プレスリリース配信元:ファームエイジ株式会社

2021年4月21日 ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が主体となるニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトにて、放牧酪農に関するWEBセミナー「放牧酪農WEBセミナー Vol.02」を開催致しました。当日は酪農家、関係団体など、北海道のみならず全国で60名程度の方にご参加いただきました。 トピックは、ニュージーランド(以下NZ)における子牛の育成、管理方法をメインに、NZコンサルタントからのアドバイスを実施し、それらを交えてディスカッションを行いました。参加者からは、多くの質問が寄せられ、活気にあふれた90分になりました。


■(はじめに)最低限のコストで最大限の収益を上げるNZ酪農と日本酪農の違い
ファームエイジ株式会社 小谷栄二




今回お話ししていただくNZ酪農家のダンカンさんは、500頭規模の牧場の経営者です。130頭の子牛がおりますが、従業員数はたったの3名です。さらに、死亡する個体はほとんどおりません。日本では子牛の死亡率は概ね5%程度といわれていますが、なぜ、このような最低限の人数でも最大限の収益を上げる経営を実現できているのか。今日のセミナーの一番のポイントになるでしょう。さらに、ダンカンさんは、NZ最大の酪農家指導機関であるDairy NZのコンサルタント業務も行っています。牧場経営とコンサルタントの両立ができているということは、まさに良い経営ができているという証といえるでしょう。本日はどうぞよろしくお願いします。

■ニュージーランド酪農家による子牛・育成管理方法 NZ酪農家ダンカン さん



【自身の牧場について】
・NZの北島にあるオークランドという町から100kmほど離れた場所
・丘陵地帯になっており、草地の生産性はNZ平均と比べるとやや低い
・草地面積は全体で230ha(内訳:搾乳牛向けの草地が190ha、残りは育成牛や子牛用)
・飼養頭数は、搾乳牛頭数500頭。子牛は135頭を管理。
・子牛に関しては半数が自身の牧場で、残りの半数は契約農場に預託
・農場のシステムはロウインプットといわれる一番安価な放牧草を活用する形式を採用

【ポイント】



1.季節分娩を最大限に活用
2.衛生管理を徹底する
3.しっかりと初乳給与を行う
4.ルーメンの発達を促進させる
5.体重測定を行って数値で管理する


■ディスカッション
【子牛の飼養管理について】 北海道足寄町 ありがとう牧場 吉川さん




・今年は、3/1から分娩が始まって4/12で出産が終了
・子牛は23頭残して、あとはメス子牛として販売。3頭は自家用のお肉とし
・ハンギングミルクという6頭一気に哺乳できるものを18頭ずつの2群に分けて使用。
・朝晩二回哺乳して、一回にミルクを4リットル給与 現在は朝だけの哺乳に切り替えている
・子牛は放牧している
・子牛のことを考えると牛舎の中のほうが良い気もしますが、衛生管理的には外で活動できたほうが良いだろうと考え、放牧させながら哺乳しています。

【子牛の飼養管理について】 北海道天塩町 高原牧場 高原さん



・現在育成牛は29頭
・畜舎にスペースがないのが課題。離乳後の育成牛は15頭ぐらい預託
・冬期間、いつもエネルギー不足に陥る傾向がある
・哺乳に関しては、初乳給与は親牛から離して、搾乳したものを哺乳瓶で与えてる
初乳は飲むだけ飲ませてる。
・哺乳ボトルで1回3リットルを一日2回給与。慣れたら個別に与えられる哺乳バケツを活用。
・哺乳している期間は最長で2ヵ月ぐらい。その期間は個別のハッチ管理しているが、
いずれは吉川さんのように複数頭で飼養できればと考えている
・子牛の放牧を昨年から取組中。今年新たに草地を増やせそうなので、子牛専用にできたらと検討中
・分娩は通年だが、ゆくゆくは季節分娩にしていきたい

