突然の休校要請…保護者は困惑
安倍首相が突如打ち出した、全国の小中学校と高校、特別支援学校を臨時休校する異例の要請。
新型コロナウイルスの脅威への「先手先手の対策」だが、子どもを持つ親たちには困惑と不安の声が広がっている。
スポーツクラブで新型コロナウイルスの感染者が確認されたことを受け、市立の小中学校などでひと足早く臨時休校が始まっているのが、千葉県市川市。
仕事をしながら小学5年生の長男と保育園児の長女を育てている石井紀恵さん(42)も、突然のことに戸惑いを見せていた。
石井さん:
上の子は残して、下の子と一緒に自転車で保育園に行って、私はそのまま出勤ですね。いつもとリズムが変わってくるというか…時間が最初の方は読めないかな。
石井さん:
おはよう!起きて、起きてください!
長男:
なんで休校なんだよ~、くっそウイルスめ…
給食もなくなったため、石井さんが普段より早く起きて用意したのは、家で留守番することになる長男の昼ごはん。
しかし石井さんが戸惑いを感じるのはいつもと違う生活のリズムだけではない。
石井さん:
(臨時休校して)本当に収束するのかなという不安ですよね。親は電車乗って会社行くけど、それで本当にいいんですか、みたいな。
留守番の長男に「ご飯食べてよ?」「宿題やってよ?」と声をかけながら、自宅を出る石井さん。「帰って顔を見るまでは心配」と話していた。
全国の保護者からも…
他にも、戸惑いの声は全国から挙がっている。
甲府市・小学生3人の母親:
子どもをひとりで置いておかなくてはいけないので、ちょっと困っています。
青森市・小学3年生の母親:
仕事休めないですし、家に(子どもが)ひとりっていうのもいけないし…
杉並区・小学1年生の母親:
もう本当困っていて…学童に行っているんですけど、それもどうなるか全然分からないので。
佐賀県・小学生2人の母親:
外で遊ばせる分にはどうなんでしょうね?一ヵ月間、ずっと家の中にいるのは健全ではないですよね。
仙台市・小学6年生の父親:
本当はこの一ヵ月で作るはずだった良い思い出をどうやって補っていくのかな、ということも心配。
「看護師出勤できず」医療現場にも影響が…
一方、27日から小中学校の臨時休校が始まっている北海道では、学校以外に思わぬ影響が広がっている。
十勝地方で最大規模の帯広厚生病院では、臨時休校の影響で子どものいる看護師約170人が出勤できなくなることが判明。これにより、28日から学校が再開されるまでの間、予約や救急以外の外来の診療を休止することが決定した。
医師からは疑問の声も
医療の現場にも影響が出る中、今回の休校要請の対象となるのは、全国の小中高等学校など合わせて約1300万人以上。
しかしその効果については、専門家から疑問の声が挙がっている。
加藤綾子キャスター:
感染症に詳しい、医師の濱木珠恵先生は「全国でも感染状況にばらつきがある中で、一律でやることは疑問だし、そもそも小中学生は重症化しにくい。ナンセンスでやりすぎだ」と語りました。
ナビタスクリニック新宿の濱木珠恵院長はさらに「満員電車などに対して十分な対策を講じていない中、学校だけを先に閉鎖すること」に疑問があるとし、また「共働き家庭の対応策はどうするのか。今回の措置は社会に大きな混乱を生む」とも指摘している。
東工大リベラルアーツ研究教育院長・上田紀行氏:
僕の大学でも緊急会議の連続なんですが、政府の対応を見ていると、とにかく「私たちは何かやっています」ということを国内にも国外にも見せたい。学校を閉鎖するというのが、一番政府がやりやすいことなんですね。だけど、政府は絶対、陽性の数を増やしたくないんです。もっと検査をすれば陽性の人が増えるんだけど、その数が一人歩きするとオリンピックにも影響してくると。
加藤綾子キャスター:
とにかく感染者数を減らしたいということですよね。
上田紀行氏:
いや、本当は感染してるんだけど、その数を見せたくないから、小学校とか中学校を休校しちゃう。もっと満員電車とか、職場の環境の方をやったほうがいいと思いますよ。
加藤綾子キャスター:
オリンピックなど一大イベントがあるので、とにかく守りたいという気持ちも分かりますけど、まずは感染防止策というところですよね。
上田紀行氏:
本質的なところをやってほしいですね。
(「Live News it!」2月28日放送分より)