働く人の「価値観」をカードゲームでつかむ

企業の組織作りで「バリュー」と呼ばれる考え方に注目が集まっている。
「バリュー」とは「価値」を指す英語。働く人たちがどんなことを考えて日々仕事をしているかの元となる、個々人の「バリュー=価値観」を知ることは、組織を強くすることにつながり、離職率の改善や、リーダーの育成・生産性の高いチームを作ることにも通じる。

そんな「バリュー」の理解と気づきに着目したカードゲームを、組織改善プラットフォームなどを手がける企業「アトラエ」が開発し、話題となっている。
「個性」や「調和」などの価値観が書かれた90枚のカード(ワイルドカード1枚込み)で遊びながら、ゲーム参加者の考え方や大切にしていることが分かる仕組みだ。
アトラエでは、このカードゲームをメンバー同士の相互理解や、コミュニケーションの向上に役立ててもらい、新入社員研修や、組織のメンバーが集まる機会で利用してほしいという。
アトラエは「組織において主体的に働く=エンゲージメント」に注目し、それを可視化する「wevox」というサービスを企業に提供している。
カードゲームも、働きがいのある組織作りの一環として開発された。

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企業のバリュー刷新などを手がけ、カードゲームの開発にも携わった、アトラエのUXデザイナーの竹田哲也さんは、バリューを「全員が毎日大切にする価値観」ととらえ、これが働く人の日々の行動や姿勢、考え方の元になっていると説明する。
組織ではこれらのバリューが集まって、その組織の「らしさ」となり、組織がうまく回っていくケースがあると話す。

一方、「ビジョン(=会社が目指す方向性)」への従業員の共感で、組織がまとまっていくケースもあるというが、この場合でも、個々人のバリューが尊重されるかどうかがポイントとなるという。
アトラエが、バリューを知るためのカードゲームを開発したのも、組織へのエンゲージメントを高めるには、その根本にある、個々人の「バリュー」を知ることが大切だと考えるためだ。

仕事への評価に「バリュー」を紐付ける

「バリュー」を評価しようという動きも出てきている。
HR(人事、人材)テック領域のサービスを提供する企業「Unipos」は、従業員同士が、日頃の仕事の成果や行動に感謝のメッセージとポイントを送りあえるウエブサービスを提供している。
受け取ったポイントは、各社が設定した成果給として従業員に還元される仕組みだという。

Uniposの斉藤知明社長は「バリューが評価される時代」と語る。
斉藤社長によると、日々の仕事への貢献を会社の価値観に沿って評価する際に、個々人のバリューに紐付けて評価するのが、最近の特徴だという。
バリューが評価につながることで、どんな行動がなぜ評価されたかがわかりやすくなっていると説明する。

また、クラウド人材サービスを手がける企業「クラウドワークス」では、会社の創業記念日である11月11日、バリューを記載した「クレド(信条)カード」を刷新した。

クラウドワークス広報 上田聖子さん;
クラウドワークスではミッションを軸に、ビジョンを実現する働き方の価値観を『バリュー』と捉えおり、バリューがメンバーの行動の指針となっている。

クラウドワークスでは、ミッション、ビジョン、バリューの相関関係について、吉田浩一郎社長が自ら、説明会行っている。
毎回約3時間かけて、各項目の重要性について対話を交えながら社員に伝えている。

「バリュー」への各企業の注目は、日に日に高まっているようだ。

(フジテレビ報道局経済部 西村昌樹記者)

西村昌樹
西村昌樹

フジテレビ報道局 FNNプロデュース部デスク 元経済部デスク