数々の問題発言を続けていた桜田義孝五輪相が、4月10日夜、事実上更迭された。

昨年11月5日の国会質問で、五輪関連予算1500億円を「1500円」と発言し、質問者の蓮舫(れんほう)氏の名前を「レンポウさん」と言い間違い。また4月9日には宮城県石巻市(いしのまきし)のことを「いしまきし」と言い間違えていた。

さらに、昨年11月6日には参議院予算委員会の審議後の記者会見で「質疑の事前通告がなかった」と事実と異なる説明をして、発言を撤回し謝罪した。

また「五輪憲章を読んでいない」「パソコンを打たない」など、五輪相としての資質を疑われる発言や国会審議へ遅刻することもあった。

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このように、就任から半年の間にいくつもの問題行動を繰り返してきた桜田前大臣。

多くの失言がありながら、なぜここまで更迭とならなかったのか?

「大臣の器じゃない」与野党・地元・被災地から厳しい声

11日午後1時に始まった衆議院本会議に渦中の桜田前大臣は姿を見せず、後任の鈴木俊一新五輪相は、隣の石原議員と握手を交わしていた。

安倍首相は、11日午前8時半ごろの会見で今回の辞任について触れ「“すべての大臣が復興大臣である”との認識を再確認し、東北の復興に内閣一丸となって全力であたっていく考えであります」と復興への強い意欲を改めて示した。

その安倍首相の逆鱗に触れたのが、10日夜7時半ごろに行われた自民党の高橋比奈子衆院議員(比例東北ブロック)のパーティーの挨拶での発言だ。

桜田五輪相(当時):
復興以上に大事なのは高橋さんですので、よろしくお願いいたします。

「復興以上に議員が大事」としたこの発言からわずか2時間後、安倍首相は桜田氏を更迭。

夜9時前に記者の前に姿を現した桜田前大臣は「被災者の皆さんの気持ちを傷つける発言をしてしまい、申し訳ない」と謝罪した。

一夜明け、与野党双方から厳しい声が飛んだ。

公明党の山口代表は、「与党としても気持ちを引き締めてと、こう申し上げたばかり。怒りを禁じえません」と述べ、立憲民主党の辻元国対委員長からは「“辞任ドミノ”の状況に突入してきているように思う」と指摘があった。

千葉県柏市にある桜田前大臣の自宅前に設置された看板は、大臣に就任した去年秋以降「衆議院議員 桜田よしたか自宅」という表記になっていたが、11日訪れてみると「桜田建設(株)」にいつの間にか書き換えられていた。

地元である柏市民からは「辞めていただいて良かったかな」「大臣の器じゃないって、あの人」という声が聞かれ、被災地・宮城県気仙沼市からは「辞めたのはちょっと遅いような気がする」「もう少し早めに安倍首相が決断すべきだったのではないか」という声があがった。

桜田氏を守り続けた安倍首相…選挙前の“辞任ドミノ” で蘇る12年前の悪夢

これまでも度々物議を醸してきた桜田前大臣を、安倍首相は守り続けてきた。

昨年11月、蓮舫参院幹事長に「桜田大臣をなぜオリパラ担当大臣に指名したのか」と質問された際には、「まさに当時、文部科学副大臣として、しっかりと担当として頑張ってこられた方でございまして」と擁護した。

さらに今年3月、オリンピック関連の予算を答えられなかった時も、蓮舫氏に「総理、この大臣、大丈夫ですか?」と問われたが、「桜田大臣もその点を正確に把握して応えられていると思います」と答えた。
そして、今年2月に国会に遅刻した時も「今後も桜田大臣は身を引き締めて、しっかりと職責を果たしてまいりたいと考えている」と述べている。

大臣就任から半年間に渡り、桜田氏を擁護してきた安倍首相。なぜここまで桜田氏を守り続けたのか?

その背景として、桜田氏が昨年の総裁選で安倍3選に尽力した二階派に所属していることに加え、相次ぐ選挙への影響も考慮したとみられている

しかし、忖度発言による塚田国交副大臣の辞任からわずか5日、統一地方選挙や衆議院の補欠選挙、そして、参議院選挙に影響が出かねない最悪のタイミングでの辞任ドミノが、現実のものとなった。
ある閣僚経験者は、「今回の発言は極めて深刻で、これによって参院選の東北は全部負けることになるよ」と話す。

第1次安倍政権下で行われた12年前の参院選について、安倍首相は今年2月の自民党大会で「(2007年の参院選で)我が党の敗北によって政治は安定を失い、そして、あの悪夢のような民主党政権が誕生しました。あの時代に皆さん、戻すわけにはいかないんです」と述べている。

その第1次安倍政権での大臣の相次ぐ辞任、いわゆる辞任ドミノを振り返る。

佐田玄一郎行革担当大臣:実体のない事務所費を政治資金に計上していた問題で辞任
松岡利勝農水大臣:事務所費などの問題を抱え自殺
久間章生防衛大臣:「原爆投下しょうがない」発言で辞任
赤城徳彦農水大臣:事務所費問題で辞任
大臣の辞任が止まらず、その後の参院選で自民党は大敗を喫し、さらに改造内閣でも遠藤武彦農水大臣が補助金の不正受給で辞任。

そこから2週間足らずで、安倍首相自身が辞任を表明するに至った。

そして、今年も参院選が夏に予定されている。

加藤綾子キャスター:
安倍首相としては、あの悪夢を繰り返したくないという気持ちですよね。

風間晋キャスター(フジテレビ報道局解説委員):
もちろんそうでしょうが、ただ、当時と今では野党の強さが全然違いますよね。当時は、やはり二大政党制がとても現実味を帯びていたと思いますよ。
しかし、今は野党はバラバラで、選挙協力はどうなるんだというのも不透明な状況になっています。
とはいえ、自民党はやはり、これを引き締めのために使ってる感じがしませんか。そこが自民党は転んでもただでは起きないなという感じです。

加藤綾子キャスター:
今後、閣僚にこのような人物が選ばれることがないか、私たちも安倍政権に注目する必要があると思います。 

(「Live News it!」4月11日放送分より)