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企業は悪い時が一番のポイント…新たな経営計画を年内に策定

東芝の車谷暢昭会長兼最高経営責任者(CEO)が、就任後初めて、フジテレビなどの取材に応じた。

2018年度を「変革元年」と位置づけ、経営再建の道筋を示す5年間の新たな計画を年内に策定する考えを明らかにした。
三井住友銀行の副頭取を務めた車谷氏は、外部から招かれる形で、今月1日付で現職に就いた。


主な内容は以下の通り。

不正会計以降、非常に厳しい環境の中で、取り組んできたわけだが、企業というのはいいときばかりではない。
悪いときがどうかというのが一番のポイント。
東芝は、厳しいなかでも、技術やサービスがいいということで使っていただいた部分もたくさんあり、これらをしっかり生かしていくことで復活につなげられると思っている。

今年3月末で自己資本率が10%を上回るところまで回復しているが、やはりスタートラインに立っただけ。
その後の道筋をやっていくというのが私を呼んでいただいた最大の理由だと認識している。

そのためには、基礎収益力の向上をまずやり、成長の方向を選択して、経営資源を集中するという二つのことをやっていきたい。
サービスとかソリューション、これをIoTとかAIを使って一つのワンパッケージでお客さんに提供するような、継続性のある、リカーリング型のビジネスモデルへの転換を図っていきたい。

今年度は東芝の変革元年。
変革プランについては、半年強をかけて策定し、年内を目途に公表していきたい。
来年度からスタートして5年間の計画になる。

事業の中核は「リカーリングビジネス」へ

ーー半導体事業の存在が大きかったが、次の柱は

東芝メモリが売却されたとすると、かなり大きなキャッシュが入るので、戦略分野に対して資本投入することで、基礎収益力には大きな貢献になる。
基本的に、投資の中核はリカーリング系のビジネスになると思う。

ーーリカーリング型のビジネスモデルとは

ものすごくシンプルに言えば、エレベーターの事業は典型的なリカーリング。
たとえばエレベーターを設置すると定期的な保守が発生する。
1台であれば保守代金は小さいが、結果的に100万台をお客様が使っていただければ、収益は少しずつ積み上がる。
その収益性は、1台1台売るのより一般的に極めて高い。

ビル全体の空調、エレベーター、監視カメラ、電源など、全体のパッケージとしてサービスを提供する、さらに、災害発生時など、AIとかデータを使って、情報を常に出せるような仕組みを作るなど、いろいろな仕事のやり方がある。

AIの技術そのもので戦うのは、グーグルなどがとてつもない投資をしているので、現実的ではない。新しいものをいきなり作るとか、包括的なインフラを提供するというモデルより、レイヤーが薄くても世界でトップになれるようなところに、我々の強みを探し出して、そこにIoTを乗せていく。
リカーリング型のモデルは、情報資源がバリューを生み出していくというロングレンジの構造変化を受けたもので、負けられない戦いになる。

ーー半導体子会社の売却で中国当局の審査が長引いているが、代替案の検討は

今のところ審査は継続中と聞いていて、代替案とか具体的に考えていることはない。
引き続き早期の譲渡完了を目指していくというのが今のポジション。

ーーエネルギー事業を単独でやっていくのに限界はあるのか。他社との再編は

今後、政府のエネルギー基本計画では、再生可能エネルギーを大きく前に出してくることは間違いないと思う。
新しい動きに対して、電力事業部門をかなり変えないといけない。再編についてはそのあとかなと。

ーー再建に向け一番足りないことは

思ったより、東芝の社内の変えたいという、中堅若手や幹部の皆さんの改革力は強いと思う。
私がこうありたいと思うのは、東芝の中で納得できるまで議論すること。納得が得られるまで、何時間でも話すことをやりたい。

稼ぐことのできる将来像を…2018年度は「変革元年」

東芝は、車谷氏を会長兼CEOに迎え、新経営体制をスタートさせた。

増資などにより最大の懸案だった債務超過は解消され、株式上場も維持される見通しだ。

この先、経営再建を進めていく前提となるのが半導体子会社の売却だが、中国当局による独占禁止法審査が予想以上に長引き、今年3月末を目標としてきたスケジュールは修正を迫られている。

車谷会長は引き続き早期の完了を目指す考えを示したが、売却で得るはずの2兆円の資金は、金融機関への返済や重点分野への投資にあてる算段となっていて、売却手続きが遅れていけば、今後の事業展開に大きな影響を及ぼす懸念がある。


もうひとつ、大きな課題は、稼ぎ頭だった半導体事業を手放したあと、何を収益の柱に位置付けるかだ。

車谷会長が事業戦略の中核に据えるとした「リカーリングビジネス」の「リカーリング(Recurring)」とは「繰り返し」「循環」を意味し、その構想は、商品の売り切りでなく、継続的に収益を上げていくビジネスモデルを指す。

車谷会長は、保守・管理などの継続課金型サービスに経営資源を集中し、AI=人工知能や、あらゆるものがネットにつながるIoTを活用したソニューションの提供にビジネスモデルを転換することの必要性を強調したが、競合する他社が並び立つ環境で、東芝の強みを生かした新たな収益源を育て上げられるかが勝負どころとなる。

今年3月末の自己資本比率は10%を超えるところまで回復したが、財務体質は依然脆弱だ。半導体事業の売却の成否が財務戦略に大きな影響を及ぼすなか、新たな5年計画で、稼ぐことのできるビジネスモデルの将来像をどこまで描けるのか。


東芝にとって、2018年度はまさに「変革元年」となる。