7月12日(月)、JOYSOUNDを展開するエクシングと、その親会社であるブラザー工業は、ブラザー工業が開発したパーソナル空間向け小型空気清浄機「DF-2」を7月下旬より発売することを発表した。



カラオケメーカーであるエクシングと、プリンターや複合機・ミシンで知られるブラザー工業が、なぜ今、専門分野ではない小型空気清浄機の発売に踏み切ったのか。その背景のほか、開発秘話や想いなどを両社のプロジェクトリーダーをつとめる二人に語ってもらった。




安井 正博


株式会社エクシング

取締役 営業本部 副本部長






飯島 竜太


ブラザー工業株式会社

新規事業推進部 技術推進1グループ チームマネージャー





開発の背景にあったコロナ禍の苦悩

「飛沫」に苦しめられてきたカラオケ業界


―新型コロナウイルスの感染拡大で、カラオケ業界にはどのような影響がありましたか?


安井:新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食業界、エンタテインメント業界のみならず、多くの業界が窮地に追い込まれています。



なかでも、カラオケ業界への影響は甚大なものです。今、東京は4度目となる緊急事態宣言の最中ですが、対象地域のカラオケ店舗やスナックは休業を余儀なくされ、疲弊しているというのが現状です。


―実際にカラオケボックスでクラスターは発生しているのでしょうか。


安井:昨年からシニア層が多く訪問するカラオケ喫茶やカラオケ教室、昼営業のスナックなどいわゆる「昼カラ」でのクラスター発生など、一部のケースが大きく報道されていますが、実際のところ、カラオケボックスではほとんどクラスターは発生していません。


カラオケボックスの換気は、防音上窓やドアを開けて換気ができない分、建築基準法上窓がある空間よりも厳しい換気性能を求められているのです。例えば、JOYSOUND直営店では全室およそ6~9分毎に室内の空気が入れ替わるようになっています。


にもかかわらず、「カラオケ=飛沫感染」「カラオケは利用自粛」という報道の過熱により、カラオケ全体のイメージが悪化し、多くの方が歌うことによる飛沫感染の可能性を恐れ、結果的に歌う楽しみを奪われることとなりました。


飯島:カラオケ店舗それぞれでも、かなり徹底した感染対策をしていますよね。


安井:はい。業界団体のガイドラインに則り、従業員のマスク着用、マイク・リモコンなどの除菌をそれぞれの店舗で徹底しています。


JOYSOUND直営店では、飛沫防止シートやソーシャルディスタンスサインの設置をはじめ、収容人数の50%までの入室制限、お客様貸出用のアルコール除菌剤や使い捨てマイクカバーのご用意など、何項目にもわたる感染予防対策を全国で実施しています。


―カラオケメーカーとしても何か取り組んできたことはありますか。


安井:はい、もちろんです。昨年7月、マスクをしたままでも歌声がこもらずに気持ちよく歌える新機能「マスクエフェクト」を発表しました。


このコロナ禍で「カラオケに行きたくても行けない、行き辛い」といった先の見えない我慢を強いられるなか、「できるだけ早く、安心して気持ちよくカラオケを楽しんでもらいたい」という開発者の強い想いもあり、開発期間1か月というスピードでサービスを開始し、大きな反響を頂きました。



このほかにも、JOYSOUNDを導入しているお店に、安心・安全な空間づくりに向けて感染対策のアドバイスやマイクカバーなどの除菌グッズを提案する「店舗チェック活動」を実施したりもしています。お客様に、より安心してカラオケに足を運んでもらう環境づくりに協力することは、カラオケメーカーの使命でもあると考えています。


ただ、このような業界をあげた地道な活動をもってしても、現実は甘くはありません。


飯島:そうなんですよね 。これはカラオケ業界に限らず、飲食業界など、その他の業界に共通して言えることですが、店舗や企業がいくら徹底した対策を施しても、お客様の不安を完全に拭い切ることは困難です。わたしたちブラザー工業としても、この厳しい状況をなんとか打開する術はないか、模索していました。



「お客様に安心を届けたい」

その想いを受け、立ち上がったブラザー工業


―空気清浄機の開発の裏には、 深い理由があったのですね。


飯島:はい。実は、ブラザー工業としてコロナ禍に苦しむ社会に対し、ブラザーの技術力をもって何か貢献することはできないか、という想いがありました。そして、それをさらに後押ししたのが、エクシングの「お客様に安心を届けたい」という熱い想いでした。


