プレスリリース配信元:公益財団法人日本ユニセフ協会

過去20年で初の増加、新型コロナ影響でさらに増加予測


首都ワガドゥグ郊外の鉱山で働く子ども。(ブルキナファソ、2020年9月撮影) (C) UNICEF_UNI394756_Dejongh
【2021年6月10日 ニューヨーク/ジュネーブ 発】

ユニセフ(国連児童基金)と国際労働機関(ILO)が発表した新しい報告書『児童労働:2020年の世界推計、傾向と今後の課題(原題:Child Labour: Global estimates 2020, trends and the road forward)』は、児童労働に従事している子どもの数が過去4年間で840万人増加して世界で1億6,000万人に上り、さらに数百万人の子どもたちが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で新たに児童労働に従事させられるリスクに直面していると指摘しました。

6月12日の「児童労働反対世界デー」に先立って発表された本報告書は、児童労働をなくすためのこれまでの進捗が、この20年間で初めて停滞し、2000年から2016年の間に児童労働が9,400万人減少したこれまでの減少傾向が逆転していると警鐘を鳴らしています。

また報告書は、児童労働に従事する5歳から11歳の子どもの数が大幅に増加し、世界の総数の半数以上(8,930万人)を占めるようになったと指摘しています。さらに、健康、安全、道徳面で有害な可能性が高い危険な仕事に就いている5歳から17歳の子どもの数は、2016年から650万人増加し、7,900万人となっています。

サハラ以南のアフリカでは、人口増加、度重なる危機、極度の貧困、不十分な社会的保護施策により、児童労働に従事する子どもは過去4年間で1,660万人増えました。アジア・太平洋地域やラテンアメリカ・カリブ地域など、2016年以降にある程度の前進があった地域でも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によってその進展を危うくしています。報告書では、パンデミックの結果、2022年末までに世界で900万人の子どもたちが新たに児童労働に追い込まれる危険性があると指摘しています。シミュレーションモデルによると、重要な社会的保護へのアクセスがなかった場合、この数は4,600万人まで増加する可能性があります。

ラージャスターン州のバンスワラ地区から移民し、両親と一緒にレンガ工場で働く15歳の男の子。(インド、2020年12月撮影) (C) UNICEF_UN0392587_Kolari
また、COVID-19による経済的ショックや学校閉鎖の影響で、すでに児童労働に従事している子どもたちの労働時間が長くなったり労働条件が悪化したり、厳しい状況にある家庭が仕事や収入を失うことで、さらに多くの子どもたちが最悪の形態の児童労働を強いられる可能性があります。

ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは、「私たちは、児童労働との闘いに敗れようとしています。昨年、その闘いは厳しいものでした」と述べています。「世界的なロックダウン、学校閉鎖、経済の混乱、国家予算の縮小などが2年目に入った今、家族は辛い選択を迫られています。私たちは、各国政府や国際開発銀行に対し、子どもたちを労働から解放して学校に復帰させるための支援プログラムや、そもそも家族が子どもに労働をさせるという選択をしないで済むような社会的保護プログラムへの投資を優先させることを強く求めます」(フォア)

その他、本報告書では以下の重要な点が報告されています。

児童労働に従事している子どもの70%(1億1,200万人)は農業部門が占め、次いで20%がサービス部門(3,140万人)、10%が工業部門(1,650万人)となっている
児童労働をしている5~11歳の子どもの28%近く、12~14歳の子どもの35%が学校に通っていない
児童労働に従事する子どもの性別に関しては、どの年齢においても女の子より男の子の方が多く見られる。もし週21時間以上の家事労働を考慮に入れると、児童労働の男女差は縮まる
農村部での児童労働の割合(14%)は、都市部(5%)の3倍近くにのぼる


児童労働に従事している子どもたちは、身体的にも精神的にも悪影響を受ける危険性があります。児童労働は子どもの教育を損ない、子どもの権利を制限し、将来の機会を狭め、貧困と児童労働の負の世代間連鎖を招きます。

児童労働の増加傾向を逆転させるために、ユニセフとILOは次のことを呼びかけています。

普遍的な児童手当を含む、すべての人に対する適切な社会保護
質の高い教育への支出を増やし、COVID-19以前から学校に通っていなかった子どもたちも含め、すべての子どもたちを学校に戻すこと
家族が子どもに家計を頼らなくても済むよう、おとなが適正な仕事につけるよう促進すること
児童労働に影響を与えるような有害なジェンダー規範や差別をなくすこと
子どもの保護システム、農業開発、農村部における公共サービス・インフラ・生計への投資


「児童労働撤廃国際年」である今年、その活動の一環として、ユニセフとILOが参加するグローバルパートナーシップ「アライアンス8.7」は、加盟国、企業、労働組合、市民社会、地域・国際機関に対して、児童労働との世界的な闘いにおいて具体的な行動を約束し一層の努力をするよう促しています。

※補足
本報告書は、ILOとユニセフが共同で作成した初の児童労働に関する報告書であり、「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標8.7に向けた進捗状況を測定・監視するための機関をまたがる幅広い取り組みの一環として作成されました。推計値は、世界の5歳から17歳までの子どもの人口の70%以上をカバーする106の調査から得られたデータを外挿したものです。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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