「SDGs」は、「世界中のだれもが、安定して地球で暮らし続けられるように」と、2015年に定められたもので、全部で17の目標が掲げられている。

富山・砺波市の栴檀野地区では、持続可能な未来を目指し、高齢者の孤立をなくす、買い物難民をゼロにするなど、「地域レベル」で独自に取り組むべき17の目標を掲げている。

「里山の資源を守ろう」自然に触れ合い 住民たちの憩いの場に

富山・砺波市の北東部、栴檀野地区。
歴史が古く、豊かな自然が残る丘陵地だ。

富山・砺波市の北東部、栴檀野地区
富山・砺波市の北東部、栴檀野地区
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訪れたのは、2021年4月にオープンしたコミュニティ施設「せんだんのHILL」。

栴檀野版SDGs=「せんだんのゴールズ」の考案者、米山愛さん(35)。

実はこのネーミングにもしゃれっ気があり、栴檀野地区の目標…「せ」ん「だ」んの地区の「ゴ」ール「ズ」…頭文字をとるとSDGsに!

まずは、活動の拠点である、せんだんのHILLを案内してもらう。

栴檀野版SDGsの考案者・米山愛さん
栴檀野版SDGsの考案者・米山愛さん

木村涼子記者:
薪を売ってるんですね

せんだんのゴールズ考案者 米山愛さん:
はい、薪を売ってます。この地域は建具屋さんが多くて、端材がいっぱい出るんですね。近くにキャンプ場があるので、そのお客さんたちがよく購入しています。

まず最初に発見したのは目標の15番、「里山の資源を守ろう」に対する取り組み。

そして、建物の中へ…

せんだんのゴールズ考案者 米山愛さん:
こちらはカフェになります。土日限定で地元の人たちで運営しているんですが、(SDGsでいう)すべての世代が集える場づくりを実践しています

さらに、奥の部屋で開かれていたのは子育てサークル「森のこども園」。

せんだんのゴールズ考案者 米山愛さん:
すごく自然豊かなところで、そこにガーデンがあるんですけど、植えているものを食べてみたり、自然に触れ合いながらこどもたちの内なる知恵を育んでいければ…

このほかにも、この地区で飲食店を営んでいたシェフによる味噌づくりのワークショップを開いたり、自由に利用できるコミュニティスペースを設置したり。住民たちの憩いの場にもなっている。

利用者:
こういう場所があるのは、とても良いと思う。

利用者:
友達を増やしたい。子どもたちにもきてほしい。

せんだんのゴールズ考案者 米山愛さん:
SGDsの目標を作ったことで、今やっていることがゴールにつながっているという実感をともないながら取り組めるので、やりやすくなったと思う

最も過疎化進む地域…関係人口・移住者増やす取り組み

盛り上がりをみせる、栴檀野版SDGsの取り組み。
その背景には、米山さんたち住民の強い思いがあった。

せんだんのゴールズ考案者 米山愛さん:
この栴檀野地区は、砺波市で最も過疎化が進んでいる。地区の振興会長が、このままではこの地域は本当になくなってしまうから、みんなで栴檀野の未来を考えようと会議を開いてくれたのがきっかけでした

せんだんのHILLの前身は、2021年3月まで地域の子どもたちが通っていた幼稚園。
幼稚園の前は小学校があったが、いずれも少子化により閉園、閉校を余儀なくされた。

夜、せんだんのHILLに集まった住民たち。

せんだんのゴールズ考案者 米山愛さん:
栴檀野地区の関係人口、関わってくれる人を増やして、地区外からのUターンや移住者を増やしていくことが大切だと思います

女性:
外部の人を巻き込み、ここっていいところだよって言ってもらうことで、地元の人が地域の良さを再認識するようにすべき

SDGsの活動を通し、栴檀野の魅力に気づき始めた住民たちが、地域を活性化させるにはどうしたらいいか議論を交わした。

女性:
この活動に携わるまで、自分の地区のことって全然知らなかった。地元の人とコミュニケーションがとれ、とても楽しい。

女性:
子どもが将来、栴檀野から離れたくないと思ってもらえるよう、私たちがつなげていかなくてはならない

最終目標は「人と人とのつながり」…小さな地区が始めたSDGs

雨が降った日曜日…
この日、せんだんのHILLのカフェをのぞいてみると、新しいメンバーの姿があった。
この地区に住む、高校2年生の田上萌さん。

母親からせんだんのHILLでの活動を聞いたことがきっかけで、カフェを手伝うようになったという。

高校2年生 田上萌さん:
ママから聞いて、じゃあお手伝いしてみようかなと来てみたら、とっても楽しくて。栴檀野は大きいお店はないけれど、自然もあるし、いろんな人との交流があって、いいところだなと思う。将来はものづくりの仕事について、自分が作った作品をここに飾れたらいいなと思っています

 

栴檀野版SDGsの最終目標は…「人と人とのつながり」。

せんだんのゴールズ考案者 米山愛さん:
このような拠点ができたことで、人とのつながりが生まれ始め、子どもたちにとってもおもしろい地域になっていくと思う。持続可能な里山なんだということを伝えていきたい

砺波市の小さな地区が始めたSDGsの取り組み。

住民たちが共通のゴールを胸に今、大きな一歩を踏み出している。

(富山テレビ)

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