1980年代、記録的大ヒットとなった映画『ビー・バップ・ハイスクール』。

この作品で俳優・仲村トオルさんと共に主演を務め、当時の中高生たちのカリスマ的存在となったのが清水宏次朗さん。

2月20日放送の「直撃!シンソウ坂上」(フジテレビ系)では、ある病により芸能活動休止を余儀なくされている清水さんの7ヵ月に渡る闘病生活に密着した。
 

体の異変は10年ほど前から

 
 
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2019年7月、関西にある清水さんの自宅を訪ねた。

ご本人自ら出迎えてくれたが、「今はもう体が動かないから、満足のいく動きが自分でできないし、芸能界は無理」と告白。

以前は切れのあるアクションシーンが得意だった清水さんだが、今は動きが緩慢で、どこかうつろな感じが否めない。

昼食に出掛けた清水さんは、「足に力が入らないというか、体が言うことを聞いてくれない。こんな数ミリの段差でつまずく。今は走れない」と明かすように、歩く姿は背筋が曲がり、足元もおぼつかない様子だ。

 
 

また別の日には妻の手を借りなければ立ち上がれず、一人で歩くことも困難な様子のときもあるだけでなく、インタビュー中も思うように言葉が出てこないときも。

清水さんが最初に体の異変に気づいたのが、10年ほど前で、Vシネマなどで活躍中の頃。寝ている間に髪の毛がびしょ濡れになるほどの発汗があり、その日から大量の汗をかくようになったという。また、出掛けるのが好きだった清水さんだが、何事にも無気力になり、外出を避けるようになった。

さらに、仕事でどうしても外出しなければならないときは、突然手が震え始め、冷や汗が出たという。
 

居酒屋でもスナックでも「酒」

 
 

現在は芸能活動を休止し、妻とスナックを経営し、生計を立てている清水さん。毎日夜の仕事に備えて昼寝をするのが日課だが、2時間後に起きると、清水さんはしばらく言葉も発せず、立ち上がることもなくベッドに腰掛けていた。

清水さんは「以前は起きたてでパッと動けたのに、今は、とりあえず体が動くようになるまで待ってあげないとどうにもならない。下手すると1時間くらいボーッとしている時がある」と明かした。

その後、勤め先のスナックに向かった清水さんだが、立ち寄った先は居酒屋。ここで仕事に行く前に夕食をとりながら、毎日酒を飲んでいるという。
 

 
 

「急に不安感にさいなまれて、仕事に対しても、生活に対しても、将来どうなるんだろう…と。酒を飲んで紛らわそうと思ってしまう」と清水さんは話し、この日はチューハイとウーロンハイの2杯を飲みきった。

それから、妻と一緒に経営しているスナックへと行ったが、特に仕事を手伝うこともなく、客と一緒に酒を飲み、話し相手となるだけ。ここでも、焼酎のお茶割りを4杯飲み干した。

実は、飲酒を止められているにもかかわらず、毎日飲み続けている清水さん。しかし、「自分の体の中に何が起きているのか、どうなっているのか、早く分かりたいし、芸能の仕事も復帰したいし、この状況をどうにか打破できればいいと思っている」と本心を明かした。
 

告げられた病名は「不安障害」

 
 

今回、取材を通して分かった症状の原因を探るため、2019年7月に都内のクリニックで検査を受ける決心をした清水さんに番組も同行。

検査の内容は血液検査と、脳の血流に異常がないかを調べる光トポグラフィーという検査と精神科医による問診だった。

病院から検査結果が出たという知らせを受け、再び都内のクリニックへとやってきた清水さん。そこで告げられた病名は「不安障害」。
 

 
 

不安障害とは、慢性的に激しい不安感に襲われ、発汗・息切れ・めまい・手足の震えなどの発作が起こり、日常に支障をきたしてしまう病。

日本不安症学会の理事を務める山田和夫医師は「不安障害は実際に増えていると思います。患者さんの数は本当に多いのですが、精神科に受診する人は少ない。受診は10%と言われているため、残り90%の人は“隠れ不安障害”と言われたりもします。芸能人は非常に多いと思います。この活躍が続けられるのか、先行きはどうなるとか将来の不安や人からどう見られているか他人の視線を意識するような不安を持つことは多いですね」と話した。

そして、不安障害と診断された場合、主に憂鬱な気分や不安の症状を改善する投薬と医師によるカウンセリングで治療することができるという。

さらに、清水さんの場合は、不安障害から派生した「アルコール依存症」というもう一つの症状があった。実際、不安障害がもとでアルコールに依存してしまうケースはよくある話だという。

清水さんの場合も、不安を打ち消すために飲酒量が増え、その結果、すい臓に大きなダメージを負い、歩行困難や立ち上がれないという症状につながっていたのだ。
 

断酒して治療に専念すると大復活!

 
 

では、清水さんが抱えていた不安とは何なのか。その理由をこう語った。

「昔と今の僕では全然違うから、昔と今の誤差が出てきたところの不安。昔の僕の動きを知っている人たちのオーダーに応えることが今、不可能だから、このまま芸能界を続けていけるのかなと不安になるよね」

かつての自分との違いに対するいらだちや、見えない将来への不安を抱えていた清水さん。自分が不安障害と診断されたことを受け、「素直に認めたくないけど、ショックはショックかな。何かにつけて人よりも不安を感じるのかな…。だから虚勢を張って自分が強いと見せていたけど、人よりナーバスなのかな。でも、先生に言われた通り、アルコールを断って、薬を頂いてポジティブな感覚になっていくことが今、一番の願いかな」と語った。

清水さんはこれ以降、アルコールを断ち、治療に専念する誓いを立てた。

そして2020年1月末、投薬治療と断酒を現在も続けている清水さんのもとを訪ねると、7ヵ月前と比べて、顔色も良く、明るい笑顔で迎えてくれた。
 

 
 

「自分の中ではすごくポジティブになっている」と語り、清水さんは身振り手振りを交え、話し方もハキハキとしていた。

そんな清水さんにとって欠かせないのが日課のウォーキング。もう、妻の手助けも必要なくなり、つま先も上がり、背筋も伸び、歩く速度も速くなり、今では軽いランニングもできるという。そして、最近は公園でストレッチなど、軽い運動も始めた。

清水さんは「普通のことを普通にできることがすごく嬉しい。アクションの世界、役者の世界、歌の世界で活躍できれば、これが当面の目標。(番組MCの坂上)忍だけど、また一緒に共演して楽しく、元気よく仕事ができれば良いと思っている」と笑顔を見せた。

現在、患者数が増えていると言われる不安障害。清水さんは今、仕事復帰に向けて、治療を続けている。
 

(「直撃!シンソウ坂上」毎週木曜 夜9:00~9:54)

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