先月、横綱・稀勢の里が引退した一方で、玉鷲、貴景勝、御嶽海と世代交代の波が押し寄せている相撲界。

2月24日放送の「ジャンクSPORTS」(フジテレビ系列)では、朝乃山、阿炎、炎鵬、大栄翔 、貴景勝、千代丸、御嶽海と豊ノ島が登場。若手力士たちから驚きのエピソードが続出した。
 

耐え続けた父親からの厳命ノルマ

 
 
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力と力のぶつかり合いで真剣勝負を繰り広げる怪力自慢の力士たち。そんな彼らはどんな子ども時代を送ってきたのか。

2018年11月の九州場所で、悲願の幕内初優勝を飾った貴景勝は、新関脇として挑んだ初場所でも豪快な突き押し相撲で11勝4敗と最後まで優勝争いを演じ、来場所には大関取りがかかっている。

そんな貴景勝は、保育園を経営する父親の元、兵庫県芦屋市に生まれ、小学生になると極真空手を習い始め、めきめきと上達。全国大会で準優勝するまでになるが、小学3年生で相撲へと転向。体づくりのため、わずか30キロだった体重をたった3年で3倍の90キロにまで増量させた。

父親から厳命された地獄のノルマに耐え続けたという貴景勝は「吐く寸前まで食べました。牛乳は1日2リットル飲むまで学校行けないとか、肉は1日1キロ食べないと寝られないし、学校へも行けなかった」と涙ぐましい努力を告白。しかも、当時1か月の食費は30万円もかかっていたという。
 

地元の人気は横綱級!?御嶽海&朝乃山

 
 

今、大人気の大相撲。会場も大入り満員だが、力士の地元での応援もかなり盛り上がっているという。

まず、長野県出身で、昨年、初の幕内優勝を決めた御嶽海。

2018年7月場所14日目で優勝を決めた時のライブビューイング会場では、母親のマルガリータさんを中心に大盛り上がり。優勝時には号外が配られ、飲酒運転根絶を訴える交通安全ポスターや長野県の農産物をアピールするイメージキャラクターに抜擢されるなど大活躍。

場所中ともなると、地元・上松町を走るバスには、御嶽海を応援する垂れ幕が掲げられるなど、地元総動員での応援だ。

 
 

一方、富山県出身の朝乃山も負けてはいない。

2017年秋場所に新入幕を果たすと、富山県に28年ぶりの快挙をもたらしたと号外が配られ、県道沿いにはかぼちゃで作った朝乃山の巨大交通安全人形も登場。ひとたびトークショーを開くと、満員の300人以上の人が集まり、さらには富山のスポーツマガジン『ティーズシーン』の表紙を2回も飾った。

2018年のバレンタイン商戦では、女性人気にあやかり、地元のショッピングモールの1日館長にも任命されるなど、富山での朝乃山人気は“すでに横綱級”との声も上がっている。

地元での人気が過熱する一方で、朝乃山には少し困ったことがあるようで、「自分の家のお風呂が小さくて、近くのスーパー銭湯に行ったら、十両の時には声を掛けられる程度だったんですけど、幕内に入ったら体中見られて…」と恥ずかしそうにはにかむ。

MC浜田雅功さんは「お尻は見られなれていると思うけど…」とツッコむと、朝乃山は「前はたぶん見たことないと思うので(笑)。(スーパー銭湯の)外に露天風呂があるんですけど、すっぽんぽんでミニ握手会みたいになる」と人気者ならではの苦労を明かした。
 

モテ度の基準は人間とお相撲さん?

 
 

「寝顔がかわいい!」と老若男女問わず、人気が高い千代丸。

その人気ぶりをよく知るという床山・床九さんは「彼は独身なのでやりたい放題です!やっぱりモテますから。『ジャニーズの若い子と千代丸さんどっちが人気ある?』と彼に聞いたら、『10対0で自分』と言ってました。俺の方がキャーキャー言われるって。迫られるのが好きなんです、彼曰く」と明かした。

浜田さんから「自分の中でモテてるなというのはあるの?」と聞かれると「ちょっとはあります」と謙遜しつつ、「(ジャニーズJr.にも)11-0で勝てます」と冗談交じりの自信を見せた。

そんな千代丸は、炎鵬と阿炎もモテていると名前を挙げるが「炎鵬関と阿炎関は普通の人間なんです。体のデカさが。なので、男性として好かれるんです。自分は人間を超えているので、お相撲さんとして好かれているんです。そこはちょっと嫉妬というか、悔しいところですね」と話した。
 

“四股王子”のヤンチャぶりに閣下も驚がく!

