台風19号の影響で長野県を流れる千曲川の堤防が決壊…住民は今でも流れ着いた土砂を掻き出す作業に追われている。大きな被害を受けたここ一帯は「アップルライン」の愛称で親しまれる全国有数のリンゴの名産地だ。

多くの農家が廃業の危機に面している中、ある若者が復興への足がかりを作ろうと奮闘していた。

被害をうけたリンゴ
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全ての光景が変わったあの日…95%のリンゴを失った

4ヘクタールのリンゴ畑を持つフルプロ農園の徳永虎千代さん(27)。周辺では、最も深いところで4mを超す濁流が押し寄せ、今でも大量の土砂がリンゴ畑に堆積している。虎千代さんは出荷予定のリンゴの95%を失った。

それだけではなく、農機具も土砂に飲み込まれ使い物にならなくなった。泥に覆われた1台1000万円はするという農作業用の特殊自動車を見て、虎千代さんは「来年に向けての農作業ができなくなってしまう」と声を落とす。

使えなくなった農業用自動車

日没も早まり寒さが厳しくなる中、掻き出した土砂を土嚢袋に詰めながら、虎千代さんは「リンゴの木は生きている。早く土砂を片づけたい」と焦りを募らせる。

そんな絶望の淵に立たされる27歳の虎千代さんにある“奇跡”が…

フルプロ農園 徳永虎千代さん(27)

“奇跡のリンゴ”で奇跡が起きる

虎千代さんの持つリンゴ畑の5%は堤防の決壊場所から4キロ離れた高台にある。難を逃れたこのリンゴを「奇跡のリンゴ」と呼び、インターネットによる直接販売を手がけてくれる人たちが虎千代さんの元を訪れたのだ。

5%のリンゴ。重さにして3トン。 起死回生の支援によりこの5%のリンゴを売り出すことに成功。既に1.5トンが完売し、150万円を売り上げた。

高台にあり難を逃れた“奇跡のリンゴ”

虎千代さんのもとにさらに嬉しい連絡も…

「先を見据えた復興支援をしたい」
この男性は虎千代さんにネットでの「予約販売」を勧めてくれたのだ。

来年、収穫予定のリンゴを前倒しで受注するシステムをネット上で構築。本格的な復興に向けての準備が整った。

「アップルライン」復興へ クラウドファンディング

支援の輪が広がる中、虎千代さんはアップルライン全体の復興を目指す「長野アップルライン復興プロジェクト」と題したクラウドファンディングを立ち上げた。

自身が苦しみ、助けられた経験から農業ボランティアの支援や農機具の購入など復興の手が届きにくい箇所を応援し、「アップルライン」の復活を目指している。 これまでに100人以上の支援者が集まり、100万円を超える支援金が集った。

5%のリンゴから始まった奇跡。

虎千代さんは「生活復旧だけでなくリンゴの復興が本当の復興になる」と力強く語った。

(取材:フジテレビ報道局 関舜太郎)