屈辱のシーズンを終えて秋季キャンプスタート

歓迎セレモニーで挨拶する井口監督(鴨川市民球場・11月1日)
歓迎セレモニーで挨拶する井口監督(鴨川市民球場・11月1日)
この記事の画像(12枚)

今季Bクラスの4位に終わった千葉ロッテマリーンズの秋季キャンプが11月1日、千葉県の鴨川市営球場で始まった。

井口資仁監督(44)は「台風と大雨の被災にあった中、我々キャンプのために設営準備等ご尽力いただきまして、本当にありがとうございます。我々は来シーズン最後まで戦い、勝ち抜き、優勝するために、“実りのあるキャンプ”にしていきたい」と決意を新たにした。

シーズン終盤、楽天とクライマックスシリーズ進出争いを繰り広げ、最後で敗れ去っただけに指揮官の目は厳しかった。「振り込む量、ランニング量を増やして“限界を超える”ところまでやってもらう。そうしないと一歩前に行かない」と、選手たちには妥協なき鍛錬の日々を行う事を要求した。

「限界を超える」ブルペンを視察する井口監督
「限界を超える」ブルペンを視察する井口監督

正捕手・田村龍弘 打撃強化へ!独特の練習方法も

秋季キャンプで井口監督は「色々な練習をやっていきたい。先端が重いハンマーを強く叩きつけることで、腕の強化にもなる」と野手のバッティング練習のメニューの中で、「巨大なタイヤを重さ約2.5キロのハンマーでたたく」独特の練習もとり入れた。

正捕手の田村龍弘(25)
正捕手の田村龍弘(25)
「巨大なタイヤを重さ約2.5キロのハンマーでたたく」独特の練習
「巨大なタイヤを重さ約2.5キロのハンマーでたたく」独特の練習

秋季キャンプに参加した若手選手25人の中で指揮官が期待を寄せる1人が、田村龍弘(25)だ。自慢の強肩と正確なスローイングでチームを引っ張るマリーンズの正捕手だが、来季は打撃の開眼が期待される。「巨大なタイヤを重さ約2.5キロのハンマーでたたく」独特の練習に「バッティングはインパクトが大事。強く振って強い打球を打てるように秋季キャンプで取り組みたい」と初日から全力で汗を流した。

また、これまで捕手ではチーム最年少だったが、ドラフト2位で東洋大・佐藤都志也捕手(21)が指名された。「負けないように切磋琢磨して刺激し合いたい」と気を引き締めた。

ブルペンでボールを受ける正捕手・田村龍弘(11月1日)
ブルペンでボールを受ける正捕手・田村龍弘(11月1日)

さらに、“令和の怪物”ことドラフト1位指名・最速163キロ右腕の大船渡高校・佐々木朗希投手(17)については、「実際にボールを受けたことは勿論ないが、あれだけの投手なので自分の考えがあると思う。一方通行にならないように、しっかりとコミュニケーションをとりながらやっていきたい」と女房役として意気込んだ。

ドラフト1位指名の最速163キロ大船渡・佐々木朗希投手(17)(10月17日)
ドラフト1位指名の最速163キロ大船渡・佐々木朗希投手(17)(10月17日)
井口監督の指名挨拶(10月29日・大船渡高校)
井口監督の指名挨拶(10月29日・大船渡高校)

台風15号や豪雨の爪痕が残る鴨川市

亀田郁夫鴨川市長(左端)と地元の小学校6年生の安西零くん(11)
亀田郁夫鴨川市長(左端)と地元の小学校6年生の安西零くん(11)

9月に千葉県を襲った台風15号は鴨川市にも大きな爪痕を残した。歓迎セレモニーには鴨川市の亀田郁夫市長も訪れ、「この場所で練習してくれることが復興への力になる」と激励した。

市営球場は台風15号の影響でブルペンは屋根が飛んだが、市が予定通り開催できるように最優先で補修。ブルペンは風雨をしのげる応急措置を終え、万全の体制で迎え入れた。

台風15号で飛んだブルペンの屋根(鴨川市HPより)
台風15号で飛んだブルペンの屋根(鴨川市HPより)

地元の小学校に通う安西零くん(11)は「台風15号で自宅が3日間停電になった。台風19号でも1日停電になった。選手は練習を頑張って欲しい」と当時の大変さを語った。

午前の練習を終えた田村に台風15号で飛んだブルペンの屋根の写真を見せると、「被災地・鴨川の方がブルペンを直してくれた。大変な状況の中で直してくれた鴨川市の方のためにも野球で恩返しがしたい」と熱い胸の内を語った。

ブルペンを後にする田村(11月1日) 被災地への思いを語ってくれた
ブルペンを後にする田村(11月1日) 被災地への思いを語ってくれた

また、チームはこの日、義援活動の一環としてキャンプ期間中の10日午後に井口監督と全選手参加でチャリティーオークションを行い、鴨川市に寄付することも発表した。売上金は井口監督自らが14日に市役所を訪れて寄付する。

今季味わった悔しさと地域への感謝を胸に井口マリーンズは台風被災地・鴨川から新たな一歩を踏み出した。それは来季の巻き返しへの確かな一歩となる。

今季味わった悔しさと地域への感謝を胸に来季の巻き返しへ
今季味わった悔しさと地域への感謝を胸に来季の巻き返しへ

(フジテレビ・加藤忍)

加藤忍
加藤忍

早稲田大学卒業。フジテレビ入社。スポーツ局すぽると!ロッテ担当、ヤクルト野球中継などを経て現在は報道局兼スポーツ局。