鳥取市河原町で父親の死体を自宅の納屋に隠していた死体遺棄事件の裁判で、鳥取地方裁判所で5月8日初公判が開かれた。
被告の53歳の息子が語ったのは、事件の背景となった苦しい生活の実態だった。

裁判で明かした「苦しい生活」

谷本達男被告:
病院に連れて行くお金もなく、葬儀代も払えなかった。父には申し訳ないと思った

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鳥取地方裁判所で開かれた初公判で胸中を明かしたのは、鳥取市河原町小河内の無職・谷本達男被告(53)。
事件が発覚したのは、わずか6世帯8人が住む山間の小さな集落。
谷本被告は2021年1月、低体温症で亡くなった父親の政治さん(当時88)を自宅の納屋に遺棄したとして、逮捕・起訴された。

市の福祉担当者の訪問にも「父は大丈夫」と嘘をついていたという。
事件の詳細な経緯について8日の初公判で検察は、谷本被告が雪かきから戻るとこたつで父親が亡くなっていて、数日間自宅に放置したがその後、ドラム缶に入れて納屋に遺棄したと述べた。

検察:
救急車を呼ばなかったのは、お金が無かったからですか

谷本被告:
はい

検察:
なぜ遺体を隠したのですか

谷本被告:
葬儀代を払えなかった。年金での生活を続けたかったからです

弁護人:
どうやって暮らしていましたか?

谷本被告:
父親の年金です。2か月に1回、8万円程です。他に収入はありません

検察によると、谷本被告は父親と2人暮らしで、以前は農業で生計を立てていたが、10年前からは収入が無い状態となり、一時は兄から生活費の支援を受けたものの、その兄も3年前に亡くなった。

弁護人:
どうして生活保護などを相談しなかったのですか

谷本被告:
父から、「以前相談して無理だった」と聞いていたので、どうせ無理だと思った

全国的に顕在化している問題

こうした中高年の子どもが高齢の親のわずかな収入で生活し、結果的に親子共倒れになるケースは、特にひきこもり問題の中で「8050問題」と言われ、全国的に顕在化している。

今回の事件にもこの問題と一部共通する要素が見えるだけに、事件発覚の端緒をつかんだ鳥取市では…

鳥取市中央人権福祉センター・川口寿弘所長:
感覚的には毎年増えている。息子だけが途端に取り残されて収入がない中で困窮するとか、地域社会の中で人間関係が繋がってないとか、そういう孤立状態にある世帯が多い

裁判はこの日のみで結審し、検察は「事件の経緯及び動機に酌むべき点はない」として懲役1年を求刑した。
弁護側は、経済的に困窮していたなど情状酌量の余地があるとして、執行猶予を求めた。

一方、谷本被告は最後に「今後は生活保護を受けながら、できる仕事を探してやっていきたいと思っています」と述べた。

判決公判は、6月29日に予定されている。 

(TSKさんいん中央テレビ)