2021年4月に山陰両県で相次いだ、百貨店を名乗る特殊詐欺。その犯行グループの1人が、8月17日に鳥取地裁で判決を受けた。被告は技能実習生として来日していた中国人で、コロナ禍で困窮した末の犯行だった。

百貨店を名乗る特殊詐欺で実刑判決

17日、鳥取地裁で懲役2年6カ月の実刑判決を受けたのは、住所不定・無職の劉朋被告(34)。2年前、技能実習生として来日した中国人で、窃盗の罪で起訴されていた。

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詐欺グループの男:
鳥取大丸です。うちで商品を購入している女性がいるが、代金の引き落とし口座があなた名義になっています

2021年4月に山陰両県で相次いだ百貨店を名乗る特殊詐欺。鳥取市内の高齢女性2人が、銀行口座から現金を引き出され、あわせて約380万円をだまし取られた。

この事件で、いわゆる「出し子」としてATMから現金を引き出したのが、劉被告だった。

弁護人:
技能実習生として農家で働いていて、なぜ辞めたのですか

劉朋被告:
労働時間が短く、給料も生活や家族に送るのには厳しい額だった。その後は内装や太陽光関係の仕事をしていたが、2020年以降、新型コロナで仕事はほぼなくなっていた

劉被告は、生活苦からインターネットで知り合った男の誘いにのり、特殊詐欺に関与したと証言。

報酬として41万円を受け取り、生活費のほか、中国にいる妻と2人の子どもに送ったという。

コロナ失業が犯行の引き金に 「うまい話があれば染まりやすい」

そもそも技能実習とは、発展途上国の若者などに日本のさまざまな分野の技術を最大5年間で身につけてもらおうという国際支援制度だが、一方で安価な労働力確保が実態だとする見方が根強いのも事実。

技能実習生は全国で37万人を超え、山陰両県でも3500人近くが暮らしているが、このうち、いわゆるコロナ失業は8000人を超えているという。

こうした失業が引き金となり、犯罪につながってしまうという。

島根大学 法文学部・宮本恭子教授:
ブローカーへの支払いとか、実習生は多額の借金をして来日しているので、借金を返さないといけない。母国への仕送りもしないといけない。失業しても何とかして稼がないといけない。なので、うまい話があれば犯罪に染まりやすい

もともと厳しい経済事情を背負って来日することが多い実習生にとって、想定外のコロナ禍が心の闇を広げてしまっているようだ。

劉被告はこのまま刑が確定すれば、日本の刑務所で2年6カ月の刑期を終えた後、中国に強制送還されることになる。

(TSKさんいん中央テレビ)