異例の判決 あおり運転に「殺人罪」適用

去年7月、大阪府堺市で中村精寛(あきひろ)被告(40)が運転する乗用車があおり運転を続けた末、バイクに追突し、大学生の髙田拓海さん(22)が死亡した事件。

大阪地方裁判所堺支部は25日、殺人罪を適用し、中村被告に懲役16年の判決を言い渡した。

あおり運転に殺人罪を認定した、異例の判決。争点となったのは、中村被告の「殺意の有無」だった。

事件の一部始終を語るドラレコ映像を再現

初公判では「あえて被害者のバイクに衝突させたことはございません。腹を立てて追いかけ回してもいません」などと供述し、殺意を否認してきた中村被告。

一方、検察側が殺意を裏付ける証拠としたのは、中村被告が乗っていた車のドライブレコーダーの映像だった。

フジテレビ「報道プライムサンデー」が独自に入手したその映像には、中村被告の事故直後の肉声が記録されていた。

中村被告の肉声:
はい 終わりー

事故の一部始終が記録されたドライブレコーダー映像。裁判で公開された衝突の43秒前から始まる映像をCGで再現して詳しく見ていきたい。

髙田さんの運転するバイクが中村被告の車の左側から前方へ出た7秒後、中村被告はヘッドライトをハイビームに切り替えた。

さらに、車が左に車線変更した直後、バイクも同じように車線変更をし、急激に加速。

その7秒後には中村被告の車も時速110キロにスピードを上げて、一番右の車線まで車線変更した。

一番右の車線で被害者のバイクに追いつくと…

中村被告の車は96キロに減速し、そのままバイクに衝突した。

衝突後も中村被告は車を止めず、200m以上走り続けゆっくりと停車。

そして、こうつぶやいている。

中村被告:
はい 終わりー

事故の一部始終が克明に記録された、ドライブレコーダー映像。
実は、フジテレビが入手した映像には、検察提出の映像にはないもうひとつの肉声が記録されていた。
それが、中村被告が「はい、終わり」と言ったあと、車をバックさせ現場に戻っていた場面でのつぶやきだった。

中村被告:
大丈夫?大丈夫なのか?

あおり行為は「まれに見る殺人運転」

大阪地裁堺支部は中村被告の行為について「まれに見る殺人運転」とした検察側の主張をほぼ認め、あおり運転の様子を「怒りによる威嚇」と判断し、殺意を認定。

注目されていた「はい、終わり」という言葉については、「口調の内容からすると、衝突は被告にとって想定内の出来事と推認される。軽い口調で、悲しみ・嘆きの吐露とはとうてい考えられない」として、被害者と衝突してもかまわないという被告の気持ちの表れであると判断された。

また、非常に弱いブレーキなどの様子から、衝突は回避できたにもかかわらず「あえてしたもの」であるとして、「被害者に対して殺意を抱く動機がない」として殺意を否定していた弁護側の主張は全面的に退けられる形となった。

判決の瞬間、これまでの公判と変わらず淡々とした表情で正面を見つめていたという中村被告。
被害者に落ち度はなく、中村被告が虚偽の証言をするなど償いの姿勢が見られないことから「厳しい非難が妥当」として、懲役18年の求刑に対し、懲役16年の判決を言い渡すこととなった。

「たった16年…」「死刑になろうとも許せない」 

判決後、会見を行った遺族は…

髙田拓海さんの母(45):
拓海はあおられて、あおられ続けて猛スピードで突っ込まれ殺されました。それをたった16年…とても悔しいです。

髙田拓海さんの叔父(42):
僕たちからすると、被告が死刑になろうとも許すことはできないので。

(「プライムニュース イブニング」1月25日放送分より)