実行すれば同じく国民の多くが懸念している日本経済への悪影響につながってしまうという点だ。

こうした点も踏まえ、政府には、正確かつ信頼されるような情報発信と、大胆かつ冷静な感染拡大防止策が求められていると言えそうだ。

(フジテレビ政治部デスク 高田圭太)