普段、都会で暮らす子どもたちを含む小中学生が、1年の間、山あいの農村に移住する「山村留学」。富山・南砺市利賀村で始まってから、4カ月がたった。
4カ月間の子どもたちの利賀村での生活と成長をカメラが追った。

11人の子どもたちが村の一員に

2021年4月、桜の開花が近づいていた南砺市利賀村に、県の内外から11人の子どもたちがやってきた。東京や神奈川、アメリカなどで暮らす小学3年生から中学2年生が、利賀村の小中学校に通いながら、1年間 村の一員として過ごす。

自己紹介する11人の子どもたち
自己紹介する11人の子どもたち
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神奈川県から来た菅間哲平さん(中1):
ここでは、都会ではできないような貴重な体験をがんばってしていきたい

兵庫県から来た糟谷七彩さん(中2):
1年が終わるころには、利賀村に来て良かったと思えるようにがんばりたい

留学生は、小学校だった建物を改装した宿泊施設「スターフォレスト利賀」で生活する。
「入園のつどい」には、留学生の家族も出席し、利賀村での成長を期待していた。

2人の子どもを山村留学させた金井保さん:
一生の中で彼らの核となるような体験が、ここで生まれると思う。大事に育てた子どもです。皆さまにお預けするので、お願いとしては、とにかく真剣に向き合っていただきたい。利賀の子どもとして育ててもらえたら本望

月に10日は地元の家庭でホームステイ

入園から2週間余りたち、桜は満開となり、若葉が芽吹く中、留学生たちは、すっかり打ち解けて、まるできょうだいのようだった。

留学生たちは、「お姉ちゃん、お兄ちゃんみたい」「わたしが一番年下です! だから全員がお兄ちゃん、お姉ちゃんになる」「わたしは二番目に年下!」などと話していた。

留学生は、1カ月のうち10日間は地元の家庭でホームステイすることになっていて、受け入れてくれる5つの家庭が発表された。共に過ごしてきた留学生の仲間たちとも、しばしお別れだ。
最年長の宮坂日陽さん(中2)は、別れに涙していた。

東京都から来た宮坂日陽さん:
(女子)5人でいろいろやってこられていたし、お互い助け合えていたから、1週間でも(離れるのは)悲しい

(Q.女の子5人で普段どんな話をする?)
留学生の女の子たち:
お風呂で、みんなで合唱する。今はおあずけ

そして女の子5人は、輪になって「がんばるぞー」と気合いを入れていた。

ホームステイに向けて気合を入れる
ホームステイに向けて気合を入れる

一方、男の子2人組は、主人が猟をする民宿でのホームステイで、居間に敷いてあったクマの毛皮に夢中になっていた。

男の子2人はクマの毛皮に夢中
男の子2人はクマの毛皮に夢中

ホームステイでは、それぞれの家庭から直接、利賀村での暮らしの知恵や工夫を教わる。
ホームステイ初日の夜を迎え、目標を語る子どもたち。

亀谷慶仁朗さん(小4):
ホームステイで、お手伝いを頑張りたい。ご飯もたくさん食べたい

自然を満喫しながら命について学ぶ

緑が深まる6月、留学生たちは近くの山までハイキングに行くことになった。道中、野草を手に取り、利賀村の自然を満喫しながら頂上を目指す。

留学生:
頂上見えたよ

指導員:
北アルプスは「日本の屋根」と言われていて、向こうに行けば、同じ仲間がいるよ

留学生:
ヤッホー!

生活拠点の「スターフォレスト利賀」に戻ると、早速 夕食の準備にとりかかった。いけすから取り出したニジマスは、自分たちでさばく。

命の大切さを学ぶ
命の大切さを学ぶ

留学生たちは、ほかの生き物の命をもらって生きているということを実感したようだった。
お風呂の時間を楽しむ男子たち。そして女子風呂からは、合唱が聞こえてきた。

夏休み…成長した子どもたちが家族と再会

7月 留学生にも夏休みが訪れ、利賀村からいったん それぞれの実家に帰省する。3カ月ぶりに家族と再会する子どもたちは、少し緊張した表情だった。

留学生の家族が、順番に迎えに来た。

2人の子どもを山村留学させた金井保さん:
しばらく離れていたので、どんなことを経験したのか、子どもたち同士でどんな関係になったのか、いろいろ聞きたい

雄大な自然に囲まれ、目いっぱい成長する子どもたち。
2学期からは、再び利賀村での生活が始まる。

親元を離れ、利賀村で1学期を過ごした子どもたちの姿は、春と比べて一回りも二回りもたくましくなったように見えた。
2020年3月の山村留学が終わるころには、ますます成長していそうだ。

(富山テレビ)

富山テレビ
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