パリのシンボルが火の手に

日本人にもおなじみの世界文化遺産で大規模火災。
日本の観光客にも影響が広がっている。

この記事の画像(8枚)

日本時間の16日午前2時前、フランス・パリ中心部にあるノートルダム大聖堂で大規模な火災が発生した。
火災が発生したのは、パリの中心部を流れるセーヌ川の中州・シテ島にある大聖堂。
現地時間の15日夜、大聖堂が閉館した直後のことだった。

大聖堂のシンボルである、高さ90mの尖塔は火災発生直後から燃え広がり、約1時間後に崩落。
なすすべのない事態に、人々は大聖堂に近い広場や歩道、セーヌ川の対岸に集まり、消火作業を見守るしかなかった。

パリ市民の女性は「母親を亡くしたような気持ちでとても寂しい」と話した。

出火元は修復工事用の足場付近か

ノートルダム大聖堂は14世紀に完成した建築物で、美しいステンドグラスや石像など多くの美術品が収蔵されている。
年間1,300万人が訪れる一方で、2018年4月からは修復工事がスタート。
火の手は、この修復工事の作業に使う足場付近から上がったとみられている

これは、火災発生後の大聖堂内部の写真。消防当局によると、内部の損傷は少なく、祭壇にある十字架やイエス・キリストを抱く聖母マリアを描いた彫刻「ピエタ」像などの収蔵品はほぼ無事。一部はパリ市役所に移されたという。

影響は日本の観光客にも

16日午前の羽田空港。
パリ行きの直行便を待つ乗客たちも、ノートルダム大聖堂の火災に驚きの声を上げた。女性が「信じられない!だって石でできていると思っていた」と話すと、別の女性は「とても楽しみにしていたけど、見られないかと思うとショック」と肩を落とした。

フランス旅行も扱う東京都内の旅行会社「パーパスジャパン」では、GWの10連休以降に影響が出そうだという。

パーパスジャパンメディア事業部・迫田健路部長:
大ショックですね、大変な影響がありますよ。入場はたぶん無理なので、遠くから大聖堂を眺めることになる。
修復には数年はかかると思うので、いつから行けるか、今のところはなんとも言えない。

支援の輪が広がる

大きな被害を受けたノートルダム大聖堂だが、支援の輪は早くも広がっている。
グッチやイヴ・サンローランなど、数々の高級ブランドを傘下に持つグループの会長である実業家のフランソワ・ピノー氏は、1億ユーロ、日本円にして約126億円の寄付を表明
ドイツのメルケル首相からも支援の申し出があり、旅行者や観光客が多いアメリカでも募金サイトが立ち上がっている。

現地の消防当局は鎮火を発表しており、原因を失火とみて、当時の詳しい状況を調査中。
「我々は大聖堂を再建する」という、マクロン大統領の宣言どおり、悲劇から間もない中でも、人々は前を向いて動き出している。

(「Live News it!」4月16日放送分より)