皇室伝統の「儀装馬車2号」陛下が乗られるのは3回目

天皇皇后両陛下が11月22日から参拝される三重県伊勢神宮。

21日午前7時ごろ、バイクに先導されて神宮周辺の一般道を走る3頭の馬の姿があった。今回、陛下が乗られる馬車を引く馬の時菖、春朝、時朝だ。

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陛下が、即位の礼と大嘗祭が滞りなく終わったことを天照大御神に報告される神宮親謁の儀にあたり、神宮内の移動に使われるのが皇室伝統の馬車だ。

1990年の前回の儀式でも上皇さまが乗られた儀装馬車2号は、1928年の製造。

天皇のみが身に着ける黄櫨染御袍の束帯に、冠姿の上皇さま。

上皇后さまは十二単で、上皇さまとは異なる儀装馬車3号で移動された。

きらびやかに飾られた馬車は、いわば“動く美術品”。

儀装馬車3号
儀装馬車3号

陛下が馬車に乗られるのは、1980年の成年式、1991年の立太子の礼に続き、今回が3度目となる。皇后さまは馬アレルギーのため、晴れていればオープンカーで移動される予定だ。

「馬を信頼して行う」2頭を同時に操る高度な技術

馬車を引く馬たちを管理しているのは、宮内庁車馬課主馬班(しゃばか しゅめはん)という専門チーム。儀式の本番を間近に控えた11月11日、皇居で行われた直前練習の様子を独自に取材した。

馬車は馬2頭で引き、馬を操る御者には、片方の馬の上から両手で2頭の手綱を同時にさばく高度な技術が求められる。

神宮で陛下をお乗せする場所は狭い上、大きな木があるため、木に見立てた赤いコーンをよけながら前へ。馬車は、車寄せに見立てたベニヤ板の前にピタリと止まった。

御者 遠藤千幸さん:
左馬に乗りながら右馬を操作するのが本当に難しい。馬を信頼して行うしかないですね、ここまできたら

そして19日朝、馬と馬車はひと足早く儀式が行われる伊勢神宮へ向かった。

「キャピキャピキャピキャピキャピ…」という掛け声は、張りつめた空気の中で馬を落ち着かせるためのものだ。

皇室に受け継がれてきた動く美術品。29年ぶりに行われる一世に一度の儀式に花を添える。

(「Live News it!」11月21日放送分より)