TwitterにInstagram、Facebook、日常的に利用している人が多いSNS。

何気ない投稿がもとで、夫婦トラブルに発展することもあるようだ。過去には、「私の父の死を、夫がSNSに投稿して、気持ちが冷めてしまった」という新聞記事が、話題を呼んだことも。

SNSを通じて、夫が飲み会で騒いでいる様子を妻が見る、妻が買った高価なカバンの写真を夫が見るということは日常茶飯事。不要なトラブルを避けるためには、お互いのアカウントをフォローしない方がいいのだろうか?

夫婦でフォローし合うことで“投稿する内容の見直し”につながる

「お互いのアカウントは、フォローしておいた方がいいと思います。相手の投稿を見ない人はフォローしてたって見ないし、見る人はフォローしてなくたって見るから。それに、相手のことはわからないよりわかった方がいい。夫婦なのでオープンにすることが大事です」

夫婦問題研究家・岡野あつこさん
夫婦問題研究家・岡野あつこさん
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そう教えてくれたのは、夫婦問題研究家の岡野あつこさん。夫婦でフォローし合うことは、互いを知ることにつながるだけでなく、「不特定多数に見られる投稿内容を、見直すきっかけにもなる」と、岡野さんは話す。

「夫や妻に見られていると思えば、相手に嫌な思いをさせるような投稿は避けますよね。配偶者が嫌だと思わない内容であれば、他人が見ても不快に感じないはず」

「夫婦ゲンカをしてイライラ」といった愚痴や、「義父が入院した」といった見た人に心配させるような内容は、投稿しない方が賢明とのこと。

「例えば、夫婦ゲンカをして仲直りした翌日に『昨日イライラしたことがあった』と書けば、配偶者は『まだ根に持っているんだ…』と感じて、関係がギクシャクしますよね。ネガティブな内容は他人にもプラスには影響しないので、載せない方がいいんじゃないかな」

また、配偶者からのフォローを拒否すれば、当然「隠し事があるんじゃないか」と、勘繰られてしまう。夫婦間で問題のない、クリーンな状態にしておくことも重要といえそうだ。

SNSを使う“目的”を知ることで誤解を防ぐ

「夫婦でSNSをフォローし合う場合、『こういう目的で使おう』とか『こういう投稿は避けよう』とか、ルールは決めておいた方がいいですね。SNSを使う目的をはっきりさせておけば、誤解は生じないでしょう」

もし、SNSを仕事に活用しているなら、客を呼ぶために少々盛った写真や文章を投稿することがあるかもしれない。しかし、その目的を配偶者が知らなければ、「自分の知らないところで贅沢している」と、誤解されるだろう。

「夫は『子どもに危害が加わると怖いから、家族が写った写真は投稿しないでほしい』と思っていても、妻は『子どもが褒められると子育てを頑張れるから、かわいい子どもの写真を載せたい』と考えているかもしれない。夫婦で話して、意識を共有することも大事です。SNSは身近な他人に見られていることも、忘れないようにしましょう」

投稿内容によっては、友達や同僚に「あそこは夫婦仲が悪い」「旦那さんは毎日飲み歩いている」「奥さんは愚痴ばっかり」と、思われてしまう場合もある。配偶者や子どもに恥をかかせないためにも、投稿内容には注意したいもの。

「結婚前に使っていたアカウントなどは、わざわざ夫や妻に伝えなくていいでしょう。年々つき合う人も変わって、考え方も更新されているわけだから、互いに過去ではなくて今を見るようにしてほしいですね」

配偶者が受け入れやすい注意文句「『派手だね』って言われちゃった」

「配偶者の投稿に違和感や不満を抱いた場合は、その都度、話し合うことが大事」と、岡野さんは話す。ただ、その話し合いがきっかけで、トラブルが発生しないとも言い切れない…。

「SNSは、ほとんどの人が悪気なく使っているので、『あの投稿はよくなかった』と、ネガティブなことを言って水を差すと、ケンカになりやすいです。注意したい時には、“第三者”を挟むと有効です」

例えば、夫が飲み会で同僚の女性に囲まれている写真をアップした場合、「だらしないからやめて」と言うのではなく、「ママ友から『旦那さん派手だね』って言われちゃったから、気をつけてね」と、第三者の目があることを伝えると、相手も受け入れやすくなるのだ。

「『友だちが同じような写真をあげて、社内で不倫してるって勘違いされちゃったんだって』のように、第三者のトラブル事例を伝えるのもありです。『人の振り見て我が振り直そう』と思うはずですから。お互いに注意し合って、快適なSNSライフを送ってほしいですね」

生活をともにする夫婦だからこそ、隠し事のない関係を築くことが大事。だからといって、何でもかんでも明け透けにすればいいわけでもない。“親しき中にも礼儀あり”を意識しながら、互いに気持ちよくSNSを使える配慮が、夫婦関係を長く保つコツといえそうだ。

岡野あつこ
夫婦問題研究家、離婚カウンセラー。自らの離婚経験をきっかけに、夫婦の問題に悩み苦しむ人を1人でも多く救いたいと思い、離婚カウンセリングという前人未到の分野を確立。これまで28年間で、3万5000件以上の相談を受け、数多くの夫婦問題を解決に導いてきた。「離婚カウンセラー養成スクール」を開校し、後進の育成にも力を注ぐ。

岡野あつこの離婚相談救急隊 https://rikon.biz/

取材・文=有竹亮介(verb)

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プライムオンライン編集部
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