人気を集める“マッチングアプリ”。
個人情報が要となるアプリで100万件を超す情報が流出の恐れが…。こうした情報流出は防げるのか?
コロナ禍で増加する“マッチングアプリ”
「マッチングアプリをどれほどの人が使っているのか?」を渋谷と新宿で聞いた。
ーーマッチングアプリやっていますか?
20代女性(渋谷):
始めたばっかりです、きのう。周りもみんなやっています。Tinderとかタップルとかペアーズをやっている子がいます。
20代女性(渋谷):
世間が変わったというか、マッチングアプリに対してマイナスイメージがなくなってきている。
コロナ禍で出会いの機会が減る中、若い世代を中心に日常生活に浸透している“マッチングアプリ”。
調査会社が20代~40代の男女の利用実態を調べたところ、利用経験者はコロナ前3割(30.2%)だったが、大幅に増え6割(57.1%)に迫っている(MMD研究所×スマートアンサー調べ)。
マッチングアプリ「Omiai」約171万件の個人情報流出か
こうした中、多くの出会いと共に増えているのがトラブル。
20代女性(新宿):
友達が全然写真と違う人がいたと言っていて逃げた。他人の画像を使っている人とか多い。
他人を装う「なりすまし」。さらに怪しげな「投資への勧誘」などのトラブルが増えていて、国民生活センターへの相談は、2020年度には58件と、2019年度と比べて倍以上になっている。
アプリ運営側は利用者の安心のための身元確認、また、法律でマッチングアプリへの18歳未満の登録が禁止されているため、利用者に個人情報の提出を求め管理してきた。
しかし2021年5月、累計会員700万人のマッチングアプリ大手「Omiai」で、約171万件分の個人情報が外部からの不正アクセスで流出した可能性が高いと判明した。
流出したのは運転免許証や健康保険証、マイナンバーカード、パスポートなどの画像データ。
2018年1月31日~2021年4月20日の間に利用者から提出された個人情報で、退会者のものも含まれているという。
この期間中一時入会していたという女性に話を聞くことができた。
健康保険証の画像データが流出した可能性がある「Omiai」退会者:
たぶん流出しちゃって名前とかも全部そのままだし。退会したらその時点で個人情報が全部削除されるものだと思っていた。
情報流出によるリスクについて弁護士に話を聞くと…
名波大樹弁護士:
この情報を不正に入手した人が手っ取り早くまず考えるのは、名簿のようなものが作られて名簿業者に売られる。
悪質な業者が個人情報を買い取ることで、詐欺被害などにつながる恐れがあるという。
情報流出被害に遭わないために利用者のすべきことは?
それにしても、なぜ退会した人の個人情報まで?
「Omiai」は退会後も10年間、個人情報を保管していた。
運営会社によると、退会後に会員同士のトラブルでの賠償請求に備え、民法で請求できる期間10年を参考にしたということ。
加えて、問題を起こして退会した人の再入会を防いだり、警察への捜査協力のために個人情報を保管してきたという。
今後の対応について「Omiai」は、取材に「10年の保管期間は今後大幅に期間を短縮する方針だ」と明かした。
では、他のマッチングアプリは退会者の情報を“どのくらいの期間保管しているのか?”
取材すると、Tinderは3カ月間。タップルは90日。withは3年間。ペアーズとゼクシオ縁結びは非公表。明確な基準はなく、各社それぞれの対応となっている。
佐々木恭子アナウンサー:
私もネットを通じたサービスを日々利用しているのですが、個人情報をどう扱っているかという規約を隅々まで読んでいないことが多いことを、改めて気をつけなくてはと思いました。
今回のマッチングアプリに関してですが、このような「情報流出の被害に遭わないためにどうすればいいのか?」名波弁護士によりますと、利用者もすべきことがあるという。
・入会する前に、個人情報をどんなふうにその業者が保管しているか、ちゃんとチェックをしてください。
・退会後に長期保管をしていないか。個人情報がちゃんと暗号化されて扱われているか。こういったことをしっかり謳っているかどうか。
それを私たちがチェックすることで、その目が厳しくなると、業者もより個人情報の扱い方には気をつけるようになるという話です
加藤綾子キャスター:
業者はそれがわかりやすいような形で打ち出して欲しい。細かいとなかなか読み切れない。
ジャーナリスト・柳澤秀夫氏:
ポイントを絞り込んでわかりやすく表示して欲しいですよね。悪く言ってしまうと、読ませないために、ああいう細かい表記になっているのかなと思ってしまう。
加藤綾子キャスター:
マッチングアプリは今、需要が高まってますから、気をつけないといけないですね。
佐々木恭子アナウンサー:
自分の身を守るためには、やはり“しっかり読み込む”こと。それが最大の防衛策のようです。
(「イット!」6月28日放送分より)