「ボカロP」とは、「ボーカロイド」とプロデューサーを合わせた造語で、ボーカロイドという音声合成ソフトを使って曲を作っている人たちの総称です。
5月19日に発表された最新のヒットチャートでは、トップ10のうちの実に半分の5曲が「ボカロP」が製作に関わった曲。なぜ令和のヒット曲の多くには、「ボカロP」が関わっているのか、社会学者・古市憲寿が迫ります。

「ボカロP」ヒット4つの理由とは?

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今回、「めざまし8」が取材したのは、ボカロPの先駆けの一人「バルーン」こと須田景凪さん。
2016年に発表した「シャルル」はユーチューブでの再生回数が累計1億回を超え、カラオケランキングでも上位にランクインし続けています。
そんな須田さんにまず聞いたのは、「ボカロP」と呼ばれる人たちの楽曲制作方法。

古市憲寿さん:
今って曲作りから発表まで 全部家でできちゃうわけですよね?

須田景凪さん:
そうですね。
曲によっては0から100まで自宅で完結することもありますね

古市憲寿さん:
買うものはパソコンがあれば?

須田景凪さん:
パソコン、もし親のがあればそれを使って、作曲のソフトを買って、もしボーカロイドを使いたいのであればボーカルロイドソフトを買って、その3つだけあれば

「ボカロP」 ヒット曲連発の理由、ひとつめは作曲ソフトと音声合成ソフトが入ったパソコンがあれば、誰でも曲を作れるというところです。
また、「ボーカロイド」という音声合成ソフトは、言葉を歌わせたい音階に合わせて入れるとその通りに歌ってくれる仕組み。
人間ではないので息継ぎの必要がなく、どんなに音の高低が激しく動いてもへっちゃらなんです。

須田景凪さん:
自分のわがままなオーダーを絶対に全部聞いてくれるじゃないですか。
そういうボーカルの魅力って、すごく大きいなと思って

古市憲寿さん:
そっか、何でも好きに自分の好きなように歌ってくれる。
やっぱり実際のバンドのボーカルってそうはなかなかいかないですもんね

ボーカロイドが歌うことを前提に作るため、歌いやすさを気にせず斬新な楽曲が生まれるのです。
さらに、ボカロPがヒット曲を量産する理由として須田さんが次に挙げたのは、歌い手との奇跡的な出会い。

須田景凪さん:
どんなに歌うのが難しい曲を作っても、ネットの誰かがそれを実際に歌っちゃってるんで、歌えないってことが意外とないのかなと思っていて

古市憲寿さん:
確かにそうですよね。
ボーカロイド向けの曲、こんだけみんな生身の人間が歌っちゃってますもんね

ボーカロイドに歌わせる事を前提に作った難しい曲をネット上に公開すると、それを歌いこなせる人が現れるというのです。
ボカロPと歌唱力の高い歌い手の出会いがヒット曲連発の理由、という話を聞いた古市さん。
令和のヒット曲と平成のヒット曲のある共通点に気が付きました。

古市憲寿さん:
僕 小室哲哉の曲をすごく聞くんですけど、今になって思うのは、あの当時のglobeとか華原朋美さんとかって、ボカロが無い時代のボカロだったのかなと思って。
すっごい高音で歌ってくれる人。
今でいう本当にボカロみたいな『絶対人間じゃ無理でしょ!』って曲を歌ってくれるボーカリストを探して、歌わせていたようにも聞こえちゃうんですよね

須田景凪さんが語るコロナ禍と“ボカロP”楽曲

ボカロPの先駆けの1人、須田景凪さんは、今の時代とボカロPの楽曲の相性の良さを感じているといいます。

古市憲寿さん:
今、ボカロP出身のミュージシャンがたくさんヒットを飛ばしているじゃないですか。
どんなふうに見ています?

須田景凪さん:
去年から新型コロナってものが始まって、いろんな方が今までよりもずっとそのインターネットの音楽ってものに触れる機会が増えたじゃないですか。
なんかそこのタイミングがバッチリはまったんじゃないかなって自分は思っていますね。
自分は2013年からボカロやってるんですけど、当時からそもそもミュージックビデオとかをお願いするときに、ずっとリモートなんですよ、当時から。
なので、家で仕事をするからリモートワークだからみたいな窮屈さは意外と慣れていて、そこに関してのストレスみたいなのはあまり感じてないですね

新型コロナの影響でこれまで通りの楽曲制作が難しくなる中、ボカロP出身のミュージシャンたちの仕事の仕方は実はあまり変わらずに済んだことも、ヒット曲を連発できている理由かもしれません。

(めざまし8 5月20日放送)