開発を前に掲げたキーワードは、「社会貢献」「経済を回す」の2つです。



コロナ禍の不安を解消し、経済を再び活性化するために、わたしたちになにができるのかを、とことん突き詰めました。同じ想いを持って集まってくれた開発メンバーからは、10個以上のアイディアの提案があり、その中から、何に着手するかはエクシングをはじめ、JOYSOUND直営店を展開するスタンダードにもヒアリングを実施し検討しました。


そして、より効果的であり、スピード感をもって世に出せるものとして開発が決まったのが、今回発売したパーソナル空間向け小型空気清浄機「DF-2」の前身となる「DF-1」です。


―ブラザーとして空気清浄機の開発ははじめてだったかと思います。苦労した点はありましたか。


飯島:はい、市場にどのような製品が求められているかは、実際にお客様の声を聞かなくてはわかりません。


エクシングの協力を得て、カラオケ店舗はもちろん、スナックやバーなどにも実際に足を運び、コロナ禍での不安や困っていることを伺い、それを解決するための製品のイメージを創り上げていきました。



安井:このコロナ禍で、カラオケ市場のなかでも、スナックやバーなどが属するナイト市場は、特に厳しい状況に立たされています。私たちカラオケメーカーも、なんとかこの状況を打破したいという想いがあり、今回多くのお店がヒアリングにご協力くださったことには大変感謝しています。


飯島:そして、最もネックとなったのは、開発スピードです。次の感染拡大が来るまでに、一日も早くお届けしたい、という想いがありました。通常の製品開発では、とてもありえないスケジュールです。そして、できるだけ安く、多くの方の手元に届けられるよう、低コスト化も意識しました。


安井:今回、わたしもこのプロジェクトに関わって、心を動かされたことの1つが「早く」「安く」「いいもの」を届けたい。という、ブラザーの皆さんの熱い想いでした。



飯島:「早く」「安く」「いいもの」を届けることは、もちろん簡単なことではありません。今回「コロナ禍で喘ぐ社会に何とか貢献したい」という共通した強い想いから、柔軟な発想を持った若手、そして確かな技術を持ったベテランといった幅広い人材が一丸となれたからこそ、実現できたプロジェクトだと感じています。


なかでも、目に見えない飛沫の吸引をどのように測定するかは課題でしたが、緑レーザースキャン装置や、ミスト発生装置で微細粒子を可視化するシステムを社内で開発。これにより、会話によって発生する飛沫に見立てたミストの吸引時間を自動測定できるようになり、開発スピードが格段に向上しました。


さらに、このシステムを用いた検証の結果、既存の空気清浄機に多い、横から吸引して上部に排出するタイプでは吸引しきれずに拡散されてしまった小さな飛沫も、DF-1では吸引できただけでなく、吸引効率も非常に高いことが確認できました。


―このほか、ブラザー工業ならではの技術力が活かされた部分はありますか?


飯島:はい、実はプリンターの開発で培った「気流解析技術」を活用しています。空気清浄機とプリンターと聞いても、全く関連がないように感じられると思いますが、意外なところでこれまでの技術が活きました。


さらに、ブラザー独自設計の「ダブルファン構造」を採用することで、パーソナル空間でも強力な吸引力を実現することができました。U字形状の静電HEPAフィルターを搭載しているので、広範囲に浮遊する小さな飛沫の回収にも効果的です。


―一般的な空気清浄機と異なるのは、どういった点ですか?


飯島:最も大きな特徴は、あえてパーソナル空間に絞るという逆転の発想で、人と人との間に漂う飛沫をパワフルに吸い込みすばやく除去するという点です。



従来の据え置き型の空気清浄機は、汚れた空気を下から吸い込み、フィルターを通してキレイな空気を上から吐き出すことで、部屋全体を浄化。広い空間を浄化できる一方、対面コミュニケーションで発生する飛沫を完全に防ぐことは難しい場合があります。


一方、DF-2は、人と人との会話が発生するパーソナル空間に絞ることで、空間全体の空気を循環させるよりも圧倒的に速く、クリーンな環境を作ります。




前面・後面・上面の3方向という広範囲から飛沫を吸引し、左右から排出するという構造も、従来の空気清浄機とは一線を画しています。



飛沫の発生源にスポットをあてることで、空気清浄にかかるコストも時間も大幅に減らすことができるという、新発想の空気清浄機と言えます。



「DF-1」の実績を経て、さらなる進化を遂げた「DF-2」


―テスト販売をした前機種「DF-1」の反響はいかがでしたか?


