ターゲットはネコのキャットタワー

住宅のふすまや扉をつくる建具店は、和室の減少や海外製品の流入で経営難に陥っているところもある。

こうした中、新しいアイデアで新商品開発に取り組む工場が静岡県浜松市にある。
ターゲットは人ではなくネコ。

猫たちが楽しそうに遊ぶキャットタワー。
オーダーメイドで、市販のタワーとは一味違うと注目されている。

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猫がいるカフェAdagio 田島義和オーナー:
さっそく登ってくれた子もいるので、楽しんでくれるんじゃないかな。ネコたちも気に入ってくれるんじゃないかと思います

ネコが気に入って離れない。そんな唯一無二のキャットタワーを作っているのは、これまで猫とは全く無縁の老舗建具店だった。浜松市南区にある、間宮建具製作所。150年続く伝統ある建具工場だ。明治時代から和室のふすまなどを中心に経営してきたが、受注はここ10年で約5分の1に減った。

間宮建具5代目社長 間宮聰さん:
海外製品が出たり、アルミサッシの販売が普及してきたり、木を取り扱う仕事が非常に少なくなっているという業界の状況があります

5代目社長の間宮聰さんは何とかしなければいけないと考えていた時、あるアイディアが浮かんだ。

間宮建具5代目社長 間宮聰さん:
町内に住んでいるネコ好きな方がいて、キャットタワーを提供してちょっと使ってくれということから始まって、取付けたら思いのほか喜んで猫が乗ってくれた

苦境の中、開発したのはキャットタワー。大きな建具を作る際に出る余った木でできるキャットタワーを猫を飼っている友人に提供した所、大絶賛。インターネット販売を始めると注文が増え、今では1週間に10本ほどのタワーをつくっている。

キャットタワーの値段は1本3万5000円ほどからで、1週間から10日で完成する。間宮建具では、工場全体の5パーセントの売り上げとなっていて、これから本格的に生産していくという。

間宮建具5代目社長 間宮聰さん:
木の目を浮き立たせる加工をしています。凹凸が出ることによってネコが滑りにくくなるという観点、プラスデザイン性も良いという判断でこういう加工をしています

こだわりはキャットタワーでもあり、インテリアでもあること。
職人技で木の良さを引き出し、人にもネコにも安らぎを与えるものを作る。

お客さんの要望に沿って仕上げる

この日はキャットタワーの搬入。15匹の猫がいる浜松市のネコカフェ「Adagio」だ。

猫がいるカフェAdagio 田島義和オーナー:
モップは通った方が良い。こういう所、毛がたまるんで

お客さんの要望を一つ一つ聞きながら仕上げていく。
一体何ができるのか。ネコたちも興味津々。

そして完成したタワーがこちら。

さっそく遊び好きのネコたちが飛び乗ったり、すりすりしたり。
好奇心旺盛なネコたちのために渡り廊下も設置。カフェの雰囲気に合わせた、シックな色合いも特徴だ。

猫がいるカフェAdagio 田島義和オーナー:
お店のスタイルというか、置く場所に合わせて作れる使えるというのが市販とは絶対に違うとこと思います

木の良さを全面的にだしつつ

間宮建具5代目社長 間宮聰さん:
ネコちゃんが喜んでくれるか一番心配だったんですけど、喜んで上ってくれて、場所にもあって、寸法も間違いなくできて安堵感でいっぱいです。木の良さを全面的に出しながら、なおかつ、ネコも人間も楽しくて増やしていきたいと思うようなタワーをつくっていきたい

徐々に厳しくなる業界の中で生まれた、生き残るためのアイディア。
作るものは変わっても、木のぬくもりの良さを伝えたいという思いは変わらない。

(テレビ静岡)

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