プレスリリース配信元:Wood Mackenzie

今後10年で低炭素水素需要は1.7 Mtに増加、再生可能エネルギー投資額は1,470億ドルに


ウッドマッケンジーは、日本が2030年度までに2013年度比で温室効果ガス排出量を46%削減する目標を達成する見込みは低いとする調査結果を公表しました。

ジョー・バイデン米大統領の呼びかけによって4月に開催された気候サミット「Leaders’ Summit on Climate」で発表された通り、日本は2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度の水準から46%削減することを約束しました。それ以前の削減目標は、2030年までに2013年度比26%削減でした。小泉進次郎環境大臣は、日本政府は協力して、再生可能エネルギーを主力電源にするなどと述べています。

ウッドマッケンジーのアジア太平洋地域マーケット&トランジション部門の責任者を務めるプラカッシュ・シャルマ(Prakash Sharma)は次のように述べています。「日本が2030年までの新目標を達成することは極めて難しいでしょう。気温上昇1.5℃以内(AET-1.5)のシナリオに関する当社の分析に基づくと、日本のCO2の2030年までの削減率は2013年度比34%、ネットゼロ達成は2050年になると予想されます。」

「そのためには、企業の投資を増加させるための明確な政策とインセンティブにより、あらゆる方面から脱炭素化の動きを加速させる必要があります。例えば、電気自動車や燃料電池車の販売を拡大し、2035年までにガソリン車の販売を終了すると同時に、水素スタンドを現在の6倍に相当する1,000か所まで増やす必要があります。各産業の脱炭素化に本気で取り組むためには、水素利用に加え、炭素隔離貯留技術(CCS)や自然を基盤とした解決策(NbS)等の炭素除去も必要になります。」

ウッドマッケンジーは、2030年までに日本の低炭素水素需要は1.7Mt(百万トン)に到達すると予想しています。2050年までにネットゼロを達成させる場合、この数字は10倍の16.5 Mtまで膨らみます。日本は、水素需要を拡大させる方向に急速に突き進んでいます。道路交通、製鉄、発電等の産業分野における新たな利用を開拓するため、戦略的な政策が取り入れられています。火力発電所におけるアンモニアの混焼や排出CO2の合成燃料への転換に関するパイロットテストも進められていますが、その商用化は2030年以降になる見込みです。

しかし、国内生産で水素需要を満たすことはできず、2050年までには日本の水素需要の最大80%を輸入に頼ることになります。シャルマは、「地理的に近く、価格が安いオーストラリアが、日本の低炭素水素市場シェアの大部分を占めることになるでしょう。日本とオーストラリアを筆頭に、水素の海上輸送貿易が活性化するほか、アンモニアがメインのグリーン水素キャリアとなる可能性が高いでしょう」と述べています。

水素需要の急増に合わせるように、日本の電気事業分野では再生可能エネルギーの需要も順調に伸びています。ウッドマッケンジーは、2030年までに日本の電力需要の30%が再生可能エネルギーで賄われ、日本の目標値である22~24%が達成されると予想しています。

ウッドマッケンジーのアジア太平洋地域電力・再生可能エネルギーの研究責任者を務めるアレックス・ウィットワース(Alex Whitworth)は次のように述べています。「再生可能エネルギーのコストが低下していることに加え、2030年に向け再生可能エネルギー(新規太陽光・風力発電所)による発電量を増やすために1,470億米ドルが投資されているため、日本は再生可能エネルギーの割合目標を問題なく達成し、小泉大臣が表明した再生可能エネルギーの主力電源化を促進させることができるでしょう。」

日本は発電量に占める石炭火力発電の割合を、2019年の30%以上から、2030年までに26%に削減することを目指しています。経済的な競争力のある石炭火力発電の削減は難しい課題です。現在9ギガワット(GW)分の石炭火力発電パイプラインが建設中であることに加え、原子力発電の拡大に対する国民の反発から、政府の政策による後押しがなければ、石炭火力発電の割合は増加する可能性があります。日本は、反対の声が多い原子力発電所の再稼働によって、2030年までに原子力による電力量を20~22%に倍増させる目標に向けては、ほとんど進展しないことが予想されます。

ウィットワースは、「電力不足や、今年起きた記録的な電力価格の高騰により、石炭火力発電所や原子力発電所を閉鎖する難しさに注目が集まりました。再生可能エネルギー発電所の建設を促すため、そしてさらに重要なことに、今後10年で石炭・ガス・原子力発電所の閉鎖により失われる50GWもの膨大な発電能力を補うためには、やはりガスや石炭火力等、出力調整可能な確かな発電手段が日本では必要とされています」と述べています。

ガス発電は日本の電力供給に極めて重要ですが、その発電量の割合は減少しています。ガスは比較的高価であるため、2030年までに、その発電割合は近年の3分の1以上から26%まで減少する見込みです。発電所数では増えているものの、2050年までに、日本のガス発電の割合は現在より40%以上も減少すると予想されています。経済や政策が再生可能エネルギーの割合を上げようとするのに伴い、ガス発電の役割は、徐々にピーク電力需要の負荷平準化用へと変化するでしょう。

ウッドマッケンジーは、日本の電気事業分野におけるCO2排出量は、2020年から2030年までに70 Mt減の350 Mtになると予想しています。

ウィットワースは、「2030年までに予想される電力事業分野のCO2排出16%削減というのは大きな数字ですが、日本政府が表明する46%の排出量削減目標を達成させるには十分ではありません。再生可能エネルギーも増えていますが、出力調整可能な電力や電気事業以外の分野の脱炭素化には、大きな課題があります」と述べています。

ウッドマッケンジーは6月22~24日の期間、アジア太平洋地域の電力と再生可能エネルギーに関する発足会議「Power and Renewables Asia Pacific Conference(https://www.woodmac.com/events/power-and-renewables-conference-apac/)」を開催します。メディアパスをご希望の方は、ann.lee@woodmac.comまでお問い合わせください。


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