街では多くの人が「ノーマスク」日常を取り戻しつつあるデンマーク

「アフターコロナ」の明るい未来に向かって動き出している人々が世界中にいます。今回はITの技術と徹底した検査で日常を取り戻しつつあるデンマークを取り上げます。

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デンマークの首都、コペンハーゲン市内ではマスクをしていない人も多く見かけます。徐々にコロナ前の日常を取り戻しつつあるようにも見えますが、その背景には、“切り札”となる独自の取り組みがありました。

独自の取り組み「コロナパス」

デンマーク在住女性:
チボリ公園(遊園地)に入場するためにコロナパスを提示しています。

女性が遊園地に入る際に、入り口で提示していたのはスマートフォン。その画面には「ワクチン接種済み」であることを証明する“コロナパス”が表示されています。遊園地などの屋外でも人が混雑する場所や、博物館などの屋内施設、レストランで食事をする場合などに“コロナパス”を提示することで、施設や店を利用することが可能になるというデンマーク独自の取り組み“コロナパス”。

実はこのパス、ワクチンを接種していなくても「過去72時間以内の陰性証明」や「最近コロナに感染後、回復した」という場合にも証明書が発行され、スマートフォンのアプリ上に表示される仕組みになっています。

デンマーク在住の方に話を聞くと「レストランや遊園地もお天気がいい日はとても賑わっています。かなり多くの国民がコロナパスを取得して、今までの活動を再開し始めているように感じます。」といい、多くの人が“コロナパス”を利用し、日常を取り戻しつつある現状にあるということです。

“コロナパス”を広めるための検査体制

“コロナパス”を効率的に広めるためにデンマーク政府が行ったのが、大規模な検査体制の拡充。国民に対して週に2回の検査を推奨している政府は、1日に50万人以上が検査を受けられるように各地に検査場を設置しているといいます。

デンマーク在住女性:
動物園のすぐそばに検査会場があって、動物園に入りたい人が検査をすぐに受けることができるなど、コロナの検査会場はかなり地域の住民の生活に密着したところに設置されています。

検査は鼻からの検体を採取する簡易型の抗原検査で、「陰性」の結果が出るとスマートフォンの“コロナパス“アプリに陰性証明が記録されるという仕組みです。

“コロナパス”が必要な施設の近くには検査場が多く置かれており、結果も20分ほどでスマートフォンに届くそう。抗原検査は予約不要でお金もかからず、住んでいる地域の中に必ず何カ所かは検査場が設けられていることから、ふらっと気軽に立ち寄って検査を受けることができているといいます。

デンマークは国連の世界電子政府ランキングでたびたび1位に選ばれるほどの「デジタル先進国」。その強みを生かし、ワクチン接種の予約もネットを通じて簡単にできるそうで、日本と同様に高齢者からの優先接種が行われていますが、目立った混乱はないということです。

昭和大学医学部の二木芳人客員教授は「抗原検査の精度は高くないというデメリットもあるが、週に2回など頻繁にやることによって偽陰性も減っていく。基本的にはワクチン接種をどんどん増やすべきだが、ワクチン接種が国民に浸透するまでのしばらくの間はこういう検査で補填するという取り組みはいいと思う」と評価しています。

(「めざまし8」5月12日放送)