発表会をネット中継

新型肺炎拡大による経済への打撃。とりわけ中小企業は厳しい局面を迎えている。2月25日に行われた日産自動車の新型車の発表会では…

日産自動車 星野朝子執行役副社長:
昨今の状況に鑑みまして、本邦初の日産としてはインターネットでの発表会とさせていただきます。

日産自動車・星野朝子執行役副社長

新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、初めて発表会をネット中継で行った。

ネット中継された日産自動車の発表会

一方ソニーも、新製品を発表する予定だったスペイン・バルセロナのイベントが中止になったことから、動画配信に切り替えるなど企業活動にもさまざまな影響を与えている。

ソニーも動画配信

大企業と中小企業で対策に開き

また、資生堂やパナソニックなどで、グループの一部社員を対象に在宅勤務の導入や強化が行われるなど、大手企業では対策が取られ始めているが、この対策にも企業の規模によって大きな開きが出てきている。

日本企業の99.7%は中小企業。ある調査会社の調べによると、新型コロナウイルスについて「今後何らかの対応をとる可能性がある」「すでに対応を取っている」としているのは、大企業が39.5%であるのに対し、中小企業はその約半分の20.2%だった。(東京商工リサーチ調べ)

客足減少で自己破産も…観光地でも不安の声

中小企業が難しい対応を迫られる中、帝国データバンクによると、北海道栗山町にあるコロッケの製造販売会社「北海道三富屋」が、25日に自己破産を申請。

昨今の販売不振に加え、出店していた札幌市内のイベントで新型コロナウイルスの影響により来場者が伸び悩んだことなどから、先行きの見通しが立たなくなったという。

一方、外国人にも人気の観光地である東京・浅草。その駅前に店を構える創業150年の日本茶やソフトクリームなどが人気の店は、普段に比べて客足が約半分に減っているという。

増田園総本店 増田寿子さん:
ここ2~3週間ですかね。2月に入ってから。本当は春節でいっぱい中国・台湾の方が来るはずだったのが、ちょっとがんばらないと厳しいですね。

特に減っているのが外国人客。さらに今後への不安も。

増田園総本店 増田寿子さん:
これが3月末の花見のシーズンまでなると、人また減ったら嫌だなというのはあります。

感染拡大を食い止める“瀬戸際”となる今後1~2週間は、企業やお店にとってもまさに正念場だ。

中小企業の苦しい実情 今後は8割の企業に影響拡大か

企業アンケートからも中小企業の苦しい実情が数字となって浮かびあがってきた。

東京商工リサーチは、国内の約1万2,000社にアンケートを実施。「新型肺炎の影響をすでに受けている」もしくは「今後影響が出る」と答えた企業が66.4%で、これは約1週間前の2月20日時点での数字だ。

そんな中、政府は25日に基本方針を発表し、26日には2週間程度のイベントの自粛要請を表明した。

これを受け、今後、影響を受ける企業は8割程度まで増えるのではないかと見られ、中小企業の中には、破産だけではなく自主廃業に踏み切るところも出てくるのではないかと分析している。

こうした企業を守るため、政府は総額5000億円の緊急貸付・保証枠を設けることを決定しているが、これを利用すれば中小企業は借金を抱えることにもなるため、東京商工リサーチの担当者は、どこまで積極的に利用できるかという点については懸念が残ると話している。

「国民の一斉休業」で経済主体が“封じ込め”に参加できる体制を

三田友梨佳キャスター:
経営体力の弱い中小企業にとっては、難しい対応を迫られていますね。

早稲田大学ビジネススクール 長内厚教授:
安全を取るか、もしくは経済をとるか、難しい問題だと思います。特に、体力の弱い中小企業にとっては非常に難しい問題です。そうした中で26日、政府が「2週間イベント自粛要請」と明確な期間と要請を出したということは、非常に評価できると思います。

実は、私も早稲田と九州大学で共同のイベント・交流会を企画していましたが、やめるにあたって、大学から「こういうタイミングで何人以上のイベントは中止してください」という明確な指示がありました。そうすると、中止の意思決定がしやすいわけです。

同じように、企業にしても指針・要請・基準があると、イベントの中止に踏み込みやすいと思います。ただ中小企業の場合、必ずしも要請を受けて自分たちだけで判断できるかという問題があると思います。99.7%が中小企業ですから、しっかり封じ込めるためには、全ての経済主体が封じ込めに参加できるような体制を作っていくことが、何よりも重要になる。「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということを考えなければいけません。

三田友梨佳キャスター:
徹底したものが必要ということですね。

早稲田大学ビジネススクール 長内厚教授:
今回は非常によかったんですが、さらに一歩踏み込むのであれば、要請だけではなくて、しっかり決断をするということが必要だと思います。大企業は確かにテレワークを始めるとか、自宅待機をするとか、わりと意思決定がしやすい。一方で中小企業は、取引先などさまざまな関係の中で、自主的に休むことが難しい所も多いと思うんです。

しかし、それをやらない限り、封じ込めができない。とすると、国としてしっかりと決める、中小企業が「国に言われたからやるんだ」とした方が、むしろ意思決定がしやすいと思うんですよね。

三田友梨佳キャスター:
具体的にどんなことが求められますか。

早稲田大学ビジネススクール 長内厚教授:
これを出すと批判されるかもしれませんが、「国民の一斉休業」ということに踏み込んでもいいのではないかと思います。一斉に2週間休んでしまう、ということをするくらいの覚悟が必要で、それを国がしっかり進めていく。中小企業にしてみれば、ある種“国のせい”にできます。そういった形でやっていかないと、中小企業はなかなか人との接触を避けるのは難しいのではないかと思います。

三田友梨佳キャスター:
中小企業にとっては、テレワークをするにしても、仕組みがなかったり、人員が足らなかったりする中で、このような決断も1つだと思います。リーダーシップが求められますし、大企業がテレワークなどを実施することで、その会社の社員だけではなく、感染の危険度が高まる通勤ラッシュ緩和にもつながります。さまざまな形で、官民連携した一層の支援が必要と言えそうです。

(「Live News α」2月26日放送分)