 
 

そんな千代丸も注目する相撲界の若きプリンス、阿炎と炎鵬。

イケメンぶりだけでなく、素早い突き押し相撲で多くのファンを魅了した、元関脇・寺尾、現在の錣山親方を師匠に持つ、愛弟子の阿炎の武器も突き押し。加えて、両足を左右交互に高く上げ、土俵で最初に行う準備運動の「四股」が美しいことで“四股王子”とも呼ばれる阿炎。軸足からほぼ垂直に伸びる美しい四股が評判となり、Tシャツのデザインにもなるほど。

錣山親方は評判の阿炎の美しい四股について「お客様のいる本場所ではいい四股を踏んでいますけど、稽古場では全くダメですから。阿炎は明るくて、苦しいことは大嫌いという素敵な個性があるんです。稽古は苦しいじゃないですか、稽古が好きじゃないんです」と稽古嫌いをダメ出し。さらに「インタビュールームでしゃべって口を動かすのもいいですけど、もっと稽古場で体を動かせって感じですね」と師匠から愛のムチが。

2018年の初場所で、初の敢闘賞を受賞した阿炎。インタビュールームで帰り際に、ピースサインをするという力士らしからぬ言動も飛び出した。これにはデーモン閣下も、「インタビュールームで最後にピースした人、この人(阿炎)が初めてだよ」と驚いていた。

また、横綱・白鵬を破り初の金星を挙げた日に「師匠にどう報告しましょうか?」という質問に対し、「おかげさまでしっかりと」と簡潔に済ませ、「それよりも昨日誕生日だったお母さんに早く報告したいので、もう帰っていいですか?」と発言。

この“阿炎節”で、親方がたまに協会からお叱りを受けてしまうこともあるという。

錣山親方は「稽古場でひたすら汗かいて体を動かして、あとはもうヤンチャしてもいいと思います。たまには言うこと聞けよ」とにくぎを刺したが、阿炎は「収録前に電話がきて『すごく厳しいこと言っているけど、スタジオでは楽しんで来いよ』と言ってくれた」と師匠の優しさを明かした。

またインタビューでの言動に関して、錣山親方から怒られなかったのかと聞かれると「めちゃくちゃ言われましたね。師匠が怒られて、師匠が僕に“いいよ別に俺が頭下げれば済む話だから、お前は好きなようにやっていいぞ”と。でもそれ言われたらできないですよね」と親方の気持ちが心に染みた様子だった。

“ひねり王子”は白米の湯気が苦手!?

 
 

続いて、小さいながらも一歩も譲らない気迫の相撲で注目を集め、“ひねり王子”と呼ばれる炎鵬。

十両で最も巨大な力士・臥牙丸との、体重差約100キロの一番。この相手に対して、炎鵬は立合いと同時に大きく飛び上がり、相手の突進をかわし、見事な八艘飛びで勝利。身長180センチの玉木との一番では、立合いの瞬間、相手の足を両手で持ち上げる足取りで、取組時間わずか3秒という電光石火の勝利を収めた。

常に意表を突く相撲で会場を沸かせる炎鵬と対戦した経験のある豊ノ島は「小さいので、土俵に上がっても小さいんです。会場のお客さんも小さいのが勝つとすごく盛り上がるので、アウェーになりますし、やりづらいですね」と話した。

体格の小さい炎鵬に「相撲界で不利とかなかったんですか?」と浜田さんが聞くと、「僕みたいに小さい相撲取りがいないと面白くないかと。そこに入ったら目立つので。横綱・白鵬にスカウトしてもらって」と明かした。

今、増量真っ最中だという炎鵬の所属する宮城野部屋のちゃんこを番組で取材。朝10時、白鵬を中心に力士たちが稽古の汗を流す中、調理場では食事番の力士による準備が始まる。

主役はちゃんこ鍋で、鶏ガラだしのスープに7種類の野菜とつみれ、取材した日の味付けは、白鵬が一番好きだという塩バター味。他にも、宮城野部屋には味の違うちゃんこ鍋が10種類以上あり、力士の飽きが来ないようにしているという。

午前11時、稽古を終えた力士たちの食事が始まる。増量中の炎鵬は、白鵬の隣で厳しい監視のもと、ご飯を食べるのが決まり。白鵬は必ず最初にサラダを食べ、現役を長く続けるために抗酸化作用の強い亜麻仁油を毎食採るなど、こだわりがあるというが、炎鵬はアツアツの白いご飯が苦手だと明かし、大好物だというパスタが食卓にあがるという。

白米の湯気が苦手だという炎鵬。「パスタの湯気は大丈夫。湯気の中でもいろいろ種類があるじゃないですか。米と温泉とかそういう湯気が苦手なんです。ウッってなっちゃう。食べる気もなくなっちゃう」と話した。

