4月27日、2番バッター・先発ピッチャーの“リアル二刀流”として、今シーズン2度目の出場を果たしたエンゼルス・大谷翔平。

打者としては、強烈な打球でタイムリーヒット、さらに意表を突くセーフティーバントも決め、3打数で2安打2打点3得点と好調のバッティングでチームを勢いづける。

一方今シーズン3度目のマウンドでは、1回にホームランで3点を失うも、5回を投げ3安打4失点9奪三振。実に1072日ぶりの白星を挙げ、二刀流プレイヤーの神髄に迫る活躍で全米を沸かせた。

この記事の画像(6枚)

「翔平が出てるゲームはなんとか勝ちになるゲームが多いなって思ってもらえるように、そういう仕事が1打席1イニングでもできるようにやっていきたい」

そう語る大谷のピッチングを、SNSで話題を集める“ピッチングニンジャ”が分析した。

ダルビッシュもフォローするピッチングニンジャ

久々の二刀流プレーヤーとしての大車輪の活躍で、2018年10月に行った右肘手術からの、完全復活を印象づけた大谷。
では、そのピッチングの何が相手バッターを苦しめたのだろうか?

S-PARKはこれまで、現役サイヤング投手トレバー・バウアーや、MLBで使用されているデータ解析システム・スタットキャストの担当者、LAタイムズのエンゼルス番記者など、様々な角度から大谷の凄さを取材してきたが、今回話を聞いたのはビッチングニンジャだ。

「ロブ・フリードマンです。ツイッターでは『ピッチングニンジャ』として知られています」

ヒゲも帽子も目立って“忍び”の要素がまったくないフリードマンさんは、SNSで「ピッチングニンジャ」の愛称で活動している投球分析家だ。

メジャーのモンスターたちのピッチングの分析を続けるフリードマンさんだが、中でも映像を合成する技法が分かりやすく、変化球に関する投稿が人気で、ダルビッシュ投手をはじめ大物選手も含め28万人(5月3日現在)を超えるフォロワーがいる

実際に選手と対談も行うなど、日米の野球ファンの間で話題の人物なのだ。

メジャーでも最上級のボール

そんな「ピッチングニンジャ」に、ズバリ大谷の何が凄いのかを尋ねると、ある球種をあげた。

「大谷の“スプリット”はメジャーでも最上級のボールです。奪三振率がとても高い。大谷はたくさんの球種を持っているし、バッターの手前で落ちる“スプリット”を捉えるのは至難の業です」

鋭く、そして早く落ちるボール“スプリット”。

今シーズン、大谷が2ストライクに追い込んだ後の決め球に、そのスプリットを選んだのは20回。その内実に18回も三振を奪っている(他2ゴロ1、四球1)。

奪三振率は脅威の90%と、バットに当てることすら叶わない、大谷のスプリット。

「大谷はリリースポイントが、どのボールもほぼ同じ位置です。その上で速球は真っすぐに来て、スプリットは手前で落ちるので、様々な角度からバッターに勝負を挑めるのです。
バッターとしてはいつスイングするべきか、判断するのに苦しむというわけです」

フリードマンさんが合成した映像を見てみると、156キロのストレートと146キロのスプリットが、途中までほぼ同じ軌道だが、キャッチャーのミットに届いた時の落差は歴然だ。

まさに「魔球」と呼ぶにふさわしいボール。

「バッターとピッチャー、どちらかだけでも大変なのに大谷は二刀流です。おそらくメジャーで最も優れたアスリートだと思います」

5月4日午前(日本時間)に行われる、レイズ戦に登板予定の大谷。魔球・スプリットで、三振の山を築くのか注目だ。