出資者を信じ込ませる「早大卒、外資系出身、神通力」

「株式投資による配当が出る」そう言って国の登録を受けずに出資を募り、80億円近く集めたとみられる”投資会社“の「リプラス」(東京・港区)が警視庁に3日、摘発された。
同社の社長は山下寛子容疑者(48)だが、“投資事業”を取り仕切り、セミナーに登壇して弁舌を振るっていたのは、白石勢輔容疑者(64)だった。

白石容疑者らの逮捕容疑は、2017年から2019年にかけて、株式配当が出るとして、国の登録を受けず男女12人に出資の勧誘をしたというもの。勧誘の際には、元本を保証し、月に3~10パーセントの配当が出ると謳っていたが、「途中から配当が止まり、リプラス側と連絡が取れなくなった」等の被害を訴える人が後を絶たず、リプラスは多数の民事訴訟を抱えている。

そのトラブルの最中、当の白石容疑者は、警視庁の捜査を逃れるように、住居を転々として雲隠れしていたというが、ついに御用となった。

「早稲田大学卒、外資系銀行出身の投資家、神通力がある」と自称していた白石容疑者。
1500人の出資者から80億円もの大金を集められた理由は「ずる賢さ」にあったとみられている。

白石容疑者のプロフィールには「神通力」の文字が・・・
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1回で100万円、銀行を通さぬ「現金主義」

出資金の受け渡しや、配当金の受け取りは基本的に「現金」で行われていた。
出資した女性によると、東京・麻布十番のカフェに毎月指定された日に出向き、スタッフから配当金を現金で手渡しされるスタイルだったという。スタッフはそのカフェに1日いて、次から次へと来る出資者に現金を手渡していたというのだ。

取材に応じてくれた出資者の女性は「最初に行ったセミナーで、一緒に行った人は最初から100 万円準備してきて。その場で預けたりしていました。」と証言。
銀行などを経由せず、振り込み履歴といった「証拠」を残さないことで、摘発を免れようとしていた可能性がある。

リプラスが作成していた契約書

「投資」のはずが、いつの間にか「金の賃借」に・・・

「投資で配当が出るから出資してくれ」と言う勧誘話を再三しているので、投資の「契約」が結ばれるのかと思いきや、出資者の手元にあったのは「金銭消費借用書」。

別の出資者の女性は、「貸した形にしないと返さないといけないということにならない、という説明だった。投資だと返さないといけないことにならないと。」と話し、
出資した男性も、「これ(賃借)だと絶対返さなければいけないというので、これだと必ず返ってくるという案件だと思ってやった。」とリプラス側の『誘い文句』を振り返った。

出資者への説明は、「投資契約ではリプラス側に返済義務がないため、賃借契約にすることで元本の返済がより保証される」というものだったが、実際にはこれも「手口」の一つだったとみられている。関係者によると、賃借契約を装うことで、元本保証を謳って出資を募ってはいけないという出資法違反に当たることを逃れようと考えていた可能性があるのだ。

出資者が出資者を呼ぶ「グループリーダー制度」

リプラスは自転車操業だった可能性も。逮捕者は6人にのぼった

白石容疑者は勧誘において、「グループリーダー」という制度を導入し、複数のリーダーが出資者を募り、数人のグループをとりまとめていた。
この類の投資話にありがちなのは、契約後しばらくの間は配当を出すことで、「本当に配当が出る」「儲かる」などと出資者を信じ込ませることだ。
今回のケースも、グループリーダーなどの勧誘者が実際に「自分も儲かっている」という話をして信用させ、出資を促していたという。

さらに、リプラスでは、自分の紹介で出資を決めた人と、その人がさらに紹介した人については、出資額に応じて「紹介料」が出る仕組みになっていた。自分がいいと思うものは、良かれと思って人に紹介したくなるもの。

今回、約1500人が出資してしまったというが、出資者が増えた一因には、こうした出資者による紹介にもあったと考えられる。中には億単位の出資をしていた人もいたという。

スピリチュアルまで・・・ 怪しい講座とカリスマ性

出資者には、特典として無料で受けられるFXや投資に関する「講座」が用意されていたものの、数回実施された後、中止になっていたという。中には白石容疑者が詳しかったという占星術やスピリチュアルに関する講座もあった。

そもそも、白石容疑者は2016年ごろ、「金運・宝石の会」、「一生安心して生活ができる会」などと称する人生相談に応じるサークル活動を行っていて、そこでグループリーダーの1人と知り合っていたという。

出資者が口を揃えて「巧みだった」という白石容疑者の勧誘文句を紹介する。

出資した男性「物腰柔らかく懇切丁寧に白石さんが話していたので、これは結構面白いかな、本物かなと思っていた」

出資した男性「15年から20年ぐらいずっと配当実績を出していると言っていた。お金を集められるような投資のノウハウがあるから、少しでも出資者に対して集まったお金を還元していきたい、という社会貢献的な話し方をされていた」

出資した女性「白石さんは自分のことを持ち上げるのがとても上手で、周りの人が持ち上げていた。出資を紹介してくれた人には、白石さんの前で絶対足組んだらだめだよとか、疑う様なことを一言でも出すと断られて二度と会えないよ、と言われていた。後日、グループリーダーにならないかと誘われたときにノウハウについても教えられて、持ち上げる、ということも言われたのでノウハウのひとつだったのだなと思った」

白石容疑者の経歴も”詐欺”の道具だった

さらに、「警察」との親密さをアピールし、出資者を信用させることも・・・

出資した女性「善意で警察にも講演に行っているという話をしていた。警察に出入りしているならちょっと安心なのかなと思った」

当然、これまでにリプラスと警察との接点は明らかになっていないが、警視庁は、現在、白石容疑者らについて詐欺の疑いも視野に入れて調べを進めている。

フジテレビ社会部・警視庁担当 石田真美