また、ハンバーグが嫌いだったという貴景勝は「練習終わりにすぐに飯を食べなきゃいけないというのがあって、だいたい父親に『びっくりドンキー』に連れていかれるんですけど。450グラムのハンバーグを3枚頼まれて、これが毎回ノルマで。3枚目くらいからハンバーグは冷めてるし、ハンバーグの汁が米に染み込んで、本当に嫌で嫌で」と告白。しかし、「高校の時に久しぶりに食べに行ったら、めちゃくちゃ美味しくて、やっぱり食べさせられるのと、自分から食べるのは全然違うんだなと。今はハンバーグ大好きです」と笑顔を見せた。
 

豊ノ島、大けがからの復活劇

 
 

2016年、名古屋場所直前の稽古で左アキレス腱を断裂という、力士生命を脅かす大けがで2場所を連続で休場した豊ノ島。関脇をはったこともある豊ノ島は幕下に転落。月収100万円をこえる十両以上の関取に対し、幕下は力士の見習いとされ給料がゼロで、付け人もつかなくなる。

そのため、幕下に転落した力士の多くは、そのまま引退することが多いが、当時33歳で家族もいた豊ノ島は現役続行の道を選んだ。幕下生活は2年に及び、2018年11月の九州場所で十両に復帰し、初場所でも10連勝。35歳にして幕内復帰も見えてきた。

そんな豊ノ島の奮闘を、奥様同士が友人だったことをきっかけで知り合った、俳優・田中圭さんは間近に見ていたという。

田中さんは「けがをした時は引退だなと思いました。でも、僕らの前では暗い顔一つしないし、弱音も吐かなくて。家族の支えがあって、ついに復帰して。僕らの中では、『梶やん、カッコいい』ってなっています」とVTRのコメントで笑顔を見せた。

けがをした当時のことを「最初はそんなに…と思ったんですけど、倒れて音がしたのでおかしいなと思って足を見たら、足が震えて感覚がない感じで」と豊ノ島は振り返り、「2年間、場所手当の15万円が出るだけで副収入もないですし、嫁はケガしてすぐに当時住んでいたところから、家賃が安いところに引っ越しました」と明かした。

家族の支えもあり、休場あけの2場所を連続で勝ち越し、番付は幕下2枚目と関取復帰の目前まで上昇した豊ノ島だが、右脚ふくらはぎの肉離れを発症した時にはついに引退を決意したという。

親方へ引退の意思を告げ、家族へどう伝えようかと帰りながら考えていたところ、ドアを開けた瞬間に娘から「お相撲辞めないで」と言われたことが、再び豊ノ島の闘志に火をつけた。

番組にはそんな奇跡の復活を一番近くで支えてきた奥様から届いた手紙を読み上げると、豊ノ島は、「無給生活でしんどかった。ちょっとしたことでも娘に我慢させたり、こうして関取に復帰できたのは父親としても、旦那としても1つ男になれたのかなと思います」と涙を浮かべた。

誰が決める?四股名の由来

 
 

さらに、力士たちの四股名にも注目。実は、四股名にはさまざまな思いが込められているという。

埼玉栄高校出身の大栄翔は、高校の名前の「栄」から取っていて、大栄翔は「追手風親方と山田先生(埼玉栄相撲部の監督)が決めてくれました」と話した。

貴景勝の「貴」は元貴乃花親方からもらい、「景勝は貴乃花親方が上杉謙信を崇拝していて、その後の上杉景勝からもらいました」と話した。

親方や部活の監督が四股名を決めたという話を聞き、浜田さんは「今日から阿炎だと言われても…」と困惑を見せた。すると、デーモン閣下は「阿炎の由来知ってる?錣山親方は三兄弟で、家族の中でのあだ名が“アビ”だったの。それを弟子の四股名に付けるから我輩もびっくりした」と驚きを見せた。

自身の四股名の由来について阿炎は「師匠のお父さんもお相撲さんで、海外の人が来るとまだ赤ちゃんだった師匠に、『オーベイビー』っていうのを聞き間違えて、アベイビーからアビ、阿炎でよくない?と。適当に決まったんですよね、僕の師匠と両親と中学の先生がお酒を飲んでいるときに決まったみたいです」と明かした。

他にも、御嶽海は故郷・長野の御嶽山、所属する出羽海部屋の海から取り、炎鵬は小さい体を内面から炎のように燃やしてほしいと横綱・白鵬が命名したという。

さらに千代丸は「もともと自分で決めていた四股名があって。地元が鹿児島県志布志市なので『千代大志』で行きたいと言ったらダメだと言われて。今の親方が元・千代大海関なんですけど、(四股名の文字に)『大』が入っていて、(当時はまだ)現役中で被るからダメ」だと、現在の親方からNGをくらったというが、「親方が自分の体を見て、丸い…千代丸だと」と、体のフォルムで決まったという。

名前も素顔も個性豊かな“平成世代”の若手力士たち。これからの活躍に期待したい。
 

『ジャンクSPORTS』毎週日曜日夜7:00~8:00放送