■質疑応答
Q1:NZでは離乳はいつ行いますか?
A1:理想としては、最低6週間(42日間)であることと、体重が60kg以上としています。離乳後はスターターと放牧草の給与を約4~6週間、放牧地で続けていきます。それを1~1.5ヵ月間給与した後は、放牧草のみの管理になっていきます。

Q2:NZでは子牛の死亡率はどれぐらいなのですか?
A2:優秀な牧場で2~3%程度になっています。私の場合は135頭の子牛がいますが、今回は1頭死亡がありました。ただ、その年によっては5%ぐらいになるケースもあります。

Q3:子牛を放牧地に出すうえで、放牧地の管理方法はどのようにしていますか?
A3:生後5~14日の子牛はまだ食べる量が少ないので、先に子牛を出した後に搾乳牛を入れています。考え方として牧区の面積というよりは、草の量と牛の頭数があっているかどうかです。例えば30頭の子牛がいたとして、乾物4kg/頭食べるとすると、全部で120kg。そのあと250頭の搾乳牛を入れるとします。搾乳牛は乾物15kg/頭とすると、全部で3750kg食べることになります。そう考えますと、ほとんどの草を搾乳牛が食べるので、子牛の食べる草の量は大きく影響はないと考えています。重要なのは、毎日別の牧区にかえて、できるだけ新鮮な草を与えるようにしています。それは、先ほどからお話ししている通り、衛生管理の面でも役に立っています。冒頭で、育成牛を、半分を自身の牧場で、もう半分は預託に預けているとお話ししましたが、そのときも搾乳牛と一緒の牧区で行っています。また、月齢によっても食べる量は異なってきますので、その時々でローテーションは変えています。

Q4:マグネシウムをまくのは、葉についたものを直接与えるためですか?
A4:そうです。搾乳牛が次に入る牧区に撒いています。また、NZでは水槽の中にマグネシウムを入れるインラインシステムというものもあります。
Q5:搾乳にかかる時間は?

A5:放牧草が潤沢にあるときは、500頭搾乳しますが今は減ってきているので350頭ぐらいに減っています。1月から1回搾乳に変えており、2つのパーラーで搾っています。3人で一時間半ぐらいで搾っています。

■(まとめ) 子牛管理の重要点・初乳給与・飼料管理・データ管理 NZコンサルタント キース ベタリッジ

ダンカンさんのお話にもあった通り、放牧草は一番安い餌になります。収益を上げるためにはこの部分をどのように活用するかがポイントになってきます。さらに放牧草の成長と牛の飼養管理をどのようにマッチさせていくかが重要になります。そういった意味では、日本でも季節分娩を行うことで放牧のパフォーマンスを上げることができる可能性があるのではないかと思いました。

また、体重などさまざまなデータ活用も参考になると思います。NZでもデータがあって初めて決断できます。それはどこの国でも同じではないかと思います。ダンカンさんのお話の中でも、体重計を導入するのに20年以上経ってから導入したという話がありましたので、これらは皆さんも用意する必要があるのではないでしょうか。例えば、私がメジャーを使って牛を測るのと、他の方が測るのとでは、当然差が出てくるでしょう。こうなるときちんとしたデータとは言えません。また、測定という観点から見ると、放牧草の成長もプレートメーターなど使って判断する必要があります。
最後に、NZではコントラクトといい、日本でいえば牛を預託できる公共牧場のような個人経営の牧場があります。そういった牧場は必ず、子牛のオーナーと体重に関してきちんと契約して、牧場に戻すときの契約をきちんと行っています。日本ではそのような契約を行っている公共牧場は少ないでしょうが、より良い牛づくりを行う取り組みができるようになってくると、日本の酪農も変わってくるのではないかと思います。

■次回の予定
2021年6月開催予定です。日程が確定次第、HP、SNS上などでご案内差し上げます。
また、記事についてご不明点などございましたら、以下の問合せ先までご連絡ください。
連絡先:ファームエイジ株式会社 担当:高田(タカダ)
TEL:0133-22-3060 FAX:0133-22-3013
HP:https://farmage.co.jp/

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