「こんな身近な病気だとは…」性感染症の検査件数が激減 コロナ対策に追われる保健所【鳥取発】
感染拡大… 新型コロナウイルス

「こんな身近な病気だとは…」性感染症の検査件数が激減 コロナ対策に追われる保健所【鳥取発】

TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ
地域

鳥取県は毎年、7月からの夏休み期間を「性感染症予防キャンペーン」と定め、積極的な検査を呼びかけている。

ところが今、検査の実績が激減する厳しい状況に直面していた。

そこには、新型コロナウイルス対策に追われる保健所の実態があった。コロナ禍の隠れた影響を「深層調査」した。 

「症状なかった」関係持った相手からの連絡で感染判明

20代女性:
関係を持った男性から、自分がクラミジア陽性だと連絡が来たので、おそらくわたしも陽性なんだと思った

この記事の画像(22枚)

20代女性:
病院に行って検査をして陽性が判明したので、薬を飲んで治療した。(症状が)全くなかった。わたしは本当に何も感じなかった

県は毎年「性感染症予防キャンペーン」展開

鳥取市内の大学の構内に置かれたチラシ。これは性感染症の検査を呼びかけるもの。鳥取県は、大学や専門学校が夏休みに入り、若者の活動範囲が広がるこの時期に、毎年「性感染症予防キャンペーン」を展開している。

鳥取市保健所・坂口莉子さん: 
性感染症は無症状でわかりにくいのと、気づいたときには感染を広げてしまうので検査を勧めている

性感染症は、例えば尿道炎などを引き起こす「性器クラミジア」の場合、行政が把握しているだけで、過去5年間では鳥取県内で毎年200人以上。島根県内でも約100人から170人の感染が確認されている。

また、「HIV」も山陰両県でほぼ毎年、数人の感染が確認されている。 

鳥取市保健所では、HIVと性器クラミジア、それに梅毒の3種類の性感染症について検査が無料、しかも匿名で受けられる。また、完全予約制で、ほかの受診者と顔を合わせることなく入室できる。

記者も検査を体験してみた。

保健師:
相手に気になる症状は?

赤木 優志記者:
特には聞いていないです

検査は、保健師の問診と採血。

検査結果は2週間後にもう一度保健所を訪れ、医師から直接説明を受ける。

赤木 優志記者:
今、全ての行程が終わりました。検査自体は20分ほどとスピーディではありましたが、この検査に今、ある問題が起きています

早期発見のため、積極的な検査を呼びかけているが…

コロナ対応に追われ…性感染症の検査が減少

赤木 優志記者:
例えば、鳥取市保健所で無料検査が実施されているのは、月に2回。第2と第4の月曜日。いずれも午後1時半~午後3時半の間です。検査を受けるためと結果を受け取るために2回訪れることを考えると、夏休みの学生はともかく、社会人は受けづらい感じがします

社会人:
この時間帯に行く人っていないんじゃないですか。行くとなると休みをもらってになる

社会人:
平日だったら、夜とか土日の方が行きやすい

鳥取県内では、米子保健所・倉吉保健所の検査日も月に2回から3回、いずれも平日の午後となっている。

こうした検査日程について、鳥取市保健所は…。

鳥取市保健所・大塚月子次長:
今、コロナで職員も手を取られているので、現在、月2回の実施となっている

鳥取市保健所では、コロナ禍前は検査日を毎週設けていたうえ、6月と12月には休日や夜間の検査も実施。特にHIVに関しては、10分ほどで結果がわかる迅速検査も併設している。こうした取り組みが、今はいずれも取り止めになっている。

このほかにも、保健師による家庭訪問など、従来からあるさまざまな業務を縮小して、コロナ対策中心の運営にせざるを得ない状況だという。

鳥取市保健所・大塚 月子次長:
コロナの発生があると、職員、感染症担当はもちろん、全員が時間外も多く、休みもなく、毎日連続勤務をしている

その結果として、性感染症の検査件数は、鳥取市保健所の場合、コロナ禍前の2019年度は250件を超えていたのに対して、コロナ禍の2020年度は89件と3分の1近くにまで激減した。

コロナ禍の影で…「まさか自分がなるとは」

こうした状況に専門医は…

鳥取赤十字病院 泌尿器科・坂本 憲生医師:
性感染症は、放置すると重篤な合併症を引き起こす場合もある。クラミジアは女性の場合は流産や早産を招いたり、産道感染して新生児の肺炎とか結膜炎とかを引き起こしたりする

鳥取赤十字病院 泌尿器科・坂本 憲生医師:
性行為だけではなく、口とかの粘膜を介して感染もある。何とかして検査は定期的に受けていただきたい

この女性も、全く気づかない内に感染していたという。 

20代女性:
自分には病気だという異変が何も感じられなくて、多く(性行為の)回数を持っている人がなるような病気だと思っていたので、まさか自分がなるとは思っていなかった。こんな身近な病気なのかともびっくりした

その特性上、従来から検査自体をためらう人もあった性感染症への対処。

ここにきて、コロナ禍が検査体制そのものにも厳しい状況をもたらしている。

コロナ禍の今、その対応が最優先事項であることに間違いはない。

ただ、“コロナファースト”ではなく、“コロナオンリー”になってはいけないのも事実で、性感染症への対応もその1つになる。

コロナ禍の恐ろしさが、ここにも密やかに存在している。

(TSK山陰中央テレビ)

鳥取県のコロナ・ワクチン関連ニュース >>> 島根県のコロナ・ワクチン関連ニュース >>>
×