写真には撮った人の心が写るという。
禁教時代の迫害や弾圧に耐え、ひっそりと暮らしてきた人たちの日々や美しい教会に、なぜか惹かれ続けている人がいる…。

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長崎市の吉永友愛さん(75)。
仕事の傍ら、趣味で35年にわたり長崎市外海地区のキリシタンの暮らしを写真におさめてきた。

吉永友愛さん;
祈りをしている心が映らないかなと思って撮っている。

2018年12月、初めての写真集を自費出版。これが「笹本恒子賞」に輝いた。

吉永友愛さん;
え、ほんとに?自分が?そんなことを言いましたね。じわじわ喜びが沸いてきて、長年同じテーマでやってきてよかったなと。

笹本恒子さんは日本最初の女性報道写真家で、その業績を記念して作られた賞にはこれまでに、アイヌ文化やカンボジアの子ども達を撮影した写真家が選ばれてきた。

写真提供:公益社団法人 日本写真家協会
写真提供:公益社団法人 日本写真家協会

吉永さんの作品は「日常生活を細かく記録し信仰の奥深さを丁寧に表現した力作」と評価された。

外海の出身でも、カトリック信徒でもない。
信徒の暮らしに焦点をあてようと決めたのは、たまたま訪れた住宅で見た「ある光景」がきっかけだった。

吉永友愛さん;
マリアとかキリストの絵を飾ってあって。普通、仏教だったら先祖の写真とか飾ってあるでしょ。それでカルチャーショックですね。
撮っていくにつれて、奥が深いカトリックの生活が好きになって。

カメラを始めたのは20代の頃。
父親が残したカメラや現像機などを使って自分でも挑戦してみようと、長崎市内の写真クラブに入った。
カメラ歴は約50年だが、あくまで「趣味」のひとつと言い切る。
長く続ける秘訣は「好きになること」
家族の理解もあり、仕事をしながら月に3回、週末の休みを使って長崎市内の自宅から外海に通い続けて35年…。
今でも、独特な文化の魅力を感じている。

吉永友愛さん;
昔、ここで墓掃除の後で(草を)燃やしていた。その煙が写真的に良くて。だからちょくちょく来ていたが、最近ではなくなって…でも来ると感じますね。思いを馳せながら写真を撮らせてもらっている。

2019年現在、75歳の吉永さんの目標は…

吉永友愛さん;
笹本恒子さんが104歳ですから、まだまだあと20年頑張らなきゃ。

写真家・吉永友愛さん。
レンズをのぞきこむまなざしには、いつも優しさがあふれている。

(テレビ長崎)

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