分担はできていても…妻が「負担多い」と感じる理由は?

さまざまな働き方が広まっている現在。

ひと昔前までは男性は外で働き、女性は家を守る…というスタイルが一般的だっただろうが、現在では男女の区別なく働きに出たり、あるいは夫婦どちらも在宅の仕事をしていたりと、いろいろなスタイルを選ぶ夫婦がいる。

そのような中で、たびたび議論になるのが「家事は誰がする?」という問題。

この問題に関して、ゼネラルリサーチ株式会社が共働き夫婦を対象とした「家事に関する意識調査」の結果を発表した。

ゼネラルリサーチ調べ
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この調査の対象は、20代~50代の家事を分担している全国の共働き夫婦1,102人(2019年10月11,12日・インターネット調査、ゼネラルリサーチ調べ)。

まず「自分がどの家事を担当しているか」について、男性の中で多かったのは「ゴミ出し(72.3%)」「風呂掃除(67.5%)」「洗濯(39.6%)」。
一方、女性は「料理(77.1%)」「洗濯(75.6%)」「家計管理(59.9%)」の順となった。

ゼネラルリサーチ調べ
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また「家事は誰がやるべきだと思うか」という質問に対しては、男女ともに7割以上が「気付いた人がやればよい」と回答

「パートナー」と回答した男性と、「自分」と回答した女性も少なくはないものの、全体的には夫婦共に「家事は協力してやる」と思っている、という結果が出た。

これだけ見てみると、ほとんどの夫婦が「家事は分担するもの」と考え、その通りに夫が風呂掃除とゴミ出し、妻が料理と洗濯…というように分担できているように見える。

実は「家事分担問題」でモメるのは都市伝説なのではないか…とも一見思える結果だが、そんな中「夫婦で行っている家事分担の割合」については、「自分が5割を担っている」つまり夫婦間でぴったり半分ずつ負担している、と思っている人の割合は男性21.2%、女性23.7%という結果になっている。

さらに、女性の70.2%が「自分が家事の7~9割を担当している」と主張、男性の64.9%が「1~3割を担当している」と感じているのだ。

ゼネラルリサーチ調べ
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きちんと分担ができているようで、実はその負担は50-50にはなっていないという、夫婦間の家事問題。そこにこそ、“見えない家事”というものが存在する。

細かな“見えない家事”に注目

例えば、多くの夫が担当していると回答した「ゴミ出し」や「風呂掃除」に比べ、妻の多くが担当しているとした「料理」「洗濯」に多いのが、事前準備や後片付け。

料理ひとつとっても、実は「献立決め」「冷蔵庫のチェック」「食材の買い出し」「下ごしらえ」「調理」「後片付け」と、意外なほどの手間がかかっているのだ。

この、細かな作業こそが“見えない家事”。

自分が担当している家事以外に、そのような細かな作業もしている…という声も聞こえてきそうだが、そのようなアンケートも実施されている。

ゼネラルリサーチ調べ
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「担当している家事以外に『実はこんなこともやってるよ!』と主張したい家事」

【男性】(回答率44.1%)
・ペットの散歩
・日曜大工
・食器洗い

【女性】(回答率55.9%)
・水回りの掃除
・子どもの世話
・お金の管理


これを見てみると「やっていると主張したい家事」について男性が「食器洗い」を挙げている一方で、女性側には「水回りの掃除」が挙がっているのも面白い。

もしかしたら、夫が食器洗いをしてくれる隣で「水ハネが気になる…後で拭かなくては」と考えているのでは…と勘繰ってもしまう。

さらに、男性に対して女性の回答率が10%以上高い、というのも、“見えない家事”をしている不満が現れているようにも読み取れる。


もちろん、家事をきっちり5割ずつの負担にするのは難しいだろう。しかし、今回の調査結果で見えてきた問題点は、夫婦間で家事の分担はできていても、妻が担当する傾向の高い家事には“見えない家事”が付随するパターンが多い、ということだ。

働き方が多様化する中で、夫婦の家事問題はどのように解決できるのだろうか。
調査を行ったゼネラルリサーチ株式会社にお話を伺った。

男女どちらも「家事は女性が…」と無意識に考えている?

――調査を行ったきっかけは?

ライフスタイルの変化により、家庭の在り方もどんどん変化している現状を受けて、「現代のスタンダードはどのようなものだろうか」と思ったことがきっかけになります。その上で、一般家庭において関心の高い“家事”を中心に調査を行いました。


――「家事は気付いた人がやればいい」と思う人が7割。一方で女性が家事の7〜9割、男性が1〜3割を負担している…この差はなぜ生まれている?

【家事の分担について】の調査結果から、男女共に家事は女性がやるべきと考えている方が多く、反対に男性がやるべきといった意見は男女共にごく少数となります。

このことから、時代の変化に合わせて「気づいた人がやればよい」と考えてはいるものの、男性だけでなく女性自身も家事は女性がやるべきという感覚が無自覚にあると考えられます。

家事の負担を平等にするためには?
家事の負担を平等にするためには?

――男女で“見えない家事”への意識の差は?

あると考えます。総じて女性の方が細やかな気配りができていることが多いため、男性にとっては“本当に見えていない家事”であっても女性にとっては“しっかりと見えてしまう家事”なのではないでしょうか。


――家事の負担は夫婦間でどんなバランスが良いと考える?

50-50が良いと考えます。とはいえ、こなすべき家事の数ではなく、体力を必要とする家事の分配は考慮に入れた上で、家事が完了するまでの時間を均等にわけるべきだと考えます。

家事の「イラッ」の中に夫婦円満のヒントが?

最後に見てみたいのが「家事に関することでパートナーにイラっとした瞬間」についてのアンケート。

ゼネラルリサーチ調べ
ゼネラルリサーチ調べ

【男性→女性】
・疲れている時に家事を頼んでくる(40代/会社員)
・細かい要望を出される(40代/会社員)
「自分だけが家事をやっている」ようなことを主張された(50代/会社員)

【女性→男性】
・やるなら最後までやってほしい(30代/公務員)
・分担を守らない(30代/会社員)
「自分は家事をやっている」と強調し、感謝を述べてほしいと言ってくる(20代/公務員)


――働き方が変わりつつある中で、夫婦の家事分担はどのように変化すると考える?

根本的な意識はいまだ変化はないよう感じます。そのため、家事における女性の比率はまだまだ男性よりも高い現状があります。

しかし、多くのメディアで夫婦の家事分担について取り上げられ、家事について夫婦で考える機会が多くなっている昨今、女性から男性に家事を促しやすい環境にあると分析しています。


――家事の分担をする夫婦間で意識すべきことは?

家は家族の共有スペースであることを自覚し、“やってあげる(もらう)”や“手伝ってあげる(もらう)”といった感覚は捨て、そこに住むものの一員として当事者意識を持つことが重要だと考えます。



家事の分担については、それぞれの家庭の中で決めたルールがあるだろう。
どうしてもできない家事があったり「こだわりがあるので、むしろ全て一人でやりたい!」という人もいるはず。

とはいえ、「家事は平等にしたい」と考えている夫婦の中で、自分の方が負担が大きいような…とモヤモヤしてしまうのは好ましくない。今一度、“見えない家事”を含め、夫婦の分担について考えてみるのいいかもしれない。

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調査日:2019年10月11日(金)~2019年10月12日(土)
調査方法:インターネット調査
調査人数:1,102名
調査対象:全国20~50代の家事を分担している共働き夫婦
調査主体:ゼネラルリサーチ
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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。