安井:はい、昨年11月より弊社のお取引先を中心に4千台限定でテスト販売を実施しました。今年3月に完売しましたが、全国のカラオケ店舗や、スナックやバーなどの飲食店などに導入され、とても好評を頂いています。



また、弊社お取引先以外からの問い合わせも多数ありました。特に、レジや会議室、応接・接客スペース、カウンターなど、対面するお客様との会話が発生する場面においては、すぐそばで空気をキレイにしてくれるDF-1の存在を心強く感じてくださったお客様が多かったようです。


―「DF-2」は、「DF-1」からどのような進化を遂げたのでしょうか。


飯島:最も注力したのは、吸引性能の向上です。静音性はそのままに、さらにパワフルに飛沫の吸引が行えるようになりました。



さらに、上蓋の開閉方式を変更し、より簡単にフィルター交換が行えるようにするなど、お客様の声を活かした細やかな改良を加えることで、より皆さまに寄り添える製品を目指しました。


―DF-2を、どのような方に届けていきたいと考えていますか?


安井:弊社のお取引先であるカラオケ店舗、スナック・バーなどの飲食店にとどまらず、オフィスや会議室、ご家庭のリビングやダイニングなど、アイディア次第で、さまざまなパーソナル空間にフィットする製品だと感じています。



また、今年6月には、応援購入サイト「Makuake」で先行予約販売を行いましたが、開始1時間で目標金額を達成するという想像以上の反響を頂くことができ、手ごたえを感じています。今後の販売に関しても、ブラザーグループ各社と連携して展開していきたいと考えています。


実際に手にして頂けるとわかるのですが、本体重量は550gと非常に軽く、コンパクトです。音も静かなので、ご家庭からビジネスまで、幅広いシーンでご活用いただきたいですね。



飛沫を気にせず、安心して笑い合える日常を取り戻したい。


―開発者として「DF-2」にどのようなことを期待しますか?


飯島:私は新製品を考えるとき、必ず意識していることがあります。


それは、ブラザーという会社が「世の中にとって必要な存在である」と感じてもらえる製品を作ること。製品を手に取ってくださった方々に、「ブラザーという会社があってよかった」と感じて頂けるようなモノづくりをしたい、ということです。


DF-2は、開発当初に掲げた「社会貢献」「経済を回す」という二つのキーワードを、叶えることができる製品に仕上がっていると確信しています。



いま、カラオケ業界にとどまらず、幅広い業界が苦境に喘ぐなか、「DF-2」の展開によって、皆さまがより安心して過ごせる環境づくりを目指すことで、ブラザーグループとして経済活動の活性化に、全力で貢献したいと考えています。


―エンタテインメント業界の一端を担うカラオケメーカーとして、「DF-2」に期待する未来は?


安井:歌う楽しみをお届けしてきたカラオケメーカーとして、現在、緊急事態宣言やまん延防止措置の影響で「カラオケ利用自粛」を余儀なくされ、今多くの方々が歌う楽しみを奪われていることを非常に残念に思っています。


DF-2の展開を通じて、コロナ禍においても、人と人とがより安心してコミュニケーションを行える、クリーンで安心な環境づくりを目指していくことで、音楽エンタテインメント業界にも再び、笑顔が戻ってくることを信じています。



「DF-2」の名前の由来は、「DF(デスクトップファン)」にあります。その名の通り、卓上でパワフルに飛沫を吸引するというパーソナル空間向けの小型空気清浄機です。品質にこだわり続けてきたブラザー工業が開発力を結集して完成したこの小さな空気清浄機で、皆さまに安心・安全をお届けする、大きな力になりたいと考えています。


飛沫を気にせずに、人と人とが安心して話せる、思いっきりカラオケで歌える、そんな当たり前だった幸せな日常を一日でも早く取り戻すことができたらいいですね。


▽パーソナル空間向け小型空気清浄機「DF-2」製品サイト:https://df.joysound.biz/


【製品に関するお問合せはこちら】

https://support.brother.co.jp/j/s/support/contactus_cat/df.html




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