“新型コロナ”対応で企業担当者には不安と疑問

新型コロナウイルスの感染拡大に対して、各企業ではリモートワーク導入などの対策を進めるが、ビジネス活動への影響が徐々に出てきている。

東京商工リサーチによると、愛知県蒲郡市の観光旅館「冨士見荘」は、中国人ツアーの受け入れに注力していたが、春節の大型連休と重なるタイミングで、中国からの団体ツアーのキャンセルが相次ぎ、先行きの見通しが立たなくなり、事業継続を断念したという。

企業活動の影響への懸念は強まっている。
東京商工リサーチが2月20日に発表したアンケートでは、国内企業の2割強が「新型コロナウイルスの発生で、企業活動にすでに影響が出ている」と回答した。また、「現時点で影響は出ていないが、今後影響が出る可能性がある」との回答をあわせると7割弱にのぼっている。

東京商工リサーチHPより

新型コロナウイルス対策では、時差出勤やリモートワークやなどの対策を行う企業も多くみられるが、担当者からは、どのように対策を行ったらいいかなどについて悩む声も聞かれる。
都内の某IT企業では、時差出勤を推奨したり、企業との商談や社内面談の一部をリモート対応で行ったりしているが、リモートや時差出勤に適用できない人などが一定数いて、移行が難しい状況が出ているという。

全社員や関係者に適用できないことなどから、この担当者は現在行っている対策が「本当に正解なのか?」と、今も不安を抱えている。さらには、対策をめぐる会社への疑問も感じているという。
この企業では、感染拡大を防ぐための社内アナウンスは準備しているという。
しかし、社内で従業員が発症した場合の対応については、「判断を下す経営者自身もどう対応すべきかわからない状態かもしれない」として、まだ模索中だという。

各社がそれぞれに対応取り組む…

新型コロナウイルスをめぐる“ビジネスの停滞”を避けようという取り組みも進む。
クラウド人材サービスを手がける企業「クラウドワークス」では、東京・大阪・福岡の全拠点従業員を対象とした「原則」在宅勤務を、2月17日から21日まで実施したが、25日から在宅勤務を「推奨」へと切り替えた。
25日は約半数の社員が、フルフレックス制度を活用した時差出勤などで通勤ラッシュを避けて出社したという。

2月17日の「原則在宅勤務」のオフィスの様子

在宅勤務を「推奨」とした理由については、東京・大阪・福岡で他の国などで見られたような、急激な感染拡大がなかったためだと説明する。
また、フルフレックス・フルリモート制度は2019年から導入していて、今回の流動的な勤務体制の変更でも問題が生じなかったという。

2月25日の「在宅勤務推奨」のオフィスの様子

クラウドワークスでは、今回の感染拡大を踏まえ、従業員やパートナー、そして家族などの同居者が万が一、新型コロナウイルスに感染した場合の対応を以下のように定めている。

<従業員感染の場合>
・原則として診断日から連続する14日間は出社停止
・出社停止期間を終えて出社する場合、事前に「医師の復帰可能診断書」を関連部署へ提出

<従業員のパートナーや家族などの同居者が感染した場合>
・従業員が感染者の濃厚接触者と判断された場合は、出社禁止として原則リモート勤務
・本人への毎日の体温確認を義務付け
・原則として感染者が回復したと医師の診断を受けた日の翌日から連続する14日間を出社禁止
・出社後1週間はマスク着用必須

ここ1、2週間が極めて重要な時期であるとの認識から、クラウドワークスでは、感染の急激な拡大が見込まれた場合は、再度勤務態勢を即刻変更することにしている。業務を少しずつ正常軌道に戻しつつも、警戒を当面続けていく。

企業の発表会でも影響が出始めている。
日産自動車は2月25 日の新型車の発表会をインターネット中継に切り替えた。記者席を普段の2 割程度として、発表会に参加する社員は原則マスク着用としたほか、来場者にはアルコール消毒を促した。
またソニーは、スペイン・バルセロナで予定していた新型スマートフォンの発表を動画配信に切り替えた。

日産自動車HPに掲載された会見動画より

こうした動きは今後も続きそうだ。
クラウド名刺管理サービス企業の「Sansan」は、3 月11 日に東京・表参道の本社で予定していた記者会見を、Web会議システムを活用して、オンラインで行うことを決めた。新型コロナウイルスへの対策方針として、「オフラインイベント開催の自粛」および「オンライン化の推奨」を決めていたことから、社内の会見場を使った記者会見をとりやめたかたちだ。
会見の開催が一時危ぶまれたというが、Sansan担当者以外は、全員オンラインで参加する形をとるという。
ビジネスへのダメージを減らそうという工夫が垣間見られる。

新型コロナウイルスの影響を最小限にとどめるため、さまざまな取り組みを行う各企業。
刻一刻と変化する状況に対して、次々と難しい判断に迫られる局面が続いている。

(フジテレビ報道局経済部 西村昌樹記者)