人混み狙う“暴走車”  身を守るには…

1月1日、新年を祝う東京・原宿の竹下通りの歩行者天国に車が突っ込み、8人を次々とはねる事件が起きた。
逮捕された日下部和博容疑者(21)によると、当初標的としていたのは、初詣で賑わう明治神宮の人混みだったという。

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今回事件が起きた竹下通りには車除けのバリケードなどはなく、以前より設置が検討されていたという。

しかし、設置費用の問題に加え、人ごみの中に障害物を置くことの危険性や、救急車などの緊急車両にどう対応するかなどを話し合っていた最中に、今回の事件が起きてしまったのだ。

いつ、どこで誰の身に迫るか分からない“暴走車”の恐怖。
街の対策を見ると、様々な課題が浮かび上がった。

商店街の対策は十分?

まずは、東京・巣鴨の地蔵通り商店街。
毎日歩行者天国となるこの商店街では、40年ほど前から車両の進入対策を行っており、車止めのバリケードが設置されている。

平日の午後3時から歩行者天国となる渋谷センター街でも、車両進入禁止と書いたバリケードが設置されているのが確認できた。

しかし、たとえば渋谷のバリケードは車が侵入できる隙間があり、車の進入を完全に防ぐものであるは言い難い。
渋谷センター商店街振興組合の小野寿幸理事長は「いろいろな商売の納品の問題もある」と、車止めの設置については“商店街ならではの問題”もあると語っている。

「抑止」と「阻止」 対策の違いは…

一方で、2005年にアーケード街でトラックが暴走し3人が死亡する事件があった仙台市では、事件の翌年に市が約1億8000万円をかけ昇降式のポール226本を設置した。

また、2017年に商店街で車が暴走する事件があった愛媛県松山市でも約860万円をかけて昇降式ポールを設置するなどの対策が行われている。

車止めポールを製造・販売する帝金株式会社の奥田浩也氏は「車止めの本来の目的は、車が入るのを視覚的に抑止すること。実際に車が突っ込んで止まる、というものではない。ヨーロッパや諸外国に比べ、日本は車両の暴走は今まであまりなかった」と語る。

帝金株式会社によると、あくまで「抑止する」ことを想定した日本の対策に対し、海外では、テロに備え車の進入を「阻止する」目的のものが普及しているといい、 大型トラックが衝突しても耐えられるほど強度の高い車止めも開発されてきたという。

たとえば、ロンドンでは街の至るところにこの高い強度を持ったポールが設置されたり、ニューヨークで行われたマラソン大会では砂が大量に積まれたトラックが並べられたりと、「車が入らないように防ぐ」ことよりも「車が入ってこようとしても防げる」対策が行われているのだ。

このような車除けポールの設置は“暴走車”の対策に非常に有効に思えるものの、設置のハードルとなっているのが資金面だ。

実際に導入した自治体によると、ポール1本につき工事費込みで約80万円の費用がかかっているという。
事件があった渋谷区には約60の商店街があるため、すべての商店街にポールを設置するとなると莫大な費用が必要となる。
渋谷区は「必要な対策を今後考えていく」と語っている。

帝金株式会社は「G20やオリンピック、万博を前に問い合わせが増えている」と話し、日本の“暴走車”対策への意識が変化しつつあると語っている。

2020年の東京五輪を控え、日本はどこまで安全な街づくりを推し進められるのか。
今後の大きな課題となりそうだ。


(「プライムニュース イブニング」1月7日放送分より)