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石川県小松市にある観光客に人気の北陸最古の名湯「粟津温泉」。

その温泉街の中心にある去年閉館した旅館は、一見、営業していそうに見えるが、玄関に「平成30年6月30日、破産手続き」の文字が…現在売却先を探しているそうだが、まだ具体的には決まっていないという。

実はこちらの温泉街には、こうした廃墟になったホテルが確認できただけでも4軒。
少なくとも10年から20年ほど、放置されたままだという。

地元住民からは「もし崩れてきたら怖い」「粟津は住みやすい街だと思うが廃墟になっているホテルなどがなくなればいい」などと言った声が聞かれた。

実は他にも全国に廃墟になったホテルや旅館が残されていて、めざましテレビの「ココ調」班が調べたものだけでも139軒実は800軒以上はあるとも言われている

一体なぜ、解体されずに放置されているのか?

栃木県日光市にある関東屈指の温泉地・鬼怒川温泉では1980年代から90年代にかけてバブル景気に乗り、ホテルや旅館は次々と大型化。団体客で賑わい、ピーク時には、約314万人が訪れていたという。

しかし、バブル崩壊後、銀行の破たんや団体旅行の減少などで廃業するホテルが増加。
渓谷沿いの大型ホテルは10年から20年ほど放置され、現在、廃墟と化している。

ドローン撮影の許可を得て上空から廃墟ホテルを撮影してみると、老朽化が進み壁が朽ち果てたり、物が散乱していて長い間、時が止まったかのような状態に。

この姿を見た観光客も…

観光客:
うわー怖い!ちょっと凄すぎる。もったいない!こんないい場所なのに…

観光客:
1つ向こう側の橋はすごいホテルとかきれいだったので、急にどうしたんだろうという感じ…

と観光地らしからぬ荒れた様子に驚いていた。

また建物の解体をしないことでゴミの不法投棄なども起きている。
廃墟近くには道ばたに金庫が転がっていたり、ペットボトルなど様々なゴミが散乱したりしていた。

ココ調の調査によると、鬼怒川温泉で通常に営業しているホテルや旅館は29軒。
一方で管理されず廃墟になっているのは3軒だった。

一体なぜ解体しないのだろうか?鬼怒川温泉がある日光市の担当者に聞いてみると…

日光市総合政策課 鈴木和仁課長
基本的には、民間の施設ですのでなかなか手をつけられないのが現状です。行政代執行という手段があるのですが、それには多額の費用がかかる。あくまでも推測ですが、1軒あたり2億円ということで捉えています

と解体ができない理由として「所有者と連絡が取れない」「多額の解体費用」の2つをあげていた。

さらにもう一つ、温泉地ならではの解体が進まない理由も…

実は廃墟になっているホテルの下に源泉があり、現在も営業しているホテルにお湯をパイプで送っているためむやみに手を付けることができないのだという。

そうした中、沖縄にある廃墟ホテルでは今、新たな動きが出てきている。

山の上にある大きな廃墟らしき建物。
これは世界遺産に登録されている「中城城跡」のすぐ隣にある巨大な廃墟「中城高原ホテル」だ。

実は営業していたのは1972年の沖縄が日本復帰してからわずか2カ月!という幻のホテルだ。
一体、なぜ2カ月しか営業せず廃墟になってしまったのだろうか?

当時、遊園地や動物園も併設されていたという巨大なホテルだが、オープン2カ月後に中城城跡が文化財に登録され、ホテルにつながる道路が通行できなくなったため、営業を中止せざるを得なかったという。

現在の所有者である国際産業代表取締役社長の奥村加代子さんは「オープンして1~2カ月で個人の道ではなくて中城村の道なので使うことはできませんと言われ営業ができない状況でした」と当時の状況を教えてくれた。

それから47年。放置されたままの廃墟ホテルは今どうなっているのか?

奥村さんと一緒に、普段は立ち入り禁止の中を特別に取材させてもらうと…落書きなども多く描かれていた。

国際産業代表取締役 奥村加代子社長
勝手に入っていくんですよね。問題ですけどね

当時としては珍しいウォータースライダーがついた大きなプールがあった場所もすっかり草木で覆われ、わずかにウォータースライダーの名残が見えるだけとなっている。

一方、中島みゆきさんが「たかが愛」のプロモーションビデオの撮影に使うなど、沖縄では有名な廃墟ホテルでもあった。

しかし、奥村さんは今回ある決断をしたという。

47年間の話し合いの末、公園整備事業のため所有権を沖縄県へ渡し、およそ2億円をかけて廃墟を解体することにしたのだ。

奥村さんは「どうにか生かせる方法はないかなって考えたんですが、この建物は廃墟、お化け屋敷、それから心霊スポットとあまりいい言葉では語られていないんですよ。地域・社会のために役に立った方が父も喜ぶんじゃないかと思いましてですね」と話す。

このホテルを作ったのは、奥村さんのご両親。
父親は国際通りの名付け親とも言われ、現在の沖縄の発展に尽力した人物だ。

そんなお父さんが愛したこの場所を「地域に活用してもらいたい」と解体を決めたという。

奥村さんが解体する前に最後に見てほしいと、今回特別に撮影させて頂いたのがこちら!
海抜250mの高台に建つ取り壊し予定の展望台から世界遺産と太平洋が一望できる絶景だ。

解体は、2019年6月から重機で少しずつ1年かけて行われるという。

(「めざましテレビ」『ココ調』5月31日放送分より)
 
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