世界陸連が厚底シューズの使用を禁止にするかもしれない

陸上の長距離競技で次々と好記録を生み出しているナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」。
世界陸連がこのシューズの使用を禁止する見通しだとイギリスのメディアが報じた。

2020年の箱根駅伝で区間新記録を出し注目を浴びた創価大学の嶋津選手は今回の事態ついて…

創価大学 駅伝部2年 嶋津雄大選手:
感覚とか取り戻さないといけない選手も数多くいると思うので、早く決めたほうがいいかなと思います。

皇居周辺を走るランナーも愛用しているこのシューズ。
そこでニュースのミカタは、突如禁止報道が飛び出した厚底シューズ、東京オリンピックへの影響を取材した。

 
 
この記事の画像(9枚)

ナイキ厚底シューズ「ヴェイパーフライ」とはどんな靴なのか

世界陸連が使用を禁止する見通しという厚底の「ヴェイパーフライシリーズ」。実際に履いてみると…

藤本万梨乃アナウンサー:
すごい。斜めになりますね。小さいバランスボールの上に立っているような感覚で全然違います。

もうひとつの特徴は炭素繊維のプレートによる高い反発力。実際に走ってみると…

藤本万梨乃アナウンサー:
すごい!足を前に出すのがすごく楽。全然疲れないです。

 
 

2年前のベルリンマラソンでは、このシューズを使用したケニアのキプチョゲ選手が世界記録を樹立。
一方日本では同じ年、16年ぶりに日本記録を更新した設楽悠太選手や、さらに記録を更新した大迫傑選手もこのシューズを使用。
2019年9月に行われた東京オリンピックの選考レースでは代表に内定した男女4人のうち3人が使用し話題となった。

さらに…2020月2日、3日に行われた第96回箱根駅伝で青山学院大学が大会記録を6分以上も更新し2年ぶりに優勝した。
フジテレビの調査によると、出場した全210選手のうち84パーセントにあたる177選手がこの「ヴェイパーフライ」を使用していた。
10区間中7区間で新記録を出した選手のうち6人がこのシューズを使用していた。

箱根駅伝でも注目されたシューズに浮上した使用禁止報道。その理由について箱根駅伝への出場経験もあるスポーツライターの酒井氏は…

スポーツライター酒井政人氏:
ちょっと記録が出過ぎていたというところで色々問題視されたと思います。
ナイキのシューズは厚くなることでスピードが増していると目をつけられたのでは。

そこで世界陸連をめざましテレビが取材すると、「現在のところまだ審議中で、1月末に発表できると思います」との回答だった。

 
 

今回の騒動について選手や監督はどう思っているのか

今回3度目の挑戦で初めて箱根駅伝のシード権を獲得し注目を浴びた創価大学の駅伝部。
このチームでは出場した10選手のほとんどがヴェイパーフライを使用していた。
主に普段の練習では底の薄いシューズで筋力を鍛え、試合になると「ヴェイパーフライ」を使用する。

 
 

こうした厚底シューズ使用禁止について選手たちは…

箱根駅伝補欠メンバー創価大学駅伝部1年 新家裕太郎選手:
「ヴェイパーフライ」は分厚くて疲労の少ないのが特徴だと思いますが、分厚い靴から薄い靴に戻ると疲労が溜まりやすく、感覚が違うので戸惑いがあります。履けないなら履けないで薄いシューズへの対策をしないといけないで、できるだけ早く教えてほしい。

 
 

箱根駅伝では「ヴェイパーフライ」を使用せず10区で区間新記録を出した嶋津選手は…

創価大学 駅伝部2年 嶋津雄大選手:
今までの靴と全く違うような、別次元と言ってもいいような記録が数多く出ている靴なので、そういった判断を下したのかなということで禁止の判断にも納得しています。

 
 

また選手を指導する監督は…

創価大学駅伝部 榎木和貴監督:
今までやってきたことを継続していけば厚底シューズが使えないからといってマイナスにはならない。
厚底シューズを使用禁止にして記録が取り消されるなら、選手の努力が消され納得がいかないことある。

 
 

今後への影響は…

箱根駅伝の躍進校をも混乱させている「ヴェイパーフライ」の使用禁止報道。
このシューズを使用したレースで東京五輪代表内定を勝ち取った中村匠吾選手は「選手としては決められたルールの中で対応するが、どのような結果となっても自分の力を発揮するだけと考えている」と話した。

「ヴェイパーフライ」が使用禁止になることについてスポーツライターの酒井政人氏は「3月の代表選考会に影響がでる可能性はあるが、8月の東京五輪については世界のどの選手も同じ条件のため影響はない」ということだった

 
 

(「めざましテレビ」1月17日放送分より)

【関連記事】
好記録続出で大人気のナイキ製“厚底シューズ”世界陸連が使用禁止へ…開催迫る東京五輪